工学部
2026.04.27

【後編】「好き」から始まる実践。正解のない課題に挑む塚田ゼミのプロジェクト

【後編】「好き」から始まる実践。正解のない課題に挑む塚田ゼミのプロジェクト

麗澤大学工学部の塚田ゼミでは、学生が主役となり、福祉・教育・農業と様々な現場で課題解決に取り組んでいます。高齢者施設や幼稚園での音声データ収集、梨農園の3Dデータ化など、その活動は多岐にわたります。後編では、学生たちの本音や今後の目標について伺いました。
※2025年度取材

塚田 義典
工学部 工学科 准教授
学生時代にベンチャー企業で経験を積み、ビジネス視点を取り入れた実践的な指導を行う。専門は空間情報科学。インフラ管理を直感的に行える技術の研究で「インフラDX大賞」国土交通大臣賞を受賞。学生には「成長とは変わること」と伝え、自ら考え行動する力を引き出している。
打越 良太
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2024年入学
高校時代は歴史研究部に所属し、「モノの歴史」をテーマに探求活動に取り組む。大学選びでは「自分のやりたいことができる環境」を重視し、麗澤大学へ進学。塚田ゼミでは梨農園の3Dデータ化プロジェクトに取り組み、未知のOS環境の構築やセンサー技術の習得に苦戦しながらも、実践的なスキルを磨いている。
※取材時、2年次生
前田 守海
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2024年入学
高校時代は純文学やSF小説を愛読。工学部一期生として新しい環境に学べる点に魅力を感じ、麗澤大学へ進学。塚田ゼミでは、梨農園の3Dデータ化と音声データ収集の両プロジェクトに中心メンバーとして参加。現実世界から取得したデータをAIや3D技術で分析することに面白さを見出し、実践的な技術習得に励んでいる。
※取材時、2年次生
常泉 颯雅
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2024年入学
中学校では野球部の副主将、高校では軽音楽部でドラムを担当するなど、主体的に活動してきた。「いちからTry2025」では、祖父母のスマートフォン操作の不便さに着目し、音声AI向けデータ収集プロジェクトを発案。優秀賞を受賞した。将来は「音」に関する技術を専門的に深めていきたいと考えている。
※取材時、2年次生
目次

    実践で得た自信と、それぞれの次の目標

    ―プロジェクトを振り返って、どのような学びや変化がありましたか?

    • 常泉さん:現場で録音を行うための計画づくりや、相手に合わせたコミュニケーションなど、人と人との関わりの大切さを実感しました。音声チームは3人と少人数で大変な場面もありましたが、梨農園チームの前田さんがサポートに入ってくれて、本当に助けられました。彼がいなかったらここまでできなかったと心から感謝しています。

      今後は、自分がこれまで続けてきた音楽の経験も活かしながら、「音」に関する技術分野をより深く学んでいきたいと考えています。今回の経験を、将来につながる専門性として積み重ねていきたいです。

    打越さん:一番の学びは、データ処理のための環境をゼロから構築した経験です。これまでWindowsしか使ったことがなく、「Linux」にも初めて触れる状態でしたが、自分で調べながらOSの仕組みやセンサーの技術について勉強し、最終的には動かせるようになりました。この経験は大きな自信になっています。

    今後は、プログラミングやコーディングのスキルをさらに高めていきたいです。3Dデータの面白さを実感したからこそ、空間データを扱う分野にも積極的に挑戦していきたいと考えています。

    • 前田さん:今回の活動を通して強く感じたのは、チームで動くことの難しさと面白さです。私は梨農園と音声収集の両プロジェクトに関わる中で、それぞれの役割や進め方の違いを調整しながら、メンバーと協力して進めていく経験ができました。

      今後の目標としては、現実世界から取得したデータをさらに扱っていきたいと考えています。3Dの点群データやスマートフォンの顔認証のようなAIを使った画像解析など、実社会に応用できる技術に関心があります。現実の事象をデータとして捉え、社会にいかしていく力を高めていきたいです。

    想定外の連続が、主体性を育てる

    ―学生たちの成長について、どのように感じていますか?

