【後編】"スマホ1台で世界を変える" ―技術×創造で挑む課題解決
大学でデータサイエンスを学ぶ一方で、プログラミング、音楽制作、映像制作といった独自の創作活動も精力的に続けている大塲さん。「好きを追求する」という信念のもと、学びと創造の両輪で自らの可能性を広げ、技術を通じた社会貢献という目標に向かって歩んでいます。後編では、大学での専門的な学びとそれを活かした新たな挑戦、そして将来の展望について、お話を伺いました。
※取材時、1年次生
基礎から実践までじっくり学べる工学部
―工学部での学びは充実していますか?
はい。しっかり学べる環境が整っていてとても充実しています。基礎から学べるおかげで着実に力がついてきたと感じています。
―特に印象に残っている授業はありますか?
春学期に受講した柴崎亮介先生の授業が、特に印象に残っています。毎週、社会課題に関するテーマが出され、チームでその解決策を考えるという内容で、地球温暖化や地方の森林管理、高齢化など、さまざまな課題に取り組みました。1週間という限られた時間の中で、チームでアイデアを出し合ってプレゼンテーションをつくり上げていくのは大変でしたが、とても良い経験になりました。
高校までは何かを制作する際、ほとんど一人で活動していたのですが、チームメンバーとアイデアを出し合う中で、自分では思いつかなかった視点に気づかされることが多くありました。自分のアイデアに対する周囲からのフィードバックを通じて視野が広がり、より良い解決策を見出せるようになっていきました。
データから見えるリアルな世界
―現在は、大澤義明先生の基礎ゼミナールに所属されているそうですね。
はい。大澤ゼミでは、主にモバイル空間統計データを使って、柏市の人口動態分析を行っています。大手通信会社から提供されたデータを使用しているのですが、1つの項目で1000万行以上あるような大規模なデータです。Excelでは処理できない量なので、Pythonを使ってデータ分析を行っています。
―具体的にはどのような分析をされているのですか?

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コロナ前後での人々の移動パターンの変化を調べています。たとえば、柏市近郊では、コロナ前は人口が柏市内の中心部に集中していましたが、コロナ禍では中心部から離れた住宅地へと分散する傾向が見られました。また、昼間は男性が都心に通勤するため、市内の男女比率に変化が生じるといった発見もありました。自分が住んでいる街のことを、データを通して新しい視点で理解できるのがとても面白いです。
―データ分析での苦労や難しさはありますか。
データ量が膨大で、そのまま処理しようとするとパソコンがフリーズしてしまいます。そこで、1つのCSVファイルを5個程度に分割して処理するなど工夫が必要でした。試行錯誤の末、数分かかっていた処理時間を3秒程度まで短縮できました。実践的なデータ処理の難しさと面白さを実感しています。
インターンシップと大学での学びの相乗効果
―現在はインターンシップにも参加されているそうですね。
はい。中高生向けのIT教育を行っている会社のインターンシップに参加しています。プログラミングやiPhoneアプリの開発を教えながら、5人程度の班をファシリテートする経験もさせてもらっています。この経験は、大学での授業やゼミナールでの学びにも直結しています。たとえば、先程お話しした柴崎先生の授業では、チームで課題解決に取り組む際にメンバー間のコミュニケーションを円滑化し、インターンシップで学んだチームビルディングの手法を実践することができました。また、大学内で行われるコンテスト型の研究発表会では、3人チームでデータ分析プロジェクトを進めていますが、インターンシップで培ったタスク管理やチームマネジメントのスキルが大いに役立っています。
―中高生に教える立場を経験することで、ご自身の変化はありましたか?
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人に教えるためには、自分自身がまずは深く理解して伝える必要があることに気づけたのは大きな変化です。特にプログラミングの基礎やデータ分析の手法について、より深く学ぼうという意識が強くなりました。
また、教えることの楽しさも発見しました。特に印象的だったのは、学校に通えなくなっていた生徒が、ものづくりを通じて自信を取り戻していく姿です。その生徒が「ここは自分を受け入れてくれる場所。人生が変わりました」と言ってくれた時は、本当に嬉しかったです。誰かの成長に関われることにやりがいを感じました。
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何でも報告・相談できる距離の近さ
―1年間麗澤大学で過ごしてみて、どんな魅力を感じていますか?
先生方が親身になって相談にのってくださることが魅力ですね。技術的な質問はもちろん、些細なことでも気軽に報告・相談できます。自動車免許を取得した報告などプライベートの近況を話すこともあって、普段から距離が近い関係を築けています。
また、工学部1期生ということもあり、少人数制で手厚いサポートを受けられます。高校時代に思い描いていた「学び」と「挑戦」が、実際に形にできる環境がここにはあると実感しています。1年次生からゼミナールに参加できるのも大きな特長です。課外活動の機会も多く、自分の興味に応じてさまざまなことにチャレンジできます。
好きを追求し、自分らしいものづくりを
―将来の夢を教えてください。
好きなことをとことん極めながら、技術とアートを融合させた新しいものをつくっていきたいです。自分が好きなプログラミング、音楽、映像という3つの要素を組み合わせて、インタラクティブなコンテンツをつくることが目標です。また、インターンシップでの経験を通じて、教育にも興味を持ち始めました。人の成長に関われる仕事にも魅力を感じています。
―最後に、高校生へメッセージをお願いします。

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なによりも「好きを追求してほしい」と伝えたいです。今はスマートフォン1台あれば、可能性を広げられる時代です。スマートフォンだけで動画編集も作曲もプログラミングもできます。無理だと思っても、チャレンジしてみると意外にできることが多いものです。
私は過去に、同じような思いを持つ人が周りにいなくて孤独を感じることもありました。SNSで活躍している人を見て、自分のレベルの低さに落ち込むこともありました。でも、色々なコミュニティに飛び込むことで、同じように頑張っている仲間に出会えたのです。
高校生のうちは何でもできる時期だと思います。まずは最初の一歩を踏み出してみてください。その一歩が、あなたの世界を大きく広げるきっかけになるかもしれません。



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