

髙橋 秀樹 ※2021年度をもって退職
私が手がけたプロジェクトを教材に、企画立案のプロセスを学びます
髙橋先生の「戦略的企画創造ゼミ」(以下、髙橋ゼミ)は、観光による地域創生をテーマに、新規事業の企画立案や戦略策定のためのプロセスを学びます。
「私の専門は『地域再生』や『観光ビジネス』、『地域資源開発』で、前職のシンクタンクでは国や自治体、民間企業からの依頼で、たとえば、年間20~30万人の来場者が訪れる観光施設『松阪農業公園ベルファーム』(三重県松阪市)の立ち上げや、名古屋空港の移転縮小に伴う地域活性化政策の立案など、様々な地域創生プロジェクトに携わってきました。簡単ではありませんでしたが、成果を出すことができ、大きな達成感を得られた仕事でした。このゼミでは、私自身が手がけたプロジェクトを教材として、企画立案にとどまらない、社会で広く通用する課題解決能力を身につけていきます。
観光は、地域活性の有効な手段として、今後ますますニーズが高まっていく分野。新しい動きもどんどん出てきています。ゼミでは、ニューツーリズム(テーマ性が強い体験・交流型の新しい観光スタイル)をはじめとする観光の最新動向をリサーチ。地域創生に観光をどう活かすかを学生自身が考え、企画立案してもらいます」(髙橋先生)
何のためにやるのか?自分が解決すべき問題を見つけよう!
「このゼミでは、施策立案にかかる一連の思考プロセスを身につけることを目指しています。そこで一番重要なのは、問題意識を強く持つこと。自分が今、解決すべき問題は何か、何のためにやるのか?を常に意識してほしいのです。それさえ明確になれば、その問題に対しどう対処すればいいか、解決のイメージが湧いてきます。そこから更に、テーマを徹底的に掘り下げていくことで、魅力的かつ実行可能なアイデアを生み出すことができます。では具体的に、どうすれば問題を見つけ出せるのか、どうやってテーマを掘り下げればいいのか?ゼミでは、私が実際に手がけた事例を取り上げながら、ノウハウを伝えていきます」(髙橋先生)
学生は、先生が体験したプロセスをたどることで、問題の設定、解決策の発案、企画の組み立て方を体得。その上で、学生自らが選んだ研究テーマで企画立案をしていきます。
ゼミ生の髙橋さんは、災害や戦争跡地など悲しみの地を巡るダークツーリズムを研究テーマに選定。日本での事例が少なく研究の進め方に悩んでいたところ、先生に「実際にダークツーリズムとして設定されている場所を訪れてみては?」とアドバイスを受けたそう。
「東京・両国にある、関東大震災と東京空襲にまつわる施設を訪ね、ダークツーリズムの参加者がどんな気持ちになるか、どんな体験をするのか、身をもって知ることができました。ダークツーリズムの本当の意義がわかっただけでなく、観光といえばエンターテイメントのイメージが強い日本では、普及しにくいことも理解できました。ここでわかったことは、私が取り組むべき問題は『ダークツーリズムを日本にどう普及させるか?』だと言うことです。受け身では問題意識を持つことにはならない、問題を見つけることで、初めて自分のやるべきことが見えてくるということを身をもって学んだ瞬間でした」(髙橋)
研究室の本棚に並ぶ本を見て「ここだ!」と即決しました(笑)
ゼミ生の皆さんに、髙橋ゼミを選んだきっかけやゼミの印象を訊いてみました。
「私は高知県で生まれ育ち、親世代やその次の世代が地域活性に取り組む姿を見て、地域政策に興味を持ちました。髙橋ゼミに入ったのは、先生が優しく穏やかな方で、先生の指導のもとなら、伸び伸びとゼミ活動ができそうだと思ったからです。私の研究テーマは、自然や温泉、体に優しい料理を楽しみ、心身ともに癒されることで健康回復や増進を図るヘルスツーリズム。ゼミに入った当初は、故郷高知のために何ができるか見当もつかなかったのですが、ヘルスツーリズムをキーワードに調べていくうちに、
いろいろなアイデアが湧いてきました。髙橋先生は知識が豊富で、何か質問するとすぐに『ああそれはね...』と、資料や事例を挙げてアドバイスをしてくださいます。そんな先生に刺激されて、アイデアがどんどん膨らんでいくのが面白いです」(増田)
「僕の場合は、とくにやりたいことが見つからなくて、ゼミの先輩に誘われたのがきっかけで、髙橋ゼミに入りました(笑)。経営専攻なので、地域創生に関わる経営の話に興味があります。これまで観光や旅行と言えば、自分がサービスを受ける側でしかとらえたことがなかったのですが、このゼミに入ってからは、提供する側としての視点も持つことができるようになり、世界が広がりました」(杉浦)
「高校の時からホスピタリティに興味を持ち、麗澤大学に入学。ゼミ選びでいろいろな研究室を見学した際、研究室の本棚に並ぶ本を見て『ここだ!』と即決しました(笑)。ホスピタリティマネジメントの本があったのは、髙橋先生の研究室だけだったんです。地域創生については、全くわからないままにゼミに入りましたが、実績豊富な先生がわかりやすく説明してくれるので、そういうことなんだ!と理解が深まり、楽しく充実したゼミ活動をしています」(髙橋)