東日本大震災 被災地でのスタディツアーをROCKで開催!
2013.11.27

平成25年11月15~16日に1泊2日の日程で、「松本健一 スペシャル・スタディツアー」が開催されました。この事業は、東北学院大学災害ボランティアステーション、麗澤オープンカレッジ、一般財団法人アジア総合研究機構の三者共催によるもので、後援として仙台市、株式会社一ノ蔵の協力をいただき、盛大に開催されました。

宮城県女川町での集合写真

【行 程】
■11/15(金) 東京駅出発(新幹線) → 仙台駅到着 → 特別講演会(東北学院大学) → 懇親会
■11/16(土) 松本健一と行くバスツアー → (仙台発~女川~石巻~多賀城・末の松山)


初日は、東京駅から26名のツアー参加者が仙台に向けて出発。到着後、東北学院大学の押川ホールに移動し開会されました。会場には、講演会のみに参加された東北学院大学の学生、本学と姉妹法人である公益財団法人モラロジー研究所の会員の皆さんも多数参加され、会場内は100名を超える聴衆者で賑わいました。

最初に、主催者を代表して本学経済学部の成相 修教授(麗澤オープンカレッジ長)が挨拶し、続いて来賓として稲葉信義仙台市副市長、東北学院大学の松本宣郎学長の挨拶が行われました。

次に、東北学院大学ボランティアステーション所長の郭 基煥教授による「災害経験についての省察と活動報告及び今後の展開」と題してのプレゼンテーションが行われました。東北学院大学は、東日本大震災を機に全国の大学生受け入れの為のボランティアネットワークを立ち上げ、中心的な役割を担ってきました。郭教授は今後の展開について、「今回のノウハウにより、今後各地で発生する災害に対しても、大学間連携ボランティアネットワークを再構築し、本学がその拠点の一つとなるように努めたい」と述べられました。

力強いプレゼンテーションを行う浅見修平氏

続いて、株式会社一ノ蔵の社員である浅見周平氏のプレゼンテーション「東日本大震災を経験して」が行われました。浅見氏は本学の卒業生であり、同社には執行役員として勤務されています。浅見氏からは、震災にて被災した会社を立て直す様子や、社員と共に取り組まれた炊き出し等の支援活動を紹介されました。浅見氏は「避難所にはお酒は不要なものですので、我々ができることは何なのか、ずっと悩んでいました。そうしたところ、ある避難所から”料理酒が足りない”との声を聞き、料理酒を提供することができたのです。少しでも力になれて本当に嬉しかった」と語り、社員一同、懸命に支援活動に取り組まれた姿に、聴講者の中には思わず涙する方もおられました。


松本教授による力のこもった講演

最後は、松本教授による、テーマ「新・海岸線は語る ~東日本大震災のあとで」の講演会が開始されました。松本教授は、東日本大震災当時に内閣官房参与に在任されていた当時を振り返り、「東京電力福島第一原発は35mの山を25m削って建てた為に、津波の被害にあった。理由は経費削減である。一方で東北電力女川原発が津波の被害に遭わなかったのは、津波の怖さを知っていたために、20mの山を5mだけ削って15mの高さに建てたから免れた」と述べられ、福島原発事故について、「昔から津波が多い地域であるのに、東京の本店や霞ヶ関から東北を考えたからそのような事故が起こった」と述べられ、原発事故についてはまさしく人災であると訴えられました。


講演会終了後はホテルへ移動し、盛大な懇親会が行われました。株式会社一ノ蔵から「しぼりたて生原酒」という銘柄の新酒の日本酒を提供していただき、美味しい料理と共に参加者の皆さんは東北の味覚を満喫しました。

二日目は、松本教授と共にバスツアー海岸線を巡るバスツアーとなりました。まず、女川原発PRセンターを訪問しました。事故当時、当PRセンターが避難所になった経緯や、女川原発は15mの敷地が地盤沈下して14mになったところで、13mの津波が襲ってきて危うく難を逃れたという説明を受け、皆さんは生々しい現実を目の当たりにしました。

樹齢数百年の松の木の前で

最後は、多賀城市の「末松山 寶國寺」の奥にある「末の松山」を訪問。樹齢数百年の松の木を前に、松本教授は百人一首でも歌われた清原元輔の句を説明されました。

「契りきな かたみに袖をしぼりつつ 末の松山 浪こさじとは」
(要約)一生連れ添うと誓いましたね。互いに涙で濡れた袖をしぼりながら。末の松山には決して波が越えないように、絶対に心変わりはしない、と。

当地は、899年の貞観地震で津波に襲われた際にも波は越えなかったと言われています。 また、東日本大震災でも目の前に津波が押し寄せてきましたが、ここから先には津波がこなかった場所であるとの説明がなされました。海からは数キロ離れた地であるのにも関わらず、この近くまで津波が押し寄せてきたという現状を目のあたりにして、参加者は皆、当時の状況を想像しながら思いを馳せていました。

今回のスタディツアーは、観光名所には訪問しませんでしたが、参加者にとってはとても有意義な研修旅行になりました。終了後は多くの感想が寄せられましたので、その一部をご紹介します。

「被災地は相当に片付けられておりましたが、家々の土台を見るに、そこに多くの人々が日常生活をしていて、一瞬の内に津波にさらわれ数万人の方々が命を落とされたと思うと涙が出てきました」

「松本先生の『海岸線の歴史』を読んだ後でしたので、私にとって一つの検証の機会となりました。先生のコメントの中で大変興味深く感じたのは、フィールドスタディの結果だと思いました。復興途上の現地を見て、意識を風化させることのないようにすることが大切なことであると再認識しました」

「先人の智慧を参酌し、経営意思判断に生かした東北電力と、被災経験のない東京電力の判断が、惨状の差になったことを知り、歴史の教えの重要性を認識しました」

「今回のようなスタディツアーがあれば、また参加を検討したいと思いました」

等、次の開催を期待する多くの報告をお寄せいただきました。