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バウハウス大学
- ワイマールでの1ヶ月
- 佐瀬実夢
- ドイツ語・ドイツ文化専攻1年
- 2019年8月
私はドイツのワイマールに1ヶ月間短期留学をしました。私にとっては二度目のドイツでしたが、やはり旅行とは全く違うのだろうと初めての留学に期待と不安でいっぱいでした。
成田空港からハノイまで5時間強、そこからまたフランクフルトまで13時間かかりました。家からの時間を考えると出発してから約1日も経っていたのだと気づいてすごく疲れましたが、無事にドイツに着いたんだという高揚感と安心感が勝って全く気になりませんでした。
入国審査を済ませてワイマールに向かうまでの間、車窓から見えるフランクフルトの景色が本当に素敵で感動しました。写真を撮るのももったいないと感じるほど目に焼き付けようと必死に流れる景色を追っていました。フランクフルトからワイマールまでは列車を使い約3時間で到着しました。駅にはバウハウスサマースクールの受付があり、そこで1ヶ月過ごす家や近くにあるスーパーの場所、ドイツ語コースの大学がある場所などを地図を使って説明されました。私はシェアハウスを希望したので部屋のキーを受け取り、どんな人がルームメイトになるのか友達と話しながら迎えが来るのを待っていました。迎えが来たのはそこから2時間ほど経った頃でした。私と友達以外の一緒に来た人逹はとっくに各々の家に送られていて、私たちは手違いがあったのではないかと不安になっていた矢先でした。荷物と共に車に乗り込み、私のこれから住む家の目の前で降ろしてもらいました。駅から徒歩だと30分ほどの場所だったと思います。
家に着いてからが本当に大変でした。まずは荷物です。私の部屋は三階にあるので約22キロあるスーツケースを担いで自力で階段を上がるのは一苦労どころではありませんでした。帰りもこれを味わうのかと思うとめまいが…という感じでした。次は鍵です。アパートに入る時は苦労しなかったのですが、何故か部屋に入る時の鍵は全く開けられず30分ほど格闘しても開かないので途方に暮れてしまいました。友達に電話をしたり駅の受付に戻ろうかと考えていた頃にようやく開きました。後にコツを掴んだのですが、ドイツの鍵は日本のように回すのではなく右にカチッっと捻るだけなのです。家に入ってみると、私が思い描いたヨーロッパの女の子の部屋という感じですぐに気に入りました。これから1ヶ月この部屋で過ごせるのかと思うと楽しみで仕方ありませんでした。ルームメイトは残念ながらいませんでしたが、一人なら一人で楽しんで学校や外出時にコミュニケーションを積極的に行おうとプラスに考えることにしました。
学校は平日の朝9時から始まって90分授業を2コマ受けて昼の12時ぐらいに終わり、MENSAという学食で昼食を食べました。私はパスタを毎日のように食べていましたがその他にもご飯物やドイツらしいジャガイモ料理など日替わりでバリエーションも多かったと思います。値段も学生証を見せればかなり安く済み、パスタの場合だと重さで値段が決まるので平均2.5ユーロ(日本円で300円ほど)くらいでとても助かりました。火曜日と木曜日のみ午後の授業がありましたが、授業といってもバウハウスゆかりの地を巡ったり、近くの丘のような公園で遠足をしたり、博物館や歴史的な建物を見学したりという内容だったのであまり苦にはなりませんでした。宿題もそこそこの量は出ますが辞書などを引きながらやれば時間はかかりますがそこまで大変ではありませんでした。
ドイツ語の授業では、私は一番下のクラスだったため日本人が半数ほどいました。最初は本当に基礎的なことからやっていきました。しかし、だんだんと大学でやっていた範囲を追い越し、付いていくのが大変になりました。授業中は先生も生徒も英語で教えたり発言したりしているので気を抜くと英語が苦手な私はどんどん置いていかれてしまいます。日本人以外にも様々な国籍の生徒たちがいて、私が困っていると丁寧な優しい英語で教えてくれたり、大丈夫?と気にかけてくれたりする子逹が多くて嬉しかったです。ペアワークやグループワークが多かったので沢山の人と交流ができて、家では基本一人だったので学校でコミュニケーションができる場を沢山提供してもらえて有難かったです。
