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ヴッパータール大学
- 好きに囲まれた半年間
- 中村龍斗
- ドイツ語・ヨーロッパ文化専攻2年
- 2023年10月~2024年3月
私は2023年の10月から2024年の3月まで、ドイツ、ヴッパータールにあるヴッパータール大学に留学をしていました。約半年間という短い時間でしたが、楽しいこともあれば辛いこと、壁にぶつかることも多かった忘れることのできないとても濃密な時間でした。
私が留学をしたきっかけは、元々ドイツのサッカー文化を通じてドイツの伝統や文化に興味を持ち、特に私はノルトライン=ヴェストファーレン州、ルール地方にあるドルトムントを本拠地としているボルシア・ドルトムントの大ファンであった為、実際にドルトムントの近くで暮らし、言語を学びながら、サッカーを通して知ることのできたその都市、地方の特色などを自分の身で経験してみたいと思ったのが大きなきっかけです。
ヴッパータールはミュンヘンやドレスデンのようにメルヘンチックで中世を感じる街並みだとはお世辞にも言えませんが、都会の喧騒は感じないが田舎でもない、といった大きすぎず、小さすぎずといった都市で、近くにケルン、デュッセルドルフなどといった有名な都市もあるので、観光やショッピングをしたり、サッカー観戦に行ったり、友達と日本食を食べに行ったりなど、息抜きには困る事はなく、立地も含めてとても住みやすい素晴らしい街でした。
ヴッパータールでは私は学生寮に住んでいました。寮は大学から徒歩で約5分程で、MENZA(学生食堂)の近くにあります。大学が山の上にあるので、険しい階段道や坂道を登り、毎朝登校していました。寮では同じ国の人となることが多く、私も同じ日本人の学生と同じ部屋になりました。留学において、異なる国の人たちと暮らし、多くの時間をともに過ごしながら、異文化交流を行なっていくということは一つの醍醐味であるとも言えますが、やはり同じ国の人であると文化の違いもなく、戸惑うこともなかったので寮の中では比較的落ち着いて過ごす事ができました。ヴッパータール大学にはタンデムがあり、毎週水曜日に行われています。ヴッパータール大学の語学コースでは留学生向けということもあり、あまり大学のドイツ人の方と喋る機会がないのでとてもお勧めです。一緒に談笑やゲームをしたり、手作りカップケーキを振る舞ってくれたり、クリスマスの時期になったらクリスマスマーケットに行ったりしました。日本人の私より日本のことを知っているのではないかと思うくらいの知識量を持っていて、日本という国の文化の影響力を改めて感じさせられると同時に、少し誇りにも感じました。
ヴッパータール大学では学期初めにオリエンテーションがあり、そこで住民登録の手続きや、銀行開設、滞在許可証の申請についての説明を行なってくれました。銀行開設は、大学の中に銀行(Sparkasse)の支店があるので、そこで開設する事をお勧めします。住民登録や滞在許可証の申請は大学を通して行なってもらいました。住民登録に関しては何の問題もなく手続きを終える事ができたのですが、滞在許可証の申請については留学中1,2を争うほど苦戦を強いられました。まず必要な書類をメールで提出したのですが、締め切りは明日までといったような連絡が急に来るので本当にとても困りました。そして大学を通しての申請方法は昨年から変わったらしく、担当の方もあまり分かっていない感じでした。私は長期留学前に事前研修を行なっていた為、シェンゲン・ビザの期限が切れるのが他の留学生よりも約1ヶ月早かったので、不法滞在になってしまうのではないか、とヒヤヒヤした日々を過ごしていました。12月中旬に仮ビザを受け取ることができたのですが、その仮ビザは他のEU
内や海外に行く事ができない類のビザでした。
年明けになっても全く連絡がこず、私は2月に海外旅行を予定していたので、担当の方に直接お話に行くと、半年間(1セメスター)なので仮ビザしか貰えないのかも知れないと言われ、そこでその担当の方に外国人局の方の連絡先をいただき、その人に連絡をして滞在許可証を改めて貰う手続きを始めました。
仮ビザをもらいに行った時はてっきりこの一か月後くらいには貰えるのだろうなと軽い気持ちで考えていたので、よりもっと詳しく質問をし、自分のビザの状況やこれから自分がどこへ、そしていつ行くのか、ということについてはっきりと伝えるべきだったな、ととても後悔しています。ですが、今ではこの苦い出来事も自分にとっては記憶に残る良い思い出です。
私はヴッパータール大学での半年間ではStudienvorbereitender Deutschkurs A2, B1 という2つのレベルでの留学生向けの語学コースを受講しました。流れを簡潔に説明すると、まずA2の授業を月曜日から金曜日まで8:15~11:45までの授業を八週間受講します。八週間の授業を終えて、A2コースからB1コースへ上がるためのテストが行われます。合格する事ができれば、ひとつ上のレベルのコースへ進む事ができます。最終的にA2, B1コースを無事に合格する事ができたのですが、振り返ると圧倒的に挫折や悔しい思いをしたことの方が多い期間でした。
授業は全ての説明がドイツ語で行われ、グループワークを中心に行われていました。自己紹介を兼ねたグループワークの様なものを行った時に、国籍はもちろん年齢層も日本の大学に比べると幅広いことに驚きを感じました。年齢や国籍、母語や育ってきたバックグラウンドが違う中で、異国の地で一つの言語を共に学ぶという事は私にとって非常に貴重な経験になり、振り返ってみるともちろん大変ではあったけど、とても楽しく、毎日が充実していた日々であったなと感じています。グループワークやディスカッションにおいては自分の意見を思っていた様に伝えられなかったり、相手の伝えたいことをしっかりと理解できなかったりなど、悔しい思いをすることがとても多く、最初の頃は柄にもなく落ち込んだりしていたのですが、回数を重ねていくごとに上達していくのを感じ、分からなかった時には〜ってことだよね?という様に相手に聞き返す様にしていました。このように自分の伝えたい事が伝わった時、相手の意見を聞き取れた時など、小さなことかもしれませんが、その小さな成功体験の様なものが少しずつ小さく積み重なり、私にとって大きな自信となっていきました。
短い半年間という留学の中で、多くの挑戦をし、挫折を繰り返しながらも学生として、そして一人の人として成長をする事ができました。海外に行ったこともなく、一人暮らしの経験すらない様な私がドイツで約半年間生活し、忘れることのできない素敵な日々を送る事ができたのは大学の方々や、友達、そして日本からずっと応援をしてくれていた家族のおかげです。そして最後に改めて、この半年間の留学生活を通じて出会えたすべての人に感謝します。この感謝に気持ちを忘れずこの経験を糧にし、残り少ない学生生活をより有意義なものにできるように過ごして行きたいです。
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