イスタンブールからベルリンまで、学生たちだけでバックパックを背負い陸路を旅する――それが、外国語学部ドイツ語・ヨーロッパ文化専攻の「ヨーロッパ横断研修」。従来の研修プログラムとは一線を画す、学生主体の冒険的な学びのプログラムです。この研修に参加した1年次生は、言葉の通じない国々で何を感じ、何を学んだのでしょうか。後編では、旅を終えた学生たちの変化、現地でのサポート体制、この研修で得られる学びなどを伺いました。
※取材時、1年次生
※取材時、1年次生
※取材時、1年次生
※取材時、1年次生
歴史と現実のはざまで、答えのない問いと向き合う
―旅のなかで、特に印象に残った場所はありますか。
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出口さん:セルビアで訪れた二つの場所は特に忘れられません。ひとつは、ベオグラード市内にあるNATO空爆跡です。街の真ん中に、爆撃で壊れたビルがほとんどそのままの姿で残されていて、詳しい説明があるわけでもない。ただ「戦争の痕跡」としてそこに在り続けている感じがして、ユーゴスラビア紛争のことをほとんど知らなかった自分との距離を強く意識させられました。
もうひとつは、約6,500年前の文字が見つかったとも言われる、ベオグラード近郊のビンチャ遺跡です。行ってみると、ドナウ川のほとりの"ふつうの農村"のような場所で、周りは住宅街のような雰囲気でした。そんな場所に古代の痕跡が静かに残っていること自体が不思議で、「人が生きてきた時間の長さ」を実感しました。
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井上さん:アウシュビッツを訪れて、本当に大きな衝撃を受けました。歴史として学び、知識としては理解していたつもりでしたが、実際にその場に立つと身の毛がよだつ思いで、楽しい気持ちで見るようなものは何ひとつなかったのです。
ユダヤ人が迫害されていた場所や、収容されていた部屋、火葬場などを見学した時のことは、思い出すだけでもつらくなります。それでも、大学生のうちにアウシュビッツに行くことができたのは、貴重な経験だったと思います。
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濱野先生:今回のルートには、観光地として有名な所だけでなく、戦争や迫害の痕跡がいまの街の風景のなかにそのまま残る所や、まだ整備されていない所もありました。アウシュビッツを訪れた時期には、ガザへの攻撃のニュースも報じられており、「
遠く感じたヨーロッパが、より身近な存在に
―この経験は、これからの大学生活や将来のイメージにどんな影響を与えましたか。
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矢野さん:ヨーロッパはゴージャスな建物が多く、おとぎ話の世界のようなイメージを持っていました。しかし実際は思っていた以上に身近で、首都はビルもあるし、日本でもなじみのお店が並んでいたのです。道を歩いている人の雰囲気も東京と変わらず、現地で出会った人たちも、結局は自分と同じ"ふつうの人"なんだと感じました。「遠い世界」だという思い込みがほどけて、ヨーロッパをもっと学びたいと思いましたし、行くことへのハードルがぐっと下がりました。
井上さん:日本の住みやすさ、清潔さ、食事のおいしさなどを再確認する機会となり、恵まれている環境にいることを実感しました。日本のキャラクターやお店も浸透していますし、私たち日本人にも優しくしてくれるので、もっと語学を勉強して日本に来ている外国人に、日本の良さを伝えたいなと思いました。
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出口さん:世界共通語は英語だと思っていたのですが、通じない国も多く、必ずしも英語だけが世界に旅立つ切符ではないという気づきを得ました。ジェスチャーや、単語を並べてでも、自分が相手に伝えようとする気持ちさえあれば、どの国でもコミュニケーションは取れるのではないかと思います。
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中村さん:私が訪れた国々は、日本と比べると不便なところや、あまり清潔とは言えない場面もたくさんありました。お湯が出なかったり、ドライヤーから煙が出てきたり、冷房がなかったり...。しかし、それを忘れるくらい、人々のやさしさに触れ、素敵な経験ができました。これからもっとたくさんの国を訪れて、たくさんの人と関わりながら、自分の将来について向き合っていきたいです。
「思い通りにならない学び」が世界を広げる
―現地では、どのような形で学生をサポートされたのですか。
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濱野先生:学生たちの自主性に任せるからには、私たちには安心・安全を担保する責任があります。そこで、準備の段階から「ここまでは学生に任せる」「ここから先は教員が責任を持つ」という線引きを、学生と丁寧に話し合って決めました。
現地では、ドイツ人教員と私の2名体制で、2つのルートを分担しました。大事にしていたのは、学生と同じ時間帯に、同じ地域にいることです。チェックポイントには先回りして待ち構えるように動いていました。
加えて、チャットとWebサービスを活用し、学生たちには「今どこで何をしているか」を写真つきでこまめに共有してもらいました。私たち教員だけでなく、保護者もその画面を見ることができたので、遠く離れていても旅の様子が"見える"安心感はあったと思います。ハプニングが起きた際も、ほぼリアルタイムで連絡を取り合いながら、必要なサポートができました。
―この旅で、学生たちはどんな学びを得たと感じますか。
濱野先生:自主性や協働力、コミュニケーション力は、結果として身についていくと思います。ただ、それ自体を研修の"ゴール"にはしていません。
ほかの海外研修と決定的に違うのは、最初から細かい「学習目標」や「成果指標」を決めて動いていない点です。あらかじめ成果を決めてしまうと、
私がいちばん体験してほしいのは、「思い通りにならない学び」
初年度の夏にその感覚をつかむことで、語学でも専門分野でも、「
学校選びも挑戦も、自分の感覚や意思を信じて
―最後に、高校生の皆さんへメッセージをお願いします。
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矢野さん:私は高校時代から東欧に興味があり、オープンキャンパスでこの研修の話を聞いて「絶対に参加したい!」と思い、麗澤大学を選びました。
やりたいことが決まっている人は、その気持ちを大事に突き進んでほしいです。一方で、「やりたいことがまだわからない」という人は、興味が持てそうな大学に足を運んでみてください。「楽しそう」「ここ、いいかも」という自分の感覚を信じて選んでほしいです。
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中村さん:私は麗澤大学に入学して、普通に生活していたらできないような経験ばかりできています。将来の目標がはっきりしていなくても、少しでも「面白そう」「好きかもしれない」と思えることに挑戦してみることが大切だと思います。
私も、将来何になりたいかはまだ決まっていません。でも、このヨーロッパ横断研修を通して、確実に視野が広がりましたし、「こんな世界もあるんだ」と思える場面にたくさん出会えました。高校生の皆さんも、いろいろなことに挑戦して、自分の可能性を広げてください。



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