編集部
2022.07.25|最終更新日:2023.10.04|

AIビジネスとは?どんな仕事に活用されている?AIテクノロジーを学んで経済社会に不可欠なAI人材を目指そう!

AIビジネスとは?どんな仕事に活用されている?AIテクノロジーを学んで経済社会に不可欠なAI人材を目指そう!

【麗澤大学監修】「AIをビジネスに応用するってなんだか難しそう。」そう思っていませんか? そもそも「AIとは何?」と思う人もいるかもしれません。ビジネスの現場で必要不可欠になってきたAIの存在。今回は、今後必ず必要となってくるAIビジネスにおいて必要なスキルやAIに関する深い知識を持った「AI人材」になるためにすべきことを解説します!

目次

    皆さん、AIって聞いたことがありますか?
    AIという言葉を耳にすると、映画の中で見かける人工知能や自我を持ったロボット、インターネットのプログラムなどを連想する人が多く、「人間の仕事が奪われるかも......」とネガティブなイメージを持っている人もいるかもしれません。
    しかし、AIは皆さんの持っているスマートフォンのカメラやスマートスピーカー、電子レンジに自動車の自動運転など、実はAIは身近なところに使われているのです。

    現在、AIの技術はどんどん向上し、ビジネスの現場でもAIの普及が急速に進んでおり、さまざまなビジネスシーンに活用、応用されています。一方で、AI人材が世界、そして日本でも圧倒的に不足しているという事態が起きています。

    今後、優秀なAI人材を育成することが企業や政府の課題となっているので、高校生のうちからAIビジネスについて興味を持ち、知見をつけておけば皆さんの将来はきっと広がります。
    今回はそんなAIについて、ビジネスの場でどう活用されているのか、将来どのように役に立つのかを麗澤大学経済学部経営学科の新井優太助教が解説します。

    【麗澤大学 新井優太 助教のプロフィール】

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    現在はデータサイエンスを専門にしていますが、学部では物理の勉強をしていました。研究室配属では「経済物理学」(よかったら調べてみてください)という分野の研究室を選択し、そのまま博士の学位を取得しました。その後民間企業にて、機械学習を用いた予測モデルの開発など、データサイエンス的な業務に携わっていました。その経験を通じて、「データサイエンスを実社会で活かすには、数学やプログラミング以外にも大事なことがある」という事を実感しました。そういった話も、学生の皆さんに伝えられればと思っています。

    職名:助教
    学部/学科:経済学部/経営学科
    専門分野:データサイエンス、ネットワーク科学
    主な著書:スポーツデータサイエンス(9章サッカーにおける集団プレーの抽出とその指標化に向けて(共著)、10章サッカーにおける得点化傾向の時間依存性(共著))朝倉書店、不動産鑑定評価の課題と展望(16章ビッグデータを用いた不動産価格推計)住宅新報出版、不動産テック(不動産分析市場におけるGISの活用)分担執筆(共著)朝倉書店、不動産政策研究各論Ⅱ(取引価格・鑑定価格データを用いた不動産価格指数の推計)分担執筆(共著) 東洋経済

    AI(人工知能)とは?

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    まずはじめに、AIとはなんでしょうか。
    AIとは、「Artificial Intelligence(人工知能)」の略語で、人間のような知能・学習能力を持つコンピュータのことを指します。

    さらに、AIは大きく分けると「汎用人工知能」と「特化型人工知能」の2種類に分けることができます。
    汎用人工知能とは、強いAIとも呼ばれ、人間と同等、もしくは同等以上の知能をもっていたり、感情や意識をもっていたりするAIで、ドラえもんを想像してもらうと分かりやすいと思います。
    変わってスマートスピーカーや自動運転などは特化型人工知能です。
    現在ドラえもんのような感情や意識をもった汎用人工知能は存在せず、人工知能に関する研究の多くは特化型人工知能です。

    たとえば、特化型人工知能の皆さんに身近なものとしてあげられるのは、Apple社製のiPhoneやiPadに搭載されたアシスタント機能の「Siri」やお掃除ロボット、自動翻訳などで、私たちの生活の質を画期的に変えてくれるとても便利なものとしてAIを日常的に使っている人も多いと思います。

    AI(人工知能)をビジネスにどう活用するの?