    • 塚田先生:今回は正式なゼミ配属前の「プレゼミ」という位置づけで、学生たちも私の研究テーマを選んで来たわけではありません。だからこそ、細かく指示を出すのではなく、のびのびと取り組める「機会」だけを提供しました。

      いざプロジェクトが動き出すと、システム環境の構築でつまずいたり、現場でのコミュニケーションに悩んだりと、想定通りに進まない場面が多くありました。しかし、そこからが彼らのすごいところで、温度差に悩みながらも学生同士で教え合い、助け合いながら一つひとつ前に進んでいきました。

    そうした試行錯誤のプロセスを経て、自分の意見を自分の言葉でしっかり伝える力や、Slackを使った社会人らしい連絡の取り方など、コミュニケーションの面でも確かな成長を感じました。「成長とは変わること」だと私は考えていますが、最初は手探りだった彼らが主体的に考え行動するようになったその変化は、とても頼もしいものでした。

    ―特に印象に残っている場面はありますか?

    • 塚田先生:梨農園や高齢者施設といった「現場」に向かう時の彼らの姿です。単に現地で作業したことよりも、そこに至るまでの準備段階で、自分たちで役割を分担し、自発的に動けているかどうかに注目していました。今回はまだ2年次なので、失敗から学ぶことを優先して私からの口出しは最小限に抑え、スケジュール管理なども彼らの自主性に任せました。もちろん、3年次になって本格的なゼミナールが始まれば、ビジネスの現場でも通用する段取り力を身につけてもらうため、もっと厳しく指導していくつもりです。

    最終的に自分たちの手でデータを形にし、審査会やセミナー発表会という大舞台で堂々と成果を発表できたことは、間違いなく学生たち自身の力で勝ち取ったものであり、大きな自信につながったと教員として非常に嬉しく思っています。彼らが自ら考え、やり遂げたこの経験は、社会に出た時にも必ずいきるはずです。

    「どこに行くか」より「何をするか」

    ―最後に、進路に悩む高校生へ「大学選びのポイント」を教えてください

    常泉さん:高校時代は受験勉強があまり得意ではなかったのですが、自分の将来について考える中で、「好きなことなら全力で頑張れる」と気づきました。だから高校生の皆さんにも、どんな小さなことでもいいので「好きなこと」や「やりたいこと」をひとつ見つけてほしいと思います。それを軸にすれば、自然と「この大学のこの学部に行きたい」という目標が定まって、調べるようになります。自分の好きなことに向かって進むのなら、どんな壁にぶつかっても絶対に乗り越えられるはずです。

    • 打越さん:「自分の本当にやりたいことができる環境」を選ぶことが大切だと思います。その方がモチベーションも保てますし、何より大学生活が絶対に充実して楽しくなりますからね。もちろん学部や学費、立地などの現実的な条件も重要ですが、最終的には「自分が何をしたいか」という軸がないとブレてしまいます。もし今やりたいことが見つかっていなくても焦らなくて大丈夫です。高校3年間のうちに、色々な経験をして「これ、いいな」「面白そうだな」と思えるものを少しずつ探してみてください。

    前田さん:直感や雰囲気も大切にしてほしいなと思います。私自身、オープンキャンパスで訪れた際、緑が多くてのびのびと学べそうな環境にすごく惹かれました。それに、工学部の一期生という新しい環境に飛び込むのが「なんだか面白そう」だと感じたのも決め手のひとつです。情報システムからロボティクスまで幅広く学べる環境は、自分に合っていました。大学は実際に足を運んでみないとわからない雰囲気が必ずあります。皆さんもぜひオープンキャンパスなどに参加して、自分がそこで楽しく学んでいる姿を想像できるか確かめてみてください。

    • 塚田先生:大学選びで最も伝えたいのは、「どこの大学に行くか」ではなく「そこで何をするか」が重要だということです。大学の環境や出会う人々は、人生を大きく左右します。私自身も学生時代のゼミナールでの出会いが人生を変えるきっかけになりました。ですから、偏差値や知名度だけで選ぶのではなく、「ここに行ったら自分が変わりそうだな」「面白そうだな」というワクワク感や期待感を持てる場所を選んでください。「成長とは変わること」です。自分が主体的に行動し、前向きに変化していけるような、そんな素敵な環境と出会えることを応援しています。

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