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レーゲンスブルク大学
- レーゲンスブルク大学留学体験記
- 松澤麗叶
- ドイツ語・ドイツ文化専攻3年
- 2023年3月~7月
私は2023年3月から2023年7月までの約5か月間、ドイツのレーゲンスブルク大学に留学していました。レーゲンスブルクはドイツの南、バイエルン州に位置する古都で、旧市街は世界遺産にも登録されています。とてもきれいな街ですが、ものすごく歴史があるので誰でも一度は訪れてみてほしいです。第二次世界大戦時にはいくつか建物が破壊されてしまいましたが、見事に復興し、今でも「歴史を後世に伝えていこう」と多くの家屋や建造物が保存されています。特に休日なんかは、多くの観光者がいてガイドツアーをしている様子も何度か見かけました。天気が良ければ、ドナウ川の畔ではビールを飲んでいる人がいたり、ピクニックをしている人がいたり、寝そべっている人がいたりと、街はとてものびのびとしていて気持ちがよかったです。私がレーゲンスブルクを留学場所に選んだ理由は南ドイツの方言に興味があったことと、ミュンヘンが近いからでした。私の好きな歴史上の人物、エリザベートとルートヴィヒ2世が2人ともミュンヘン出身だったため、ゆかりのある場所を巡って自分の目で見て学びたいと思っていたからです。
レーゲンスブルク大学は、他の留学先へ行った友達の話を聞く限りでは、他の大学に比べて大学側の保護が手厚いように思われました。学生証の発行、VISAの取得、保険などは大学側が手配してくれ、流れに従って手順を踏んでいれば基本的に生活するうえで何か大事なものを見落としたりすることはありませんでした。レーゲンスブルクにはRVVというバスがあり、このバスで毎日大学へ行ったり旧市街へ行ったりしていましたが、レーゲンスブルクに来て初めの頃にMonats-Ticketを購入し(これもすべてレーゲンス大学側が手配してくれました)それさえ持っていればずっと乗り放題でした。
毎週木曜日にはスタムティッシュが開かれ、日本語を学んでいるドイツ人と日本人の交流ができる場も設けられていました。さらに、タンデムパートナーも希望すれば探してもらえます。私は相手と時間を合わせるのが面倒だったし、勉強は自分一人でもできるだろう、と思ったためやりませんでしたが、のちのち課題や授業の内容で全然わからない部分が出てきて、そんなとき気軽に聞けるタンデムパートナーがいないというのはものすごく痛いな、と感じました。何かを学ぶ上で、自分一人でできることには限界があるし、気軽に訊ねられる人や助けを求められる人が日本人だけよりは、ドイツにいるからにはドイツ人に聞く方が圧倒的に良かったと思います。ドイツ人の友達に聞くにしても、ラインなど文字だけで聞こうとしたら猶更難しいことが分かりました。何がどうわからないか、というのは対面で聞くのがベストだと感じたし、経験としてやるべきだったな、と後悔しています。
レーゲンスブルク大学では初めにクラス分けのテストがあり、自分のレベルに合ったクラスで学ぶことができます。初めは全員Intensivkursという研修からスタートしますが、この時もテストで決まったレベルごとのクラスになります。授業を受けていく中で自分のレベルに合わせてクラスを変更することも可能で、教科書はすべて大学内の本屋さんで購入できました。クラスには様々な国籍の方がいましたが、授業態度に衝撃を受けました。質問されたとき以外でも積極的に発言し、振られた時は自分の意見を必ず言えるところが、日本ではあまり見られない光景だったため、素敵だと思いました。彼らは授業が終わったらあっという間に教室から立ち去り、日本人だけがずっと教室に残っているのも面白いと感じました。
私が留学中に一番大変だったと感じたのは金銭面です。私が留学へ行ったときは1ユーロが約140円~158円で変動していましたが、ドイツにいた約5か月間、出発当日に空港で両替した現金少しと、デビットカードに入れた35万円で生活しました。私は本来、衝動買いが多いタイプなので、使わないようにするのが本当に大変でした。ちなみに閉鎖口座などもレーゲンスブルクは必要がなかったため開いていません。現地で一緒になった留学生の中には、留学期間中に周辺の国々を何か国も旅行に行ったり、その先々で大量にお土産を買っている人も多かったため、「え、35万でどうやって生きてるの!?そんなの2カ月くらいでなくなる。」と驚かれたこともありますが、私はお金がないためそんなことは言ってられません。