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    そのAIを、ビジネスシーンで活用したのが「AIビジネス」です。
    AIビジネスとは、ビジネスをするうえで、これまで人間の手作業で手間と時間をかけて行なっていた作業や、高度な予測を必要とする課題について、AIを使って、どうすれば効率よく利益を生み出せるかを考えていくことです。

    AIを活用するメリットのひとつは、大量のデータを正確により迅速に処理することができ、処理したデータをもとに、さまざまな分析や業務最適化を図れることです。
    これまで人の手で行っていた作業をAIに任せることで作業を効率化することができます。

    そのような状況の中で、「AIに仕事を奪われるのでは?」と心配になる人は多いのではないでしょうか。現在の技術では、AIに意思はなく人間を陥れようなど考えることはありません。そしてAIにもできることとできないことがあります。

    AIには感情や想像、意思がありませんので、仮説を立てて検証したり、新しいアイデアを思いついて自ら業務改善をしたり、人の気持ちに寄り添ったクレーム対応をしたりすることはできません。

    AIにはデータ処理や選別などの単純作業やマニュアル化できる業務を効率良くこなしてもらい、私たち人間は人間ならではの心を大事にし、AIが集めたデータを分析し、新しい経営戦略を考えたり、より良い企業にしていくためのアプローチの方法を見つけたり、お客さまと真摯に向き合ったりと頭と心を使う業務に専念できます。

    雑務や単純作業をAIが担うことで、人間は人間にしかできない想像力豊かな仕事に専念することができるようになっていきます。

    注目のディープラーニングとは?

    ディープラーニング(深層学習)とは、人間が自然に行う行動をデータ化し、その大量のデータをコンピュータ(AI)に学習させて、その中から共通の特徴を導き出す人工知能の技術のひとつです。

    この技術によりAIが大量の画像や音声などのデータを学習・処理できるようになり、製造業・教育・医療などさまざまな分野で注目を集めています。

    たとえば、自動車の自動運転の開発やレントゲン写真から早期がんの発見など、人間が判断するのと同じ、もしくはそれ以上のことが可能になっています。
    また、皆さんにより身近な例を挙げると、YouTubeのおすすめ動画に出てくる表示などがディープラーニング をもとに選定されていたり、Google翻訳など自然言語処理にも使われています。

    プログラミングだけではない!AIビジネスに必要なスキルとは

    AIビジネスの仕事は、より高度なAIを開発するプログラマーやエンジニアのことを指すのかと思われがちですが、どんなに素晴らしいAIがあっても、それをきちんと使いこなせなければ利益を生み出すことはできません。

    たしかに数年前までは、AIに関する知識を学び機械学習のモデルやアルゴリズム開発などを行う、AIを開発するための人材「AIエンジニア」が不足しているといわれていました。
    しかし今では、AIエンジニアになる教育環境が整ってきたこともあり、AIを作る人材は年々増えているためAI開発へのハードルは低くなってきています。

    現在は「こんなAIが業務改善に必要だ」と検討し開発依頼をしたり、「このAIは本当に必要かな?」と見極めたり、AIを使ってどういう取り組みをしたら顧客満足度に貢献できるかなど「AIをどのように使いこなすか」を考えるスキルが求められています。

    AIビジネスに必要なスキルは、AIの基礎知識やプログラミングの知識だけでなく、その知識や技術を、適切な場面・適切な方法で使いこなす判断力や企業や組織を良くしていく熱い想いやコミュニケーション力を身につけることがとても重要になってきます。
    逆をいえば、パターン化された単純作業や単にデータを分析するだけのスキルなど、AIで代替できるスキルはこれからは重要度が下がってくるといえます。

    AIはビジネスにどう活用されている?メリットは?

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    実際にAIはビジネスにどう活かされているのでしょうか?

    ディープラーニングによって過程や工程が自動化したり、時間の短縮、さらに膨大な量のデータを解析していきパターン化していくことで精度も向上しています。
    これまでも例を挙げてきた通り、AIはIT業界に限らず、小売・サービス・物流・医療・金融・教育・エンターテイメント・農業など、あらゆる業界に導入されています。

    また、これからの時代では今までAIを導入してこなかった企業にもどんどん積極的に導入されていくことが予想されます。AI技術を業務に導入することで飛躍的に業績が伸びることもあるでしょう。

    したがって、まだ多くはないAIの知識とスキルを持ち、まだ多くはないAIを使いこなせるビジネスパーソンになることで、幅広いジャンルの会社や組織で即戦力になる人材として活躍するチャンスが設けられているというメリットがあります。

