高校時代、バスケットボールに打ち込み、全力で競技と向き合ってきた木下さん。勉強への苦手意識を抱えながら進学した彼を待っていたのは、TOEIC 300点台からの再スタートでした。しかし、持ち前の行動力で英語力を着実に伸ばし、現在は銀座の外資系ホテルでフロント業務をこなすまでに成長しています。「大学に入ってから何をするか」で人生は変えられる――。前編ではバスケットボールから英語へと軸足を移し、一から学び直した歩みをお届けします。
※取材時、2年次生
私の原点となったバスケ。全力で向き合った日々がくれたもの
私の人格形成の原点は、間違いなくバスケットボールです。 競技を始めたのは小学校3年生の終わり頃。ポジションはポイントガードで、168cmと小柄な体格ながら「小さくても負けない」という気持ちでコートを走り回っていました。
高校進学という人生最初の大きな選択で、私は「親元を離れ、県外の強豪校に進学する」道を選びました。知り合いのいない土地へ飛び込み、退路を断って競技に向き合う。その決断には、自分なりの覚悟がありました。こうして、福岡を離れ、大分での寮生活が始まりました。

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「必ず強くなる」「試合に出て活躍する」。そう心に決めて入学しましたが、思い描いていた通りにはいかない日々が待っていました。部員全員が同じ熱量で競技に向き合っているわけではなく、自分の生真面目さが空回りすることもありました。加えて、思うようにプレーできないスランプにも苦しみました。練習ではイメージ通りに体が動くのに、いざ試合のコートに立つと、同じプレーができなくなる。もどかしさを抱えながらも、「ここで辞めたら、何のために福岡を出てきたのかわからない」という思いが、私を踏みとどまらせました。
結果として、チームはインターハイベスト16を2度経験することができました。個人としても、2年生で国体選手のキャプテンに選出されるという栄誉を受けました。苦しさも、全国大会の景色も、すべてを味わい尽くした3年間。「やりきった」と心から思えました。すると、あれほど夢中だったバスケットボールへの情熱が、不思議なくらいスッと引いていくのを感じました。それは決してネガティブな感情ではなく、すべてを出し切った人にしか訪れない、満足感だったのだと思います。
次は英語に挑戦! バスケへの情熱を学びへ
高校でバスケットボールを引退し、心の中に空いた穴。それを埋めるために私が選んだのは、「英語を学ぶこと」でした。きっかけは、かつてオーストラリアやカナダに留学していた母の存在です。英語を話す姿が格好よく映り、NBA(全米バスケットボール協会)を通じて海外文化への憧れもありました。
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そうした思いから麗澤大学外国語学部へ進学しましたが、入学直後、私は想像以上の"差"を突きつけられました。その象徴が、最初に受けたプレースメントテスト(クラス分けテスト)です。結果は、TOEIC300点台。英語で進む授業についていくことができず、周囲の学生との差を強く意識するようになりました。「場違いなところに来てしまったのではないか」。そんな不安とともに、強烈な劣等感が押し寄せてきました。
それでも、「このまま終わりたくない」という気持ちが勝りました。足りない部分は練習量で補うしかない。それは、バスケットボールで何度も経験してきたことです。私は「知識の引き出しが少ないなら、今から詰め込めばいい」と腹を括り、大学生活の中心を英語学習に置くことを決めました。
基礎からの学び直し。半年でTOEIC300点台から700点台へ
主な学習拠点となったのは、外国語を中心としたラーニング・スペース「iFloor」です。1時限目から大学へ行き、授業の合間や放課後もそこで過ごしました。家では集中できないため、「大学にいる間は必ず勉強する」と自分にルールを課し、閉館時間の21時まで机に向かう日々が続きました。
教材は、中学レベルの文法書から始めました。「be動詞」や「三人称・単数・現在形のs」といった基礎をひとつずつ確認し、YouTubeで英語学習法を発信する動画を毎日視聴し、勉強方法そのものを見直しました。さらに、大学のプログラムを利用してオンライン英会話を毎日受講。インプットした知識を即座にアウトプットする反復練習をひたすら行いました。

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「iFloor」には、留学経験のある先輩たちも多く、毎晩遅くまで勉強していると、自然と声をかけてもらえるようになりました。「頑張ってるね」「どうやって勉強してるの?」といった何気ない会話でしたが、その言葉は孤独な勉強生活における何よりの支えになりました。
成果は思いがけないほど早く現れました。入学から半年後のTOEICでスコアが650点に跳ね上がったのです。通知を見た時、自分の目を疑いました。さらにその年の冬には700点に到達。知識が少なかったからこそ、吸収するスピードも速かったのだと思います。
「やれば、できるんだ」。バスケットボール以外の分野で初めて実感した、努力が成果につながる感覚でした。それは、試合でシュートを決めた時とはまた違う、静かで力強い自信となりました。この経験は、「どんな分野でも、情熱と正しい努力があれば道は拓ける」という確信を私に与えてくれました。


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