文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択されました
2015.6.30

 文部科学省が募集をしていた平成27年度「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に、本学から申請していた下記の研究が採択されました。

 文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」は、私立大学が、各大学の経営戦略に基づいて行う研究基盤の形成を支援するため、研究プロジェクト に対して重点的かつ総合的に補助を行う事業であり、それによってわが国の科学技術の進展に寄与することを目的としています。==> 詳しくはこちら

 

研究概要

【研究観点】研究拠点を形成する研究
【研究プロジェクト名】人口・経済・家族の長期的研究:多世代パネルデータベース構築
【研究代表者】 黒須 里美(麗澤大学外国語学部教授)
【研究者】 学内3名、他大学4名
【研究期間】5年(平成27年度~31年度)

 

【研究目的・意義】

 本研究プロジェクトの目的は、麗澤大学が10年来継続してきた国勢調査以前の人口経済史料の整備・データベース化とそれを利用した人口・家族史の国際的比較研究に立脚し、本学所蔵の研究史料群を活用した新たな社会科学研究の可能性を切り開くとともに、ミクロ歴史統計研究の新たな世界的研究拠点を構築することである。第一に、史料管理の場とアーカイビングの方法を確立するとともに、史料解読とデジタル化を進め、研究者が利用しやすい、資料検索メタデータベースと多世代パネルデータベース構築を図る。第二に、デジタル化された長期ミクロデータベースを利用した、新しい社会科学のアプローチを開発する。特に(1)多世代ライフコース分析、(2)経済指標構築と格差分析、(3)人の移動・交流と地域圏形成分析、という3つのアプローチから迫る。ボトムアップかつ長期的視点から人口変動、経済格差、家族形成を再考する学際的な対話の場と実証研究のモデルを提供できると期待できる。

 

【研究により期待される効果】

 速水融(本学名誉教授・文化勲章受章者)が「世界遺産」と称し、全国から収集整理した「宗門・人別改帳」は国勢調査以前の稀有な人口経済史料である。それを「公共財」とし、データベース化することにより、新しい学際的・国際的社会科学研究の視点と方法を開発できる。それは即ち、西欧主導で進み、それゆえ西欧の史料的制限のなかで理論化されてきた人口・経済・家族パラダイムに、日本発信の理論と方法で挑むことを意味する。また、近代センサス以前の人口と経済行動をミクロレベルから時系列的かつ横断面的に把握することは、近代化に向かう日本の歴史の捉え直しにもつながる。数多の自然災害や経済危機を乗り越えて営まれてきた地域経済と世帯継承の様相は、人口減少期に入り、決定的な転換点を迎えている現在の私たちにも大きな示唆を与えてくれる。現在、世界で歴史ビッグデータの構築が行われ、連携が図られているが、日本にはまだそのような組織がない。本研究プロジェクトによって研究拠点形成がなされれば、世界の研究拠点との連携を図り、若手研究員の養成にも一役を担うことができるであろう。