田中 俊弘
(現在の英語コミュニケーション専攻 / 英語・リベラルアーツ専攻)2020年3月卒業
"We are volunteers!" おもてなしの一声が第一歩に
2014年夏、外国人観光客に外国語でお手伝いをするボランティア団体"Hospitali-Tee Project"が、麗澤大学で発足しました。現在は年に4回、学内外で参加者を募って活動中です。
初めて訪れた土地で道に迷った時、もし現地の人に助けてもらえたら?話しかけてもらえたら?しかもそれが異国での出来事ならきっと嬉しいはず。そうした「ささやかながらお手伝いをしたい」という思いから発足したプロジェクトです。
Hospitali-Tee Projectは、麗澤大学の学生だけでなく、麗澤中学・高等学校の生徒や、他の高校からなど、学外からのメンバーとも共同で開催。参加者はおおよそ30〜40名、多い時では100名近くが浅草や上野、台場、谷根千(谷中・根津・千駄木)などに集います。今後はさらに銀座なども対象エリアに広げる予定です。
「観光地で"Hospitali-Tee®"I CAN HELP!と書かれたTシャツを着たメンバー達が、困っている外国人観光客に話しかけ、お手伝いをするのが主な活動です。Tシャツにはボランティアの意思を示す文言がプリントされています。参加資格は特になし。お手伝いできる時に参加して、"英語で話しかけた"という自信につなげてもらえれば嬉しいです」(田中先生)
大丈夫!"No thank you"に怯まない
目指す姿は、"市民レベルの語学ボランティア活動"。2018年秋からは、企画や運営を主導する"コアメンバーズ"(通称:コアメン)が再編成され、新たな4名を中心とした運営に。リーダーの安孫子帆さんは、「現場ではグループ行動となるので、初めての人も安心して参加できます!」と呼びかけます。
「初対面の相手に、しかも英語での声かけですから、私も最初はすごく緊張しました(笑)。けれども先輩たちと一緒に活動できるので、徐々に、話しかける自信が身につき充実感へと変わってきました」(安孫子さん)
この活動がユニークなのは、困っている相手に限らず積極的に声かけしていること。
「活動を続けるうちに、困っていなくても私たちに話しかけられることを旅の楽しい経験とみなしてくれる観光客の存在に気づいたからです。海外旅行者にとって、日本の若者達とコミュニケーションをとる機会はさほどないので、フランクに接点を持てる場づくりにもしたいですね」(田中先生)
「時には、私たちがボランティアだと相手に伝わらず"No thank you"と断られることもあります。そんな時も怯むのではなく、警戒心を持たれずに声かけできることを意識して話しかけるように工夫しています」(安孫子さん)
一瞬の出会いが...つながり続ける縁に変わる
「写真、撮りましょうか?」この一言がしばしば「はじめの一歩」になります。携帯電話やデジタルカメラを構えている旅行客に対する声かけが、一番反応してくれやすいのです。話しかけたら、失礼がない程度にどう話を膨らませていくか。時に予期せぬ問答が生まれ、コミュニケーションの応用力を磨きます。
現場でFacebookなどSNSのアカウントを交換し合い、旅行者とつながり続ける学生メンバー達も多数います。互いに撮影した写真をSNS上で公開し合いながら、一期一会で終わらない友好や交流まで生まれています。このプロジェクトは日本にいながらにして国際交流も可能にするのです。
「今までの活動で印象的だったのが、2日しか日本に滞在できないというポルトガル出身の研究者である女性との出会い。国内を弾丸ツアーばりに駆け巡る最中に出会った彼女と、離日後もSNSで連絡を取り合い、今でも互いの近況を緩やかに見守っています。出会いは瞬間的でしたが、素朴で心温まる時間の共有ができたからこそ、友好関係を築くことができたと思っています」(安孫子さん)
広げたい交流の輪。気軽に参加がアナタを変えるきっかけに
英語に関する学生団体や活動は他にもありますが、より気軽に参加できるところがこの活動の強みです。
「10月には明治神宮で活動を行いました。日本のことを勉強している外国人参拝者でも満足できるように、メンバー達は事前に神道に関する下調べをして、英語でどう説明できるかを頭に入れて臨みました。今後は、このような事前学習を含め、目的や参加人数を絞った小規模な活動も増やしていきたいですね」(田中先生)
安孫子さんの後輩にあたるコアメン他の3名(皆、英語・リベラルアーツ専攻)も、今後の運営にそれぞれの決意を秘めます。
「日常英会話の重要性を感じる機会にもなっています。積極的に相手に話しかける感覚を養いながら、今後も海外旅行者のサポートを続けていきたいです」(降田 義之さん・2021年3月卒業)
「英語の実力を磨きたいという人にはピッタリの活動ですし、英語だけでなく、中国人や韓国人の方々には中国語や韓国語、といった多言語交流もできる貴重な活動だと実感しています」(小竹 友芽さん・2022年3月卒業)
「英語教員を目指す身として、英語力を伸ばせるこうした活動の存在はありがたいです。年に4回という回数は、気軽に参加しやすい回数で、活動を続けやすいですよ!」(小林 庄太さん・2022年3月卒業)
このプロジェクトは「外国語を使って何か活動してみたい気持ち」があれば、きっと"はじめの一歩"につながります。皆様の積極的なご参加をお待ちしています!