2024年、麗澤大学初の理系学部である工学部の誕生にあわせて設立された「iStudio」は、学生が個々のレベルに応じて成長できる学びの場です。熱意あふれる教員やチューターの支援のもと、数学やプログラミングなどの個別指導から最先端の技術体験、国際的なプロジェクトへの参加まで、多様な学びの機会を提供しています。
学生の可能性を引き出し、未来への一歩を後押しする場となっているiStudioについて、設立に関わった須永大介准教授と、積極的な利用者である工学部 情報システム工学専攻1年次生の中谷健太さんにインタビューしました。
後編では、印象に残っているiStudioでの取り組みや今後のビジョン、麗澤大学の魅力についてお話を伺います。
※取材時、1年次生。
パソコンの組み立てに挑戦! 技術とチームワークを学んだ経験
― iStudioでの印象的な思い出があれば教えてください。
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中谷さん:一番印象深かったのは、実用できるパソコンをチームで組み立てるプロジェクトに参加したことです。どのようなパソコンがほしいかという要望を先生方に伺ってパーツ選定から行うという内容で、技術の向上だけでなく、チームワークの重要性も学べる素晴らしい経験でした。
私たちのチームが取り組んだのは、サーバーとして使うパソコンの制作です。パーツの選定や組み立て方の調査など工程ごとに役割分担し、協力して進めていきました。私は決まった予算内でのパーツ選定を担当し、ニーズに合わせたものを見つけるまではよかったのですが、パーツ同士の組み合わせ方にとても苦労しました。
パソコンを組み立てるというワクワク感をチームで共有しながら取り組めたことは本当に楽しかったですし、ひとつの形になったときの達成感と喜びは忘れられません。自分がつくったパソコンに、すっかり愛着もわいています。
―楽しく学んでいる様子が伝わってきます。これからの目標や夢はありますか。
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中谷さん:今チャレンジしたいと思っているのは、情報技術を活用した、認知症患者への理解を深めるための研究です。祖父母が認知症を患っており、家族の大変な様子を見てきたことから、このテーマに強い関心を持っています。
現段階では、VRゴーグルを使って認知症患者の視点や気持ちを体験できるシミュレーターをつくりたいと考えています。まだ社会には認知症患者への正しい理解が広まっていないからこそ、その一助となる研究をしていきたいです。
大学内にはVRが得意な先生もいらっしゃいますし、外部の会社と連携できる環境も整っているので、最終的に卒業研究の成果となるように取り組んでいきたいです。
全学生が集い、学びの連鎖が広がるiStudioの未来
―須永先生は、iStudioを将来的にどのような場所にしていきたいとお考えですか。
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須永先生:現状では、iStudioの利用者の大半は工学部の学生です。ただ将来的には、ほかの学部の学生も気軽に足を運べるような、親しみやすい空間をつくっていきたいと考えています。
また、現状は他大学の学生にチューターをお願いしていますが、麗澤大学でプログラミングやデータ分析などのスキルを身に付けた学生が、次の世代である後輩を教えるというサイクルを確立することも目指しています。iStudioを起点として学びの連鎖が広がり、麗澤大学全体の学習意欲向上とスキルの底上げを実現していきたいです。
共に学び、共に成長し、社会に貢献する場
―お二人が感じる、麗澤大学や工学部の魅力を教えてください。
須永先生:一番の魅力は、大学全体に言えることですが、学生と教員の距離が近い点です。面倒見のよい教員が非常に多く、場合によっては個別面談などもそれぞれの裁量で行いながらサポートしています。その中で学生から「こんなことをしてみたい」という声があれば、学内にある最新のコンピューターや実験設備を利用し、その分野に強い教員や外部と連携しながら自由に学びを深められるように計らうこともします。
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もうひとつ特長的なのは、学内で起きた問題や課題に対して情報技術を用いて解決していくプロジェクトが自発的に立ち上がっている点です。有志で学生を集め、実際の課題を題材にして技術を身に付けていくので、まさに実践的な学びです。その範囲は学内に留まらず自治体にも広がっており、地域の困りごとを解決していくプロジェクトもあります。日々の学びを学内外へと還元しており、社会貢献にもつながっています。
中谷さん:須永先生から学生と教員の距離が近いというお話がありましたが、私もそこが一番の魅力だと思います。大学の教授には接しづらいイメージがあったのですが、まったく違いました。ゼミナールや授業も小規模なので目が行き届いていて、例えば、ゼミナールの担当教員である鈴木高宏先生は一人ひとりの勉強の進捗を確認し、適切なアドバイスをしてくれます。
また、iStudioを始めとした学びの場が豊富にあることも魅力です。特に、未来工学を学ぶグループワークや、少子高齢化などの社会課題を情報技術で解決していくための授業は、新しく触れる分野なのでとても新鮮です。授業外のプレゼンテーション準備もあるので大変ですが、今後社会に出ていくためのスキルが身に付いている実感がありますし、とてもやりがいを感じています。
失敗を学びに変えて、何度もチャレンジする
―それでは最後に、高校生の皆さんへのメッセージをお願いします。
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須永先生:私は、高校生の皆さんをとても羨ましく思っています。それは、この先まだまだ人生は長いですし、様々なことにチャレンジできる時間があるからです。時に失敗することもあると思いますが、時間があるからこそ失敗を学びに変えてまたチャレンジできます。
ですから、自分が興味のある分野で、ぜひ積極的に学んでみてください。その中で、もしご縁があるようでしたら、麗澤大学で一緒に成長できる機会があれば嬉しく思います。
中谷さん:志望校選びをする際には、いろいろな大学を見て回るとよいと思います。学部名は同じでも、大学によって特色や授業の内容が大きく異なります。私も5~6か所は見て回り、オープンキャンパスや体験授業に参加しました。
ちなみに、麗澤大学の工学部を志望した理由は、オープンキャンパスで先生方の研究に触れる機会があり、内容のおもしろさや学びへの情熱を感じ、「熱意ある先生たちのもとで学びたい」と思ったからでした。
どんな環境で何を学びたいかを明確にして、自分に合う大学を見つけてください。