    AIを活用したビジネスの成功事例

    AIを活用したビジネスの成功事例をいくつかご紹介します。

    不動産の分野での成功事例を紹介すると、AIを活用した家賃査定システムの導入を行うことで、社内調整時間の削減や物件査定を短時間で行うことができるようになり、全国で約1000人のスタッフの業務が軽減し、その時間を顧客への提案に充てる時間が増えることで売り上げが伸びました。

    JR東日本ウォータービジネスでは、駅ごとによるニーズや特徴など、AIに販売予測をさせることで、売れる商品を経験の浅いオペレーターに売れる商品の知見を増やしたり、オペレーターの能力の全体的なレベルアップも兼ねて導入を実施。実際に自動販売機にAIを導入した場合と導入していない自動販売機の検証結果では、導入したほうが売り上げが増加しました。

    おもしろい例として、オーラルケアで有名な株式会社ライオンが舌の写真からAIが口臭リスクを判断するWEBコンテンツ『NONIO MIRROR(ノニオミラー)』を提供しています。
    口臭の研究で蓄積したデータを用いたアルゴリズムを取り入れ、舌の色などの要素を複合的に評価し、口臭リスクを3段階で表示するというものです。
    口臭予防における舌ケアの必要性を普及させ、診断した人それぞれにあったライオンのオーラルケア商品をおすすめしてくれます。

    物流の分野では、製品のダンボールが破損しているかどうかを配達前にAI画面解析によって破損判断を行い、破損に気がつかずに配達していた件数が減り、返品・持ち戻りによるロスを1社あたり1,100万円削減(最大試算)するという試みもあります。

    まだまだ事例はありますが、このようにAIをビジネスに導入することで、認知向上や売り上げ増加につながった例はたくさんあるのです。

    AI人材の需要は高い!取れる資格や気になる就職先・職業は?

    【主な就職先】
    ・企業の財務、経理部門
    ・IT企業
    ・銀行
    ・証券会社
    ・生命保険会社
    ・損害保険会社

    「AIはビジネスにどう活用されている?メリットは?」でも解説したように、AIの技術はあらゆる企業が注目しています。

    金融、IT業界に限らず、小売・サービス・物流・医療・教育・エンターテイメント・農業・建築業など、すでに導入されている企業も、また今までAIを導入してこなかった企業は今後積極的にAIを導入していくことが予想されます。
    つまり、さまざまな場所でAI人材の需要が高まり求められており、活躍する場が広がっていますので、自分がどの業界でどんな活躍したいかを今のうちからイメージしておくと良いでしょう。


    【目指せる職種】
    ・AIエンジニア
    ・プログラマー
    ・データサイエンティスト
    ・データエンジニア など

    AIの急速な発展に伴いAI人材は不足していると言われており、その需要は年々高まっていますので幅広い業種での活躍が期待できるでしょう。
    AIを「作る側」になるのか、AIを「正しく取り扱う側」になるのかで進路も変わってきますので、自分がどちら側で活躍したいかを考え、目指す大学のカリキュラムはきちんと調べておきましょう。

    【取れる資格】
    ・統計検定
    ・ディープラーニングG検定
    ・ITパスポート試験 など

    AI人材になるために役立つ資格を取っておくと就職に有利です。

    統計検定では、統計に関する知識や統計の集計結果を読み解きビジネスに活用する能力、問題解決の能力が身につきます。また、学生のうちにプログラミングや機械学習、データベース技術などを学び、IT関連の資格も取っておくとよいでしょう。

    麗澤大学のA I・ビジネス専攻で学ぶこと

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    【AI・ビジネス専攻の特色】
    ● AIを理解し、AIを活用できる人材を目指します
    ● どんな業界・企業にも必要な会計について学びます
    ● AI開発に使われるプログラミング言語を習得します

    麗澤大学の経済学部経営学科AI・ビジネス専攻は、統計、簿記、ファイナンシャル・プランニング、プログラミング(Python)、機械学習、データベース技術などを学び、AIを軸に、情報を扱うビジネスにおける具体的なスキルの習得を目指し、実務での即戦力となる人材を育成する専攻です。

    AIの基礎や、AI開発でもっとも活用されているプログラミング言語Python(パイソン)の習得はもちろん、課題を見つけ新たな解決策を探るデザイン思考をしっかりと身につけ、マーケティングなどの経営学についても学べるカリキュラムが組まれています。単にAIの知識や技術だけでなく、AIや有効な情報をうまくビジネスに取り込むセンスを磨くことができます。

