【開催報告】比文研シンポジウム

平成25年2月16日、比較文明研究センター主催のシンポジウムが麗澤大学校舎かえで1503教室にて開催されました。約130人の一般来場があった今回のシンポジウムでは、本学経済学部教授・比較文明文化研究センター長の松本健一教授により「女性は天皇になれるか」に関して、京都産業大学名誉教授・比較文明文化研究センター客員教授・モラロジー研究所研究センター教授の所功氏により「皇室典範の定める女性皇族の身分と役割」に関して、現代史研究家の浅見雅男氏により「旧宮家の復活はあるか」に関して発表が行われ、小泉政権の頃からその論議が活発化している女性天皇の可能性について、歴史と文化制度の面からの解説と考察が行われました。

現在、皇室典範及び日本国憲法の規定により、女性は天皇にはなれません。しかし、皇族もまた生身の人間という現実的な制約が存在する以上、「男性への世襲のみ」という法律はあまりにも選択肢が狭く、皇室の存続をも危うくする縛りになっています。そもそも男性への世襲のみを認めている現在の規定は、果たして妥当な仕来りなのでしょうか。歴史的な考察を踏まえると、これらの「伝統」は意外と近年のものでした。現在の規定は、明治時代に出来上がった「新しいルール」であり、100年そこそこの歴史しかないのです。2000年も続く皇室の歴史の中では、その血筋を絶やさないために、時には遠戚から入婿を取ったり、側室の子の即位を認めたり、女性の天皇が即位したりした例はいくつもあり、「男系男子」を絶対化する現在の論議に疑問を覚えるほど、多様な選択肢が存在しました。これらの前例を参考にする限り、女性が天皇になってはいけないという根拠はどこにも見当たらず、皇室の今後の為にも、全てを雁字搦めにしている皇室典範は是非とも改定される必要がありそうです。

また、「一定の人数の候補を維持する」ために、旧宮家の復活についての論議も行われているようです。但し、国民の理解を得られそうもない側室の復活よりは現実的な提案ではあるものの、今度は「皇室の尊厳をどう維持するか」の問題が立ちはだかります。血縁関係の遠さに起因する正当性をどうクリアするかなどの他にも、懸念事項があり、論議に慎重を期する必要があるそうです。

さて、日本の皇室はなぜ、世界にも他に類を見ないほど、ここまで長く存続することができたのでしょうか。歴史的な事実としては、天皇自身がみだりに権力を誇示せず、有徳の天子であり続けようとしたことや、権力はいざしらず権威の主体である天皇に取って変わろうとする勢力が存在しなかったことなどが主な原因のようです。ただそれ以上に、日本人が抱いている、権力の象徴ではない、母性的な文化の表れとしての天皇のイメージが大きかったのかも知れません。天皇は歴史の存在でありますが、同時に制度の存在でもあるわけですから、日本人が日本人としてあり続けるためにも皇室の存続に関わる後継者の問題に関しては是非とも有効な対策が欲しいところです。
最後は、場内から寄せられた質問への応答や補足説明が行われ、無事シンポジウムを終えることができました。

(麗澤大学 大学院生 記)

浅見 雅男 氏

浅見 雅男 氏

所 功 氏

所 功 氏

松本センター長

松本センター長

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

会場の様子

会場の様子