経営学部
2025.06.05

【後編】プロスポーツの舞台裏へ! 自主企画ゼミナール×柏レイソルが挑んだファンイベントとは

【後編】プロスポーツの舞台裏へ! 自主企画ゼミナール×柏レイソルが挑んだファンイベントとは

麗澤大学とJリーグ・柏レイソルの運営会社である株式会社日立柏レイソル(以下、柏レイソル)の間で2017年から続く教育連携。その取り組みの一環として、2024年11月30日に行われた柏レイソルのホームゲーム最終戦で、麗澤大学の学生たちが企画・運営したファンイベントが実現しました。授業で学んだことを形にし、プロの現場で実践するという貴重な機会に挑戦した学生たちの想いと学びを追いました。後編では、実際のイベント当日の様子やそこから得られた気づき、そしてこの経験がもたらした成長と今後への展望を伺います。

風間 佑徠
経済学部 経営学科 スポーツビジネス専攻 2023年入学
野球経験をきっかけにスポーツに関心を持ち、麗澤大学に入学。柏レイソルとの連携プロジェクトでは中心メンバーとして企画・運営に携わる。高校での生徒会長の経験を活かしオープンキャンパスの運営スタッフとしても活動中。地元・千葉ロッテマリーンズの試合観戦が趣味。
※取材時、2年次生
寺本 佳苗
麗澤大学 経営学部 教授
企業倫理を専門とし、ビジネスの視点を活かした企業・地域と連携した教育プログラムの開発に取り組んでいる。「スポーツPBL」授業を担当し、学生に実践の場を提供しながら、主体的な学びを支援している。
江島 顕一
麗澤大学 経営学部 教授
道徳教育を専門とし、「スポーツとモラル」の視点から教育プログラムを展開。寺本教授とともに「スポーツPBL」授業を担当し、スポーツビジネス専攻の学生に対して、プロスポーツの運営を“支える”立場を実践的に学ぶ機会を提供している。
河原 正明
株式会社日立柏レイソル マーケティング本部 ホームタウン推進部 部長
麗澤大学との教育連携を担当し、学生たちの成長をサポート。プロスポーツクラブの視点から、実践的なアドバイスを提供している。
目次

    ファンの笑顔を生み出すことができた喜び

    ―当日はどのような反応がありましたか。

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    • 風間さん:来場された方にクイズへの参加を促すチラシを配ったのですが、最初はとても緊張しました。無言で渡してしまったり、受け取ってもらえなかったりと戸惑いましたが、次第に「クイズ大会やってます!」「ステッカー配ってます!」と積極的に声をかけられるようになりました。結果として、736名の方がクイズにご参加いただけたのは大きな成果です。

      印象的だったのは、景品のサイン入りユニフォームが当たった幼いレイソルファンです。ユニフォームが大きすぎて引きずりながらも、嬉しそうに家族と帰っていく姿を今でも鮮明に覚えています。自分たちの企画が、誰かの喜びにつながったことを実感した瞬間でした。

    • 河原さん:学生の皆さんには自分たちで仮説を立て、計画し、運営し、結果を出すという一連の流れを経験してもらいました。思い通りにいかないこともありましたが、それも含めて貴重な学びになったと思います。私たちプロのスポーツビジネスの現場では、もっと厳しい効率や成果が求められますが、そういう現実を知るきっかけになれば嬉しいです。

      寺本先生:河原さんのお話にもありましたが、学生たちの成長を間近で見られたのは教員冥利に尽きます。実際にファンの方々の顔を見ながら、自分たちが考えたものを提供するという経験は、授業だけでは得られない貴重なものです。この経験を通じて、現場の知恵や実践へのノウハウを学んでくれたと思います。

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    "支える"側の視点から見えたスポーツの力

    ―このプロジェクトを通してどのような学びや気づきがありましたか。

    風間さん:最も大きな学びは「物事をさまざまな視点から捉えることの大切さ」です。特に成功した点として、クイズ大会には想定以上の736名の方にご参加いただき、ファンの皆さんと直接交流する機会を得られたことは大きな収穫でした。

