経済学部
2026.06.02

【後編】見慣れた街が"研究対象"に変わる―現地で学ぶ経済学の面白さ

【後編】見慣れた街が

麗澤大学経済学部の欧阳先生は、インフラ維持管理や都市空間を専門とし、2025年度に着任しました。授業では柏市や流山市を舞台に、学生自身が街を歩き、地域の課題解決に向けた提案を行っています。後編は、先生が大切にする「現地に足を運ぶこと」の意義や、見慣れた景色から社会の仕組みを読み解く面白さに焦点を当て、先生の研究テーマや学ぶ姿勢についてお伺いしました。
2025年度取材

欧阳 君顔(OUYANG, Junyan)
経済学部 助教
2017年に来日し、筑波大学大学院や国立環境研究所を経て、2025年度に麗澤大学へ着任。インフラ維持管理や地域課題を専門とし、「電柱分布に関する都市地域空間分析」などの研究に取り組む。フィールドワークを重視し、学生にも自ら街を歩き、課題を発見する実践的な学びを提供している。
目次

    柔軟な発想で、今ある資源を活かす学生の提案力

    ―「経済学基礎演習」の授業内容について教えていただけますか?

    この授業は観光地域コースをめざす学生に向けた演習です。授業では観光と地方創生に関連する地域課題を掘り下げていくわけですが、フィールドワークでは、学生たちの柔軟な発想にとても驚かされています。

    • 秋学期の授業は、麗澤大学のある柏市に隣接する流山市をフィールドに設定しました。流山おおたかの森駅周辺は近年開発が進み、子育て世代から高い人気を集めているエリアです。周辺調査を進めるうちに、昼間は商業施設も豊富で便利だけど、閉店時間が早い施設も多く「夜の憩いの場がなくて寂しい」という住民のリアルな課題に気づくグループがありました。彼らは、課題解決のために深夜カフェのような場をつくる提案をしてくれました。

    ほかにも、駅周辺のアクセス網は充実しているものの、幹線道路から少し離れたエリアへの交通課題を見出してくれたグループもありました。そんなエリアに対して、既存の路線バスや幼稚園の送迎バスを活用してアクセスを改善する提案も斬新でしたね。新しいものを無理やりつくるのではなく、今あるものを活かして期間限定で試してみるという視点は、非常に現実的で素晴らしい発想です。

    授業では予め選定した地域課題を問いてもらうのではなく、自分たちが感じた課題に対して問題提起することから始めています。

    学生と教員の距離の近さが生み出す、密な学び

    ―地域活動や授業を通して感じる麗澤大学ならではの強みはどんな点ですか?

    一番の強みは、なんといっても学生たちと教員の距離が非常に近いことです。私の知る学生数の多い大学では、大教室であっても後ろの方から学生が座っていくような、教壇との溝を感じることもありました。ですが、麗澤大学はまったく逆の雰囲気です。

    • 私の授業でも、課題の意見交換は学生同士で行うばかりではなく、私の席のすぐ手前に集まってきて気軽に質問してくれます。1年次生から基礎ゼミナールという少人数制の授業があり、教員と一緒に地域へ出向く機会も豊富です。「経済学基礎演習」のフィールドワークでは流山市発祥の「白みりん」に着目し、白みりんミュージアムの館長に新たな商品開発を提案するなど、地域の方々との交流も教室内の座学では得難い貴重な経験ではないでしょうか。

    これは経済学部だからというわけではなく、麗澤大学全体で言えることだと感じています。こうした密なコミュニケーションの中で、教員と接する機会や、他人の意見を聞いて議論する経験を積むことができるのは大きな魅力です。

    学部の垣根を越えた交流。新しいアイデアを生む「地域連携センター」での取り組み

    ―先生も参加されている「地域連携センター」について、そこから広がる学びの可能性について教えてください。

    • 麗澤大学には「地域連携センター」という仕組みがあり、私もそのメンバーとして活動しています。ここには様々な学部の教員が参加していて、夏に行われる高大連携事業(高校と大学が相互に連携・協力し、交流活動を行う取り組み)などでは、学部を越えて色々な学生たちが一緒にプロジェクトに取り組みます。

      こうした学部横断の活動を通じて、特に良いなと感じるのは、それぞれの学部で培った得意分野を持ち寄れること。たとえばフィールドワークで地域課題を掘り起こす過程も、それぞれの学部で学んだ知見を組み合わせることで、アイデアの幅がぐっと広がります。

    何より、学部の垣根を越えて一緒に地域へ入り、活動を通して新しい友達ができる。それが学生にとって一生残る思い出になりますよね。こうした他学部との活発なコミュニケーションが自然と生まれる環境は、学生生活を送るなかで、将来の大きな財産になる推しポイントだと思っています。

    自分の「当たり前」が変わる瞬間を、大学で見つけてほしい

    ―学生生活を送る上で、大切にすべきことについてアドバイスをいただけますか?

    • 私は日本で大学入試を受けた経験がありませんが、研究者として日本の大学で学び、そして今、教える側に立って感じていることをお伝えするなら、「自分の世界の見え方が変わる場所かどうか」を大切にしてほしいと思います。

      私自身、大学では機械工学を学んできました。ですが、都市計画を学んだことで、街中に当たり前のように立っている電柱やゴミ箱が研究テーマになると気づいたのです。それまで何とも思わなかった風景が、一気に意味を持って見えてくる。その新鮮な感覚こそ、大学で学ぶことの一番の醍醐味だと思っています。

    そしてもうひとつ、ぜひ大切にしてほしいのは「現場に足を運ぶ」ことです。ネットや書籍から得られる情報だけでは、知る由もなかった地域の姿が、実際に行ってみることで見えてくる。今の私の原点になっています。麗澤大学は、そうした「現場で学ぶ」機会が豊富にある場所です。

    あと、これは個人的なおすすめですが、学食がおいしい大学はいい大学ですね(笑)。麗澤大学の学食は本当においしくて、私もほぼ毎日通っています。先生だけでなく、学生生活を取り巻く大学スタッフが、温かく接してくれたりする姿を見ると、学生一人ひとりを大切にしているのだなと実感します。ぜひオープンキャンパスで足を運んで、自分の目と舌で確かめてみてください。

    SNSでこの記事をシェア