    特に注目していただきたいのは、麗澤大学の国際総合研究機構にAI・ビジネス研究センターを設置しており、AI・データサイエンス教育プログラムの研究開発を行っていることです。このカリキュラムや教材開発に携わっている研究員には、リクルート、Amazonの現役データサイエンティスト、元Googleのエキスパートの方など、一流のAIビジネスパーソンです。であるという点で、最先端のAIビジネス教育を受ける最高の環境が整っています。

    また、麗澤大学には基盤教育機構にデータサイエンス教育センターもあり、「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(MDASH Literacy)」に沿ったカリキュラムを提供しています。

    IT、プログラミング、会計など幅広い資格を取得したい人をはじめ、AI・ビジネス専攻ではAI技術を深く学ぶことができ、AIを理解することでビジネスへの応用ができるようになります。AIに職を奪われるのではなく、これからの社会に必要不可欠なAIビジネスを活用したい人におすすめの専攻です。

    AIビジネスを教える教員たちの声

    人々の幸せに貢献できるAIビジネスプランナーになってほしい

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    ■経済学部学部長・データサイエンス教育センター長 上村 昌司 教授

    「AIによる自動運転で車が走行中に、子どもが飛び出してきた。子どもをよければ、よけた先にいる複数の成人をはねてしまう可能性が。成人か子どもか。AIはどう判断すべきか」――急激に進化するAIは、より豊かな社会の実現に多大な貢献をする一方で、守る命の判断、個人情報やプライバシーの侵害、差別や偏見の助長など、倫理的な問題ともせめぎあっています。AI開発や利用すること自体が目的となり、モラルが置き去りにされて人々が不幸になることは、あってはならないことです。AIとモラルの問題は今後、AIビジネスに関わる一人ひとりにとっても、避けて通ることができない重大な課題となるでしょう。麗澤大学経済学部は、経済・経営において道徳を重視する「道経一体」の経済学を提唱し、その理念をカリキュラムにも取り入れています。

    AIをビジネスに活用する上で、何が一番大切なのか。AIとビジネス、モラルの問題について考えることができるのは、麗澤大学ならでは。本専攻で学ぶからには、人々の幸せに貢献できるAIビジネスプランナーとなってほしいと思います。

    引用:「2020年4月「AI・ビジネス専攻」がスタート!来るAI時代に活躍する"AIビジネスプランナー"を目指しませんか?

    自分が解決したい社会課題を持ち、その解決のためにAIスキルを学ぼう!

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    ■AI・ビジネス研究センター/都市不動産科学研究センター センター長 清水 千弘 特任教授

    「AIビジネスを学ぶ=IT企業に就職」するわけではなく、むしろ、就職先はメーカーやサービス業、金融など、他の専攻で学んだ学生と変わらないと考えてもいいと思います。たとえばスーパーマーケットなら、POSデータ(販売情報)を使って商品戦略を考えるし、営業の仕事でも事務の仕事でも、AIを使って業務効率の向上やコスト削減を図るというように、業種職種を問わずAIスキルは活かせます。普通に働きながらAIを使うことが、これからは当たり前になっていくはずです。社会にはたくさんの問題があり、テクノロジーを使いこなし解決できる人材が、あらゆるところで求められています。

    これからAIビジネスを学ぶ皆さんは、自分が解決したい社会課題を、何かひとつでも持ってほしい。その課題を放っておいたら、5年後10年後には確実に状況が悪化し、困る人がたくさん出てしまうという長期の課題を。その解決改善のためにAIスキルを学び、困っている人たちを助けるため、より良い社会のために、大いに役立てていきましょう!

    引用:「人々の幸せのために、AIやテクノロジーを使える人材を育てたい

    AIテクノロジーを基盤に経営戦略を考えるビジネスパーソンになろう

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    AI技術が急速に発展し世の中が目まぐるしく変わっていく現代では、企業や組織は経営の面でも今まで起きなかった問題に直面することが多く出てくるようになります。
    このような時代においてAI人材はますます必要とされる存在になっていきます。
    最新のAIの知識や技術だけでなく、経済の知識や経営のセンスも持ち合わせて世界に通用する最強のビジネスパーソンになりましょう! 

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