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    • 一方で、課題も多くありました。事前の準備段階では、ステッカー1万枚を配布できると見込んでいましたが、実際にお渡しできたのは約2,500枚で、計画と現場のリアルな違いを痛感しました。 机上の計算では見えてこなかった配布する場所やスタッフの動線、来場者の流れといった現場の要素をもっと考慮すべきだったと反省しています。

      イベント運営では、思い通りにいかないこともある一方で、ファンの皆さんが楽しんでいる姿を直接見ることができる喜びがあることも実感しました。成功も失敗も含めて、自分にとって本当にかけがえのない経験になりました。

    河原さん:今回はあくまで伴走する立場でしたが、学生の皆さんから新鮮な視点や気づきをいただけたのは私たちにとっても大きな収穫でした。互いに学び合える関係を築けたことを嬉しく思います。

    江島先生:スポーツビジネスの世界では、厳しさと喜びの両面があります。数字やファンの反応というシビアな現実がある一方で、イベントを通じてファンの皆さんの笑顔に触れられる喜びもあります。この両方を学生のうちに体験できたことは、非常に価値があると思います。

    • また、スポーツに関わる方法として、「する」「観る」「支える」という3つの関わり方があります。多くの学生は「する」「観る」の経験はありますが、「支える」立場を経験する機会は少ないものです。「スポーツPBL」や今回の「自主企画ゼミナール」を通じて、柏レイソル様とともに活動することで、学生たちは支える側の視点を持ち、スポーツビジネスのリアルを学ぶことができました。

      さらに、机上の理論を学ぶだけでなく、実際のクラブ運営に関わることで、地域貢献や社会貢献の視点を持つことができます。

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    スポーツは、単にプレーする人や観る人だけのものではなく、支える人がいることで成り立つと、今回の取り組みを通じて、その重要性を実感できたことが何よりの成果だと思います。

    貴重な経験を未来へとつなげていくために

    ―この経験は今後どう活かしていきたいと思っていますか。

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    • 風間さん:別のPBL授業でも、今回の経験を活かして企画を考えることができました。また現在、オープンキャンパススタッフとしても活動しているので、来てくださった方を楽しませながら成果を出していく、というこの経験で得た学びや力が活きてくると思っています。

      これからの就職活動でも、「好きなことを仕事にしていきたい」という想いはあるものの、気持ちだけではどうにもならないこともあるという現実も痛感しました。できないことにも正直に向き合いながら、前に進んでいきたいと思います。

    寺本先生:今回のように、学生が主体となって考え、実行する経験は、将来どの分野に進んでも活かされるでしょう。理論と実践を往復しながら学ぶことで、より深い理解と実践力が身につくと信じています。

    ―最後に高校生へメッセージをお願いします。

    風間さん:麗澤大学のスポーツビジネス専攻は30人にも満たない小規模なコミュニティですが、だからこそプロチームと直接連携して学べる貴重な機会があります。私自身、オープンキャンパススタッフとしても活動していますが、来場される高校生の皆さんにこうした学びの魅力を伝えたいと思っています。実践を通じて学ぶ楽しさを体感したい方は、ぜひ足を運んでみてください。

    江島先生:オープンキャンパスでは、麗澤大学でどのような学びが得られるのかを、じっくりと確かめてみてください。何度か足を運ぶことで、異なる担当者の説明を聞き、さまざまな視点から麗澤大学の学びを知ることができます。私は高校生の皆さんに、よく「他の大学にもたくさん足を運んでみてください」とお伝えしています。自分が学びたいことと、大学で得られる学びが本当に合っているかを、しっかり見比べることが大切だからです。その上で、納得して私たちの麗澤大学を選んでいただけたら嬉しいです。

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