法政大学 社会学部メディア社会学科教授 田中優子 氏が講演
2013.6.12

麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成25年度前期第2回目が6月8日に開催され、法政大学 社会学部メディア社会学科教授の田中 優子 氏がテーマ「降りる思想」と題して講演されました。当日は206名の方々が来場し熱心に聴講されました。清楚な和服に身を包まれた田中氏は、スライドを使用しながらゆっくりとした口調で、わかりやすく展開されました。

まず田中氏は、一般的な江戸時代の印象について、「一般に江戸時代は鎖国制度によって閉鎖的な国であり、その中から独自の文化が生まれた、と単純に考えられていました。しかし、それをグローバルの視点からみると、まったく違う江戸文化の本質が見えてくるのです」と、今回の講演趣旨を述べられました。

田中氏は、「日本は、戦国時代というどん底の時代から江戸時代という大きな転換を迎え、「復活」を遂げました。しかしその「復活」は、一朝一夕で行われたわけではありません。1603年に江戸幕府が開かれてから30年以上もかけて大きな転換がなされ、努力の末に独特の江戸文化が築かれたのです」と力強く解説されました。

田中氏は「降りる思想」について、「”降りる”とは”下がる”ことでも”落ちる”ことでもなく、江戸時代に学び降りることです」と述べられ、江戸文化について、多くのスライドで浮世絵を映しだされました。そこには、油や着物など、資源を大切にして使い尽くす知恵と、ゴミを出さない完全な循環型社会の数々を紹介されました。

田中氏は最後に、「江戸時代の素晴らしいところは、外国から巻き込まれ過ぎず、独自の道を探し歩むことができたことです」と言及され、「私たちは、欧米の真似をするだけでなく、日本文化の持つ復活力を考える時期に来ています」と展開されました。

講演終了後の質疑応答では活発な質問がなされ、田中氏は「江戸しぐさ」を基に補足説明をされました。田中氏は、「”江戸しぐさ”といわれる”傘かしげ”や”こぶし腰浮かせ”などは、相手を思いやる気持ちがないとできない動作です。重要な点は、それらが社会へ出る中で、人間関係の距離感を自然につくりだすという、独自の日本文化であることです」と述べられました。

さらに、敬語や俳諧、玄関の上り框等を例に出され、「相手の身になって考えることで、”付き過ぎず、離れ過ぎない人間関係”をつくることができます。そうした江戸時代の文化は、現代でも通用するのです」と解説され、講演会は盛大な拍手と共に終了しました。