
通信制高校で過ごした時間は、自分の「やってみたい」と向き合う日々でした。全日制高校とは少し異なる選択の中で、不安や迷いを抱えながらも、自分のペースで歩みを進めてきた二人の学生。そんな彼らが麗澤大学で見つけたのは、自分らしく挑戦できる"場所"と"仲間"でした。工学部編では、熊谷柊志さんにロボットデモ隊への挑戦や理系分野での学びを通して見えてきた"自分らしさ"について伺いました。

※取材時、2年次生
「できないかも...」を乗り越えた先に見えたもの
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通信制高校では、週5日通学スタイルを選択し、授業や課題に取り組んでいました。放課後には資格講座にも参加でき、全日制高校と変わらない日常の中で、自分のペースを大切にできる心地よさがありました。
中学時代に不登校を経験していた私は、高校入学当初、「自分にできるのだろうか」と不安を抱えていました。そんな時、先生に「まだ始まってもいないのに、無理だと決めつけていないか?」と声をかけられ、自分自身が可能性にフタをしていたことに気づかされたのです。
その言葉がきっかけに、私は少しずつ挑戦するようになりました。資格講座や部活動にも前向きに取り組むようになり、特に印象的だったのが、文化祭の実行委員としての経験です。展示や模擬店の企画、教室の装飾などに取り組み、来場者の笑顔を見た時、「人を楽しませることができた」という実感が芽生えました。この経験が、今の自分の原点になっています。
ここでなら、もう一度始められる気がした
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大学進学を意識し始めたのは高校3年の春。当初は情報系の専門学校を考えていましたが、将来の選択肢を広げたいと考え、4年制大学も視野に入れるようになりました。幼少期からパソコンや機械に触れるのが好きで、「情報技術で人を笑顔にしたい」という思いが、理系に進んだ大きな理由でした。
麗澤大学のことはインターネットで知りました。オープンキャンパスに参加した際、広々としたキャンパスや、学生の雰囲気に安心感を覚え、「ここには自分の居場所があるかもしれない」と直感的に感じたのを覚えています。情報分野の設備が充実していたことも、「ここで学びたい」と思える理由のひとつでした。
実際に入学してみると、自由な校風に驚きました。「やってみたい」という気持ちに対して、先生が耳を傾け、応援してくれる環境。高校で"挑戦する楽しさ"を知った自分にとって、この環境はとてもフィットしていました。
言葉が心を動かす―授業を休みがちだった自分を支えた声
入学直後は、思うように動けない時期もありました。授業を休みがちになり、「どうせ自分なんて」と気後れする気持ちが膨らんでいたのです。
そんな時、ある先生が「その時間、もったいないよ」「1コマの授業を休むだけで、どれだけ損か考えてごらん」と声をかけてくれました。温かく、でも的確なそのひと言が胸に響きました。「今の自分でも動いていいんだ」と思えるようになったのです。
その後、行動を始めてからは、学生アシスタント(SA)として1年次生の授業サポートを任されました。高校時代に学んだスライド制作や資格講座の知識が、大学でも役立つ場面もありました。「細かいところまでよく気がつくね」と言われた時、自分の積み重ねが誰かの役に立っていると感じて、嬉しかったです。
ロボットデモ隊で学んだ、誰かを笑顔にする力
今、私が力を入れているのは「ロボットデモ隊」という活動です。オープンキャンパスなどで、ピアノ演奏や簡単な動作を行うロボットを操作し、その魅力を来場者に紹介する活動を行っており、現在はチームのリーダーを務めています。
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もともとロボットに詳しいわけではなかったのですが、「おもしろそうだな」「人前で何かを伝える経験もしてみたい」と思い、思い切って参加してみました。操作もプレゼンテーションも初めてのことばかりでしたが、挑戦してみると少しずつできることが増えていきました。高校の文化祭で「誰かを楽しませる喜び」を知っていたからこそ、こうした活動にも前向きになれたのかもしれません。
「どうしたらもっと面白くなるか?」「もっと伝わる説明にするには?」と考える時間は、高校の実行委員として試行錯誤した日々と重なります。自分が関わった仕掛けで誰かが笑ってくれる瞬間が、一番の原動力です。
「まずやってみよう」で広がる世界
麗澤大学では、ロボットデモ隊のほかにも、マップを活用したアイデアソン、動画制作、ホームカミングデーの企画など、さまざまなプロジェクトに参加してきました。どれも「やってみたい」と声を上げれば、学生でも主体的に関われる環境があります。
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最初は不安もありましたが、やってみたら意外となんとかなる。その感覚が、次の一歩への自信につながっています。通信制高校で自分と向き合いながら過ごした日々があったからこそ、「まずやってみよう」と思えるようになったのだと思います。
最近では学外のイベントにも参加するようになり、「情報の力で人を笑顔にしたい」という目標に向かって、小さな挑戦を積み重ねているところです。挑戦の数だけ視野が広がる実感があり、今はその変化を楽しんでいます。
"どうせ無理"の先に広がっていた景色
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高校生の皆さんに伝えたいのは、やる前から諦めなくていいということです。
「どうせ自分なんて」そう思っていた私の背中を押してくれたのは、先生や先輩の言葉、そして自分自身の小さな行動の積み重ねでした。「大丈夫だよ」のひと言や、「やってみたら意外と楽しかった」という経験。その一つひとつが、自分の可能性を少しずつ広げてくれたのだと思います。
麗澤大学は、「やってみたい」という気持ちを受け止めてくれる場所です。自分のペースを尊重しながらも、確実に挑戦できる環境が整っています。通信制高校での学びに不安があっても、そこで得た経験は大学でも必ず活かされます。「失敗したらどうしよう」よりも、「やってみたら何かが変わるかも」。そう考えて、少しだけ前を向いてみてください。私もまだ道の途中ですが、自分で選んだ一歩が、未来へとつながっていると信じています。
