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2014.08.29|最終更新日:2020.07.30|

麗澤大学 経済学部教授 髙 巖 氏が講演

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麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成26年度前期第4回目が8月2日に開催され、麗澤大学 経済学部教授の髙 巖 教授が、テーマ「グローバル化と企業社会責任の再生」と題して講演されました。当日は254名の方々が来場し熱心に聴講されました。

髙 教授はまず、今回は次の4つのテーマについて講演すると説明されました。1.「2つの社会哲学の中で世界は動く」、2.「様々な社会事象の背景にあるもの」、3.「グローバルリスクとしての海外腐敗行為」、4.「新たな社会哲学は、企業と人々に何を求めるか」。

髙 教授は、2つの社会哲学「自由至上主義」(リバタリアニズム)と、「社会自由主義」(ニューリベラリズム)によって、世界は大きく動いていることを解説されました。「自由至上主義とは、政府は取引に介入せず、市場に委ねるというという考え方です。一見良さそうな考え方ですが、取引に参加する者の間には対等な立場はなく、すでに優劣が存在しているため、弱者は不利になってしまうという欠点があります。この主義には限界があります」と解説。

一方、社会自由主義については、「自由な取引だけに委ねると、社会の正義は歪められてしまうため、政府が市場に介入して、結果として社会的弱者を支えるという考えです。各自の才能や資質は偶然であり、社会の"共有資産"であるため、そこから生まれる利益は社会に還元されるべきである、という考え方です。」

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髙 教授は、「世界に非常に大きな影響力を与えているこの2つの思想は、水と油の関係にあり互いに相反して対立しているが、実はこの2つの思想は手を取り合わなければならないのです」と解説されました。さらに「自由至上主義も社会自由主義も、"個人はバラバラの存在である"ことが前提となっているが、そうした考えでは、健全な社会をつくることができません。そこで、新たな社会哲学として『共同体主義』(コミュニタリアニズム)の思想が必要なのです」と解説されました。

髙 教授は最後に、コミュニタリアニズムの起源について解説され、それを実践された身近な例として、京セラの稲盛和夫氏の考え方について言及されました。稲盛氏が「仕事の結果=考え方×熱意×能力」であるという方程式を説き、中でも"考え方"を重視していると解説されました。また、稲盛氏がJALの再建をどのような経緯で行ったのか、詳細に説明されました。

講演終了後は活発な質問が飛び交い、盛大な拍手とともに講演会を締めくくられました。