【開催報告】日本人口学会第68回大会
<公開シンポジウム「人口政策の成り立ちを考える〜Linking Past to Present〜」>
2016.6.20

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6月11日(土)に日本人口学会・麗澤大学共催、廣池千九郎生誕150年記念事業として公開シンポジウム「人口政策の成り立ちを考える~Linking Past to Present~」を開催。日本全国から大学教員、研究者、政策関連事業者、院生・学生を含む140名が3時間を超える報告とパネルディスカッションに熱心に参加された。

  麗澤大学と人口学の繋がりは、人口学の第一人者である、河野稠果(こうの しげみ)名誉教授、文化勲章を受章された速水融(はやみ あきら)名誉教授が本学に在籍されていたことから始まった。速水教授のご退職に伴い、同学図書館には先生が半世紀近く収集されてきた膨大な人口史料が寄贈された。人口史料詳細はこちら。このお二方を引き継いだのが、黒須里美(くろす さとみ)教授。黒須教授のご尽力もあり、この歴史ある日本人口学会のシンポジウムを、本学の記念すべき「廣池千九郎生誕150年記念事業」として開催する運びとなった。

 共催校代表として、中山理(なかやま おさむ)学長は「日本人口学会と麗澤大学との共催で開催する記念事業としてふさわしく、過去と未来がリンクするという副題に合わせ、創立者の想いが現在も受け継がれている麗澤大学で開催できることを非常に嬉しく思う」と挨拶した 。詳しくは学長室ウェブサイト参照。

 シンポジウムでは座長の原俊彦(はら としひこ)氏が今回のシンポジウムの意図として「様々な人口現象が起こる中、人口学会として問題意識を持ってこのシンポジウムを行い、人類の将来について、また人口と社会について考えていくべきである」と述べた。

 報告者の岡山大学 沢山美果子(さわやま みかこ)氏は「江戸時代の妊娠・出産管理政策からみる、いのちの序列化」について報告を行った。続いて龍谷大学 大塩 まゆみ(おおしお まゆみ)氏は時代を江戸から19世紀フランスへ移し「ユニバーサルなフランスの家族政策の起源」について報告がなされた。名古屋市立大学 藤田菜々子(ふじた ななこ)氏からは人口減少危機に直面した戦間期スウェーデンの「消費の社会化」という人口政策・社会政策・経済政策の一体化案についての報告があった。最後に大阪市立大学 杉田菜穂(すぎた なほ)氏は「戦間期の日本における優生-優境主義」について報告がなされ、「質のより良い社会のために必要なものは遺伝と環境の改善によってもたらされる」という考え方があったことを発表した。

 組織者の明治大学 加藤彰彦(かとう あきひこ)氏は、「人口政策には“量”の問題と“質”の問題がある中、今回は人口の“質”についての報告が多くなされた。それは報告者が女性であり、実際に子どもを産む当事者視点が大きく影響しているのではないか。男性目線ではどうしても出生率1.8を目指さなくてはと“量”について考え数字を追いかけがちだが、今回の発表で女性目線の報告をたくさん聞くことが出来て有意義であった」としめた。

 同シンンポジウムは、日本人口学会第68回大会~Linking Past to Present~の一環として行われた。6月11日、12日の2日間で行われた大会セッションには70本の研究報告があった。大会テーマにちなんだ英語セッション ”Marriage and Family Building in Historical and Contemporary East Asia”、学会として初めて扱う「セクシュアル・マイノリティに関する人口学的研究」も含め、人口開発問題のゆくえ、出生率の地域格差、結婚、未婚者の現在と将来などテーマは多岐に渡った。会場となった本校舎あすなろは、2日間、日本全国から集まった会員に加えて、 アメリカ、香港、台湾、韓国、中国からの研究者や非会員も含めた202名の参加があり、人口問題を巡る学際的・国際的議論で大いに賑わった。日本人口学会HPはこちらから