学生の活躍・課外活動
2025.03.06

【前編】1000人が集まった冬の花火祭り。麗澤大学生が挑戦した地域連携プロジェクト

【前編】1000人が集まった冬の花火祭り。麗澤大学生が挑戦した地域連携プロジェクト

麗澤大学では、学生たちが主体となって地域に新しい価値を創造する取り組みを行っています。そのひとつが、2024年12月19日に開催された「第2回柏麗(はくれい)花火祭り」です。このプロジェクトは、2021年に近藤ゼミの学生たちが地元の花火業者と連携し、コロナ禍で打撃を受けた地域を元気づけようと始めました。2回目となる今回は、令和6年度柏市チャレンジ支援補助金に採択され、クラウドファンディングによる資金調達や、工学部とのコラボレーションによるワークショップの開催といった地域との結びつきを深める新たな試みにも挑戦しました。前編では、プロジェクトリーダーの薬師神さんに柏麗花火祭りの準備から当日までのエピソードを伺います。

薬師神 綺美
経済学部 経営学科 経営専攻 2021年入学
父親の影響で天体観測に興味を持ち、高校時代は天文観測を行う「地学部」に所属。学校の天文台で太陽の黒点観察や星の観測を行っていた。また、2年間にわたり生徒会活動にも携わる。声を上げることや前に出ることに抵抗がなく、周りからよくリーダーをお願いされる。
※取材時4年次生。
目次

    地域をつなぐ柏麗花火祭り

    • 前編1.jpg
    • 柏麗花火祭りは、地域とのつながりを深める学生主体のプロジェクトとして誕生しました。2021年、コロナ禍で打撃を受けた地元の花火業者を支援する「ふるさと花火」として始まり、当時は花火の打ち上げのみでした。2023年からは「柏麗花火祭り」と名称を改め、地域の人々が楽しめるお祭りとして進化しました。キッチンカーの出店や手持ち花火体験、ワークショップの開催など、花火だけでなく、地域住民が交流し、楽しめる場を提供しました。そして、2024年はさらに地域との連携を深めました。柏市のチャレンジ支援補助金に採択され、行政や地元企業との協力体制を構築し、「地域のみんなが行きたくなる場」を目指して主体的に企画を進めました。

    冬季開催という特色は、当初は準備期間の都合でしたが、結果として花火業者やキッチンカー事業者の閑散期に活気をもたらし、地域経済の支援にもつながりました。また、冬の花火大会は珍しく、他のイベントとの差別化にも成功したと思います。今では約1000人が来場する地域の冬の風物詩となりつつあります。来場者からは「また来年も見に来たい」という声が多く寄せられ、地域の人々が集い、交流する場として注目度は年々高まっています。

    開催に向けてやるべきことは、想像以上に多かった

    • 柏麗花火祭りの開催に向けた最大の課題は資金調達でした。前回は経済学会からの補助金で実現できましたが、2年連続で支援を受けることは難しく、当初は今回の開催を断念しかけていました。しかし、あるイベントの打ち上げの場で柏ブルワリーの梅崎さんから「柏市チャレンジ支援補助金」の存在を教えていただき、新たな道が開けました。

      補助金だけでは開催資金が十分ではありません。そこで、先生の指導のもとクラウドファンディングにも挑戦しました。目標額30万円の達成に向け、活動の目的や思いを丁寧に説明することで支援者の共感を得ました。SNSでの発信だけでなく、チラシ配布やイベントでのPRなど地道な活動を続けた結果、なんとか目標額を達成することができました。

    • 前編2サイズ調整.jpg

    プログラムに関しては「地域のみんなが行きたくなる場」を目指し、徹底的にブラッシュアップしました。キッチンカーを3台から5台に増やし、工学部とコラボレーションしてPCロボットの展示を実施しました。地域の工房とも協力し、糸かけワークショップを企画しました。また、前回実施した手持ち花火体験での「3本では物足りない」という来場者の声を受け、1人5本に増やすとともに燃焼時間の長い国産の手持ち花火を採用し、より満足度の高い体験を提供できるよう工夫しました。

    当日もバタバタ! あっという間に打ち上げ時間に

    イベント当日は朝から慌ただしい一日でした。同日にSDGsフォーラムが開催されており、フォーラムの運営を掛け持ちしているメンバーもいたため、全体のスケジュールは非常にタイトでした。

    • 前編3.png
    • キッチンカーの搬入、会場の設営、来場者の動線確保、ワークショップスペースの設置といった準備は、次々と進められました。しかし、時間との戦いは厳しく、気がつけば開場予定の17時が目前に迫る中、準備はまだ完全には整っていない状態で、学生の出入りも多く、一般来場者との区別がつきにくい場面もあり、会場は慌ただしい雰囲気に包まれていました。最終的に、予定より少し遅れての開場となりましたが、メンバーと確認を重ねながら、なんとか進行することができました。開場後も、19時の花火打ち上げに向けて、ドローン撮影のためのタイミング調整や機材確認に加え、テレビ取材にも対応しながら、あらゆる対応を同時に進めました。確認と対応に追われた2時間は、緊張感の中であっという間に過ぎていきました。

    • 花火の打ち上げ準備が整うと、会場全体がカウントダウンの声で一体となりました。カウントがゼロになるとともに打ち上げ花火200発、20分間の花火祭りがスタートしました。その中でも、特に注目を集めたのは幼稚園児がデザインした「デザイン花火」です。ドーナツやハートなど、子どもたちの想像力豊かなデザインが夜空に大輪の花を咲かせ、観客からは大きな歓声が上がりました。花火の最中も、多くのタスクを抱えながら動き続けましたが、企画の一つひとつが形になり、笑顔に包まれる会場の様子を見ることで、これまでの努力が報われたと感じました。

    • 後編候補.jpg

    1000人の笑顔。ここでしか味わえない達成感

    • 前編4.jpg
    • イベント終了後に実施したアンケートでは「また来年も見たい」という声を多く頂き、注目度が高まっていることを実感しました。小さなお子さんからご年配の方まで、幅広い年齢層の方々が笑顔で楽しんでいる様子を見て、このプロジェクトが地域に貢献できたことを確信しました。

      当日を振り返って最も印象に残っているのは、来場者の方々の笑顔です。ワークショップは大盛況で、キッチンカーの数を増やしたことも好評で、昨年よりさらに充実した内容を提供できたと思います。終わってみれば事故もなく、安全にイベントを終えられたことに安堵しました。1年間の準備の成果を出し切ることができ、大きな達成感を得ることができました。

    ー後編では、薬師神さんがプロジェクトに参加したきっかけや、得られた学びなどについてお伝えします。

    SNSでこの記事をシェア