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ロストック大学
- ロストックでの11ヶ月
- 山田有紗
- ドイツ語・ドイツ文化専攻3年
- 2017年10月~2018年8月
約10か月間の私の留学生活が終わりを迎えました。中学生の頃からずっと夢見てきた留学。「長いようで短かった」とはよく言いますが、まさに言葉の通り、終わってみてしまえばあっという間の10か月だったように感じます。ですが、この留学で得たものは計り知れないほど大きなものでした。語学力はもちろんのこと、世界各地からの沢山の人々と知り合い、大切な友人もでき、精神的にも、自分自身を見つめ直すという意味でとても貴重な時間を過ごすことができました。どれも留学という大きな挑戦をしていなかったら、得ることができなかったものであったと思います。
海外での一人での生活は私の精神力を鍛え上げてくれたように感じます。最も大変だったのはドイツで生活するために行う諸々の手続きでした。これを行うのはドイツに到着して間もなくだったので、びくびくしながら役所や銀行を訪れました。基本的に手続きは自分たちで行わなければならなかったので、慣れないドイツ語で英語を交えながらなんとか相手とコミュニケーションをとりつつ、手続きを進めました。ですが、ここでは私の運が悪かったのか、問題ばかり。言われた書類は用意したはずなのに窓口を訪れるたびに書類が足りないと返され、何度も心が折れそうになりましたが、自分でどうにかするしかありません。様々な窓口を訪ね回ってなんとかビザの申請を終えたのはドイツに到着して3か月も後のことでした。(その後の期間延長の手続きでもひと悶着ありましたが…)この問題は私にとって大きなストレスとなり、スタートから出鼻をくじかれたような思いがしましたが、今となっては、まさに海外生活ならではの良い経験になったと思っています。
授業についてですが、まず、私がロストックを留学先として希望したのは、学習環境が一番整っていると思ったからです。大学が長期休みに入っても私たちが通っていた語学学校では授業が行われていましたし、到達目標として掲げていたドイツ語のレベルも非常に高かったです。授業初日にクラスメイト達と初めて話したとき、ほかの国の人たちとの間に語学力の差を感じました。その後行われたテストでは2つのクラスに分けられたのですが、そう公表はされなかったものの、入ったのはおそらく下のレベルのクラス。自信があったわけではなかったのですが、やはりそれがショックでした。ですが落ち込んではいられないと反骨精神が芽生え、モチベーションへと繋がったので、結果的にはこれは自分にとってはプラスな出来事でした。その後はA2のレベルからクラスはスタートしました。授業では主に文法など、ゲーテインスティテュートのテストに向けた勉強が行われていました。2か月に1回ほどのペースで行われるテストのあと、授業のレベルが上がり、最後にはC1.1を終了させるというのが私たちのプログラムでした。初めは先生の言っていることを理解するのも一苦労で授業中に周りが何をしているのかもわからないという場面も頻繁にありました。ですが、授業に参加したり、友達と会話したりしていくうちに、ドイツ語を話すことにも聞くことにも次第に慣れていきました。最終的には目標としていたレベルまで達することができ、充実した環境で留学できたことをとてもうれしく思います。さらにクラスで出会った友人たちは私の留学生活の中でかけがえのない存在でした。クラスには日本人以外にも様々な国からの学生がいましたが、その中に休日になると家に呼んでくれたり、クラブへ連れていてくれたりしてくれる友人がいました。日本にはクラブに出かけたり、週末にパーティーへ行ったりする文化はあまりないので、彼らとかかわることで、私にとっては新しい世界、文化を知ることができました。日本人だけで固まっていたら、きっと警戒してそのようなところに行く気にはなれなかっただろうと感じるので、そんな壁を打破してくれた彼らにはとても感謝しています。
そして私はドイツ語の授業のほかに、最初の学期には英語、次の学期にはスペイン語の授業をとっていました。英語の授業はそれぞれ自分のレベルに合わせたクラスで行われていました。ペーパーテストでは同じくらいの点数のはずなのに、周りのほかの国からのクラスメイトたちは自分の意見をスラスラと話します。圧倒的な会話力の差に打ちのめされました。最後までその差を完ぺきに埋めることはできませんでしたが、自分の弱点を改めて知る良いきっかけとなりました。スペイン語の授業では、授業はすべてドイツ語で進みました。その上、私たち3人の日本人を除いては全てのクラスメイトがドイツ人。大きすぎるハンデに、初めは授業内容を理解するのにとても苦労しましたが、先生や授業内のパートナーだったドイツ人のクラスメイトに助けられ、何とかついていくことができました。最後のテストにも無事合格することができ、達成感でいっぱいになりました。厳しい環境ではありましたが、ドイツ語でほかの言語を学ぶという貴重で贅沢な経験ができたことは大きな収穫となりました。
最後には一人でプラクティクムを行うために一人でフランクフルトを訪れました。知り合いはほとんどおらず、住む部屋の確保、移動などすべてを一人で行いました。またゼロから生活が始まったように感じました。ですがそこから友達を作り、沢山話をし、次第に一人ではなくなり…。本当に独りぼっちになったような気がしていましたが、そこから自分の生活を作り上げていく力がつきました。今までの私だったらきっと自分の殻に閉じこもり、一人で過ごしていたでしょう。確かにこの11ヶ月で私の心は成長していました。
留学を終えた今、恵まれた出会いへの感謝、自分自身の特に精神面での成長を感じています。11ヶ月の留学の間には、数えきれないほどの出会いに恵まれました。クラスメイト、そこから広がった友人の輪、先生方、スタムティッシュのメンバー、プラクティクムで関わった方々。今までの人生と比べると考えられないほどの沢山の出会いがありました。そこから学んだ様々な文化は私の世界を広げてくれました。そのすべてに改めて感謝したいと思います。
留学をすることが「正義」、などというつもりはありませんが、一度日本から出てみることで、自分の見えている世界、考え方の幅が広がることは確かです。自分の国である日本についての考えさえ変わります。日本での当たり前が自分の中の当たり前でしたが、それがそうでもないのだと気づくことができます。すると世界、さらに日本への興味が湧きます。この気づき、興味は私にとってとても大切なことでした。自分の未来が広がった気がしました。
ここから新たにまた自分の道が始まります。今の気持ちを忘れずに、進んでいきたいと思います。
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