【前編】企業と連携し、社会で活躍するために必要なスキルやマインドセットを育む"基礎ゼミナールB"

AIをはじめとして次々と新しいテクノロジーが登場する変化の激しい時代の中で、必要とされる人材であり続けるためには、「アクション・シンキング・チームワーク」の3つから構成される「社会人基礎力」が欠かせません。基礎ゼミナールBでは実際に存在する企業と連携を取り、企業から与えられたミッション達成のために学生たちが主体性と応用力をもってPBL(課題解決型学習)を行います。前編では、冬月先生と遠藤先生に授業の概要や学生に学んでもらいたいことについて詳しくお話を伺います。


1年次生から社会を動かす力を育む
―まずは「基礎ゼミナールB」の概要を教えていただけますか?
冬月先生:前期では大学生活に必要となる基本的な学習力の習得を目指します。レポートやプレゼンテーションを通じて自分の意見を論理的に表現するスキルを身につけたり、クラスメイトとの対話や麗澤スタンダード科目を通して自分の個性を再発見したり、また、多様な価値観があることを認めつつ違いを尊重する力などを育みます。
後期は、企業から与えられたミッションに対して学生が主体性と応用力をもって取り組むPBL(課題解決型学習)を行います。1年次生から実践的な授業を受けることができます。
―「基礎ゼミナールB」の特徴について詳しく聞かせてください。
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冬月先生:この授業の一番の特徴は、「実学」にあります。机上の勉強だけでなく、実際のビジネスの現場で求められるスキルや知識を、身をもって体験できる場を提供しています。
学生たちは、企業の理念や事業内容を深く理解し、分析するところから始めます。そして、企業が抱える課題に対して、自分たちなりの解決策を提案していくのです。この過程で、グループワークやプレゼンテーション、意見交換など、社会で必要とされる様々なスキルを磨いていきます。
社会との接点がアルバイトくらいしかない学生たちにとって、企業の抱える課題は難しく感じられるかもしれません。しかし、そこは私たち教員がしっかりとサポートします。学生一人ひとりの進捗状況を把握し、困っていることがあれば、一緒に解決策を考えていきます。
今年度の初回の講義には、連携先となる企業の代表者の方々がご厚意で参加してくださり、自社のミッションや課題について、熱い想いを込めて語ってくださいました。学生たちは、その話に刺激を受け、「遊びじゃないんだ!」と実感したようです。
サステナブルな未来を切り開く、学生と企業の連携
―今回連携している企業のうち、「Harito by NUIZAEMON」様と連携するに至った経緯を教えてください。
遠藤先生:Harito by NUIZAEMON様は、以前から麗澤大学の様々な授業で連携させていただいてきた、柏レザー株式会社様が運営する革製品のお店です。
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今回の連携に至ったきっかけは、柏レザー様が新たに開発した「ピーナッツレザー」でした。ピーナッツレザーとは、千葉県の名産品であるピーナッツの薄皮を活用した、環境に優しいビーガンレザーです。柏レザーの飯島社長は、地域への貢献意欲が非常に強く、このピーナッツレザーを柏から発信し、広く知ってもらいたいという熱い想いを持っていらっしゃいます。麗澤大学も、地域に根ざした大学として、地域の魅力発信に貢献したいと考えています。そこで今回お声掛けしたところ、快く引き受けてくださったのです。
難しいミッションにも意欲的に挑戦!
遠藤先生:飯島社長からは、ピーナッツレザーの販路拡大という大きな目標を達成するために、新規販路開拓と既存製品の販売促進という2つのミッションが提示されました。
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企業向けの新たな販路を開拓するというミッションは、1年次生にとって非常に難しい課題です。どの企業に、どのような提案をすれば、ピーナッツレザーを採用してもらえるのかを検討するためには、市場調査、競合分析、マーケティング戦略など、多岐にわたる知識やスキルが求められます。
また、既存製品の販売促進では、Harito by NUIZAEMON様で現在販売されている製品の中から、いくつかを選んで、2ヶ月間で合計100個販売することを目指します。学生たちは、ターゲットとなる顧客層を分析し、ニーズを把握した上で、効果的な販売促進案を立てなければなりません。
どちらのミッションも、社会人でも簡単には解決できない難題です。しかし、学生たちは、グループで協力し、知恵を絞り、熱心に議論を重ねています。
授業で得る実学が、社会で輝く力となる
冬月先生:麗澤大学には、建学の精神にもとづいた大学理念と、そこに集う学生たちの個性があります。私は長年、麗澤大学の非常勤講師として学生と関わってきましたが、今年度から経営学部で1年次生を指導することになり、改めて「麗澤大学らしさ」について考えるようになりました。特に、1年次生からPBL形式の授業を行うというのは、私自身も最初は戸惑いました。しかし、学生たちの表情や授業中の様子を見ているうちに、この試みは大きな可能性を秘めていると感じるようになりました。麗澤大学の経営学部では、多くの教員が実務経験を持ち、現場で培ってきた知識やスキルを学生たちに伝えています。この授業を通して得た経験は、将来、社会で活躍する上で必ず役に立つと信じています。