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ヴッパータール大学
- 留学で感じたこと
- 鈴木智絵里
- ドイツ語・ドイツ文化専攻2年
- 2019年10月~2020年3月
私は、10月から3月までドイツのWuppertal大学に留学していました。先生に、「何もないところだよ」と紹介されたWuppertalでしたが、今は、Wuppertalに来ることができて本当によかったと思っています。Wuppertalは、確かに観光地として行くには物足りなさを感じるかなと思いました。駅周辺は近代的な建物やお店が並び、多くの人がドイツと聞いて想像するであろう、可愛らしくお洒落なお家もあまり見かけません。山の上の大学なので、駅から大学までの道はひたすら坂です。地形上、雨もたくさん降ります。しかし、少し頑張って坂を登れば、ドイツらしい重厚感のある家々が並び、また上から見る街の景色もとても綺麗です。公園もたくさんありますし、山の中をお散歩することもできます。私はWuppertalに来て、空を見るという新たな趣味を見つけました。一人で散歩をした帰りには必ず空を見ますし、空を見るためだけに外へ出かけることもありました。寮から徒歩5分の大学の敷地内にも、空を眺めるのにぴったりの場所があります。ここで、私がWuppertalに来ることができてよかったと感じる大きな理由を3つ紹介します。
1つ目は、自然を近くに感じられたことです。先程述べたように、Wuppertal大学は山の上にあるので、大学の周りには森がありますし、晴れた夜には綺麗な星空を見ることもできます。ドイツ人の友達に教えてもらって、一緒に森でニラを収穫したこともありました。日本では、日常生活に自然との時間が全くと言っていいほど無かった私ですが、ドイツでは、晴れている日はほぼ毎日自然に触れる時間があったと思います。ドイツ語を話す機会があまり無かった日には、ドイツ語でぶつぶつ独り言を言いながら散歩をしたり、ただベンチに座ってじっと雲の動きを眺めたり、日の落ちる様子を眺めたりしました。一人で空を眺めている時は、よく留学生活について振り返っていました。留学の目的を再確認したり、今後の小さな目標を作ったりといった日もありましたが、くよくよと悩み事を考える時間がほとんどでした。しかし、自分の気持ちについて考える時間は、成長するために必要だったなと思っています。勉強にバイトにと忙しかった日本では、自分が今感じていることを考える、自分のための時間など作ろうとも思っていませんでしたが、こういう時間も大切なんだなと気づかせてくれたのは、Wuppertalの自然でした。
2つ目は、人と知り合えるチャンスがたくさんあることです。Wuppertal大学には、IST(International Students Team)主催の留学生向けイベントがたくさんあります。留学初日から一週間は、毎日ISTのイベントがありましたし、授業開始後も毎週末イベントがあります。私は留学初日からの一週間それらのイベントに参加しましたが、その一週間で知り合った人達とは、その後もあいさつを交わす仲になり、イベント外でも帰国まで交流が続いた人達がいたので、本当に行ってよかったなと思っています。また、毎週金曜日に行われるJapanisch Tandemでは、日本語を勉強している学生と知り合うことが出来ました。この二つのグループで知り合った人達が、私の留学生活のほとんどすべてを占めています。正直、留学に行ったからと言って、毎日ドイツ語を話す機会があるわけではありません。私の場合、寮のルームメイトは同じ麗澤の学生でしたし、授業のない土日などは特に、家にいればドイツ語を使う機会などありませんでした。授業も文法が中心だったため、先生の解説を聞くことが多く、手を挙げて発言したり、休み時間にクラスメイトに話しかけたり、自分からアクションを起こさないと、話すチャンスは巡って来ないんだなと感じました。そのため、ドイツ語で話せる友達を持つことは、留学においてとても重要だったと感じています。大学内で、このようにクラスメイト以外の人と知り合えるチャンスがあるのはとてもありがたかったです。さらにWuppertalの良い所は、Düsseldorfまで電車で20分、無料で行ける点です。Düsseldorfには日系企業が多いからか、日本に興味がある・日本語を勉強している人が集まる会がたくさん開催されています。私はFacebookやMeetupを使って調べ、主に大学の友達が忙しくしている間、これらに参加してドイツ語を話す機会を作っていました。私が参加したのは「Sprachenstammtische Düsseldorf」と「J会話」です。Stammtischの方は、言語を問わず自分の話したい言語(ドイツ語、英語など)のブースに行って自由にお喋りをするというもので、主にドイツ人にはなりますがいろいろな国の人とも知り合えました。J会話では、日本語が話せるドイツ人やドイツに住んでいる日本人と知り合えます。どちらも毎週開催されていて、申し込みもキャンセルも開催直前まで可能なので、自分の予定に合わせて自由に参加できます。「J会話」のような、日本語を勉強している人・日本に興味がある人と知り合える会は、ドイツの中でもDüsseldorfが断トツで多いので本当におすすめです。
3つ目は、たくさんの素敵な友達に出会えたことです。これは、どこの大学に留学していても変わらないかもしれませんが、私がWuppertalに来ていなかったらこの人たちにも出会えていなかったんだと思うと、心からWuppertalでよかったと思えます。一緒に楽しい時間を過ごせたのは大切な思い出ですし、辛かったこともまた思い出です。私は、言語が通じない相手と一緒に過ごした時、必ずと言っていい程毎回、「今日もドイツ語話せなかったな」と落ち込んでしまいます。もちろん一緒にいる時は楽しいですが、友達と別れた後は、つい一人反省会をしてしまっていました。日本語が話せるドイツ人と遊んだ後でさえ、「今日はいつもよりたくさん日本語使っちゃったな」などと考えてしまいます。一緒に居たときどんなに楽しくても、「楽しかった」だけで終われないのが外国人の友達でした。しかし、それでもまた会いたいと思えたのは、そこにたくさんの喜びと学びがあったからです。ドイツで出会った友達全員、みんな尊敬しています。お喋り好きなみんなの話は、私に新たな興味を持たせてくれましたし、政治などの難しいテーマでも、彼らとディスカッションするためなら喜んで勉強できました。彼らの意見から、新しい考え方をたくさん得ることも出来ました。Coronaで大変な時、一緒に解決策を考えてくれた人もいれば、私のドイツ語について厳しい意見を正直にぶつけてくれた人もいます。本当に大切な友達に出会うことが出来ました。幸い、帰国後の今でも連絡を取り合えているので、これからもこのご縁を大切にし、そしていつか日本に来てくれた時に、この感謝を返せるよう、それをモチベーションにこれからも頑張りたいと思います。最後に、Wuppertalに留学させてくれた両親、先生方に心から感謝したいと思います。ありがとうございました。
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