包丁やまな板、フライパン、洗剤などの日用品は出来る限り一緒に留学に行った友達と割り勘し、できるだけ自炊を心掛けてあまりお金を使わないようにしていました。それでも意外に、ポーランドに行ったりドイツ国内の観光に行ったりと、持ち金の割には楽しめた方だと思っています。カードはデビットカードとWISEの二つを持っていきましたが、このWISEに現地ではとても助けられました。初めはデビットカードだけで生活するつもりだったのですが、カードは2つ持っていった方がいいと勧められたためWISEはただ念のために持っていきました。しかしドイツに着いて早々、スーパーで買い物をする際にデビットカードの暗証番号が急に分からなくなり焦ってしまい、何度も打ち間違えて使えなくなってしまいました。本当にどうしようか焦りましたが、WISEをデビットカードの口座と結び付けて支払うことができました。その後の留学生活はずっとWISEがデビットカードの代わりを務めてくれました。さらにWISEは向こうで現金の引き落としもできたのでとても便利でした。これから留学を考えている方は、カードは2つ持っていくことを絶対にお勧めします。
次に大変だったことは、コミュニケーションです。特に英語はもう少し勉強しておくべきだったと、とても後悔しています。「ドイツ語専攻だからドイツ語だけ勉強していればいいや」、「ドイツ語を学びに行くのだから現地で英語をあまり使わなければいいや」と思っていたため、正直全く英語を勉強せず、ただ自己紹介ができるレベルというひどい状態で留学に行きました。でも実際レーゲンスブルクに到着して早々、話す機会があったのは同じ寮の学生や、私と同じようにレーゲンスブルク大学に学びに来た留学生達だったのですが、国籍もバラバラで、さらにドイツ語を学びに来た学生とは限らなかったため、そんな時、彼らが自然に話す言葉は決まって英語でした。母国語が英語という学生はもちろん多かったのですが、韓国や中国からの留学生達があまりにも自然に英語が話せていることに、レベルの違いを感じました。さらに、大学でもドイツ語で分からない場合の説明は英語だったり、同じドイツ語のクラスでも、ちょっとした雑談やグループワークなどで話し合う時はみんな英語でした。せっかく話を振ってもらっても何を言っているのか理解できないことが多く、いつも申し訳ないと思っていたし、せっかく留学を機に出会ったのに一人一人と深い話をすることができないのが本当に残念でした。ただ、レーゲンスブルク大学の留学生は日本人もかなり多く、私のクラスも半分くらいが日本人だったため、クラス全体を日本人のペースに巻き込む形になることも多かったり、他の国からの留学生もとても優しい人が多く、英語が話せなくてもいつも話しかけてくれたり、何かに誘ってくれたり、わかりやすく話してくれたため、現地で人には本当に救われたと思っています。ただ絶対に英語を勉強するべきだと強く感じました。選択科目で英語の授業はありますが、日本語で教えてくれる授業はもちろんありません。母国語が英語の人や、日常的に英語に触れてきた人は、たとえ同じ留学に行って、同じ経験をしても英語ができない人の何倍も吸収できることを目の当たりにして、とても悔しかったです。後悔はしているし、もう少し勉強しておくべきだったとは、自分がどのレベルにいたとしても絶対に思うことだと感じていますが、自分自身がそれをできない状態で留学を選んで、約半年間知らない土地で生活できたというのは、私にとっては大きな冒険で、無事に生きて戻ってくることができたというのはある種の自信になったと感じています。
この留学で特に良かったと感じるのは、「今しかできないこと」をたくさん体験できたことです。できなかったことを挙げるのは簡単ですが、私は何よりもこのタイミングで留学に来なければ出会えていなかった人や、見ることができなかった景色を、一生の宝物だと感じています。結果的に、この留学は、自分の中では大成功だと感じています。もちろん様々なハプニングが起こりましたし、後悔だってたくさんあります。本来ならば何1つ後悔なく帰って来られた!というのが私の理想でしたが、後悔したからこそ意欲が高まったので、日本に帰ってきたこれからが本番だと思っています。自分一人の力ではなく、一緒に留学へ行った仲間や現地で出会った人、家族、先生など、とても多くの人の支えがあったからこそこの留学が成り立ったのだと思うので、人生の中でこのような素晴らしい経験をさせていただいたことに感謝しながら、留学中に学んだこと、後悔したことを充分に活かしてこれからの生活を送りたいです。
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