私は毎日早起きして、大好きな映画の曲をかけながら支度をし、コーヒーを飲んでから家を出て綺麗な街を歩いて友達とお気に入りのパン屋さんに向かうのが日課でした。そこのパン屋さんのシナモンロールが絶品で定休日の水曜日以外は毎日欠かさず食べていました。放課後は、ホットドッグが一番美味しい屋台を探そうと味比べしたり、アイス屋さんに毎日のように通って店員さんと仲良くなったり、馬車に乗ったり、モールで遊んだりと充実した毎日でした。もちろん楽しい事ばかりではなく、夜は自炊をしないといけないのでスーパーで2日に一回は1.5Lの水を二本買わなければならないのは大変でした。日曜日はスーパーは閉まってしまうのでそれを常に考えて生活していました。
休日は主に観光をしました。学生証を使えばチューリンゲン州内はすべての交通機関が無料だったのでまずはエアフルトやアイゼナハに行きました。エアフルトの街はチューリンゲン州の州都と呼ばれるだけあってすごく綺麗で栄えていて歴史と建物が好きな私にとって特に好きな街になりました。少し残念だったのが大聖堂の前でちょうどイベントが開催されていて大聖堂の全体像を見られなかったことです。しかし、教会の内部はとても荘厳で見れて良かったです。アイゼナハではルターが聖書を翻訳した場所として有名なヴァルトブルク城を見学したりルターの生家に足を運び、ドイツの膨大な歴史と文化に圧倒されました。
ドイツでの生活に慣れてきた頃に、少し遠出してみようとドレスデンに行きました。自分たちで切符を買ってICE(日本でいう新幹線)に乗って片道3時間かけて向かいました。列車の乗り方、切符の買い方などすべてを自分でやるのは初めてでとても良い経験になりました。教会を巡り、パイプオルガンの厳かで美しい音色を聞いて、街を歩いて、ずっと行きたいと言っていた美術館で大好きなルーベンスの絵画を見つけて感動したりと忘れられない旅になりました。何より、帰り際に教会の鐘楼に登って上から街の景色を味わえたことが強く心に残っています。本当にここにきて良かったなと感じました。
今回の1ヶ月で私は色々なことを学べました。ドイツ語はもちろん、クラスメイトとの英語での会話もお店での注文の仕方など1ヶ月間で大きく成長できたと思っています。また、今までの4ヶ月間で私がやってきたドイツ語の量では圧倒的に足りないと自覚できたと共に、自分には何が足りなくてどうすれば良いのかをこの1ヶ月を通して発見する事ができました。また、旅先での『写真を撮ってください』や『このバスはここに向かいますか?』などの質問はすべて積極的に行い、コミュニケーションを現地の人とできた事は私にとって力になっていると思います。
生活の面でも異国の地で1ヶ月も一人で過ごせたんだと自信がついたと思います。何より現地の人が優しく暖かで、一度バスを間違えた時に降り立ったバス停で小さい男の子に全力でコンニチハ!!!と叫ばれた時は嬉しくて仕方がありませんでした。沢山の迷惑をかけて色々な面で支えてくれた両親、私が行きたいところについて来てくれた友達、お別れパーティーで作ったお味噌汁を美味しい!と飲んでくれた優しいクラスメイト逹と先生、全員に感謝したいです。
留学はとっても勇気がいるし軽い気持ちで行けるものでは決して無いと思います。ただ、留学をして得られるものや成長することの価値の方が不安よりもはるかに大きいと私は思います。これから新しい場所に飛び込もうか悩んでいる人に少しでもこの体験記を通して伝われば良いなと願っています。
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