学生の活躍・課外活動
2024.12.02

【後編】外国人児童への日本語支援が広げる未来―麗澤大学自主活動サークル「すまいる」

【後編】外国人児童への日本語支援が広げる未来―麗澤大学自主活動サークル「すまいる」

麗澤大学の自主活動サークル「すまいる」は、2023年に学生が主体となって立ち上げました。外国にルーツを持つ子どもたちへの日本語学習支援を目的に、松戸市立相模台小学校をはじめ、様々な場所で子どもたちに日本文化や日本語に触れる機会を提供しています。後編では、先生から見た学生たちの活動の様子や、今後の目標、麗澤大学および国際学部の魅力について詳しくお話を伺います。

金 孝卿
国際学部 教授
韓国出身。留学生として来日し、お茶の水女子大学大学院で日本語教育学を修了。日本政府系団体で海外の日本語教育支援に従事した後、大学で留学生への日本語教育に携わる。現在は、日本語教育におけるピア・ラーニング(協働学習)や日本で働く外国人材向け研修の研究をしている。
三浦 彩音
国際学部 国際学科 日本学・国際コミュニケーション専攻 2021年入学
高校時代、外国人のクラスメイトと交流する中で、異文化理解や日本語教育に強い関心を抱き、麗澤大学国際学部に進学。現在は、「すまいる」のリーダーとしてサークルを率いている。趣味は、お得なスーパーを探して自転車で街を巡ること。
※取材時、4年次生。
由 知シン
国際学部 国際学科 日本学・国際コミュニケーション専攻 2022年入学
日本語や日本文化に興味を持ったことから、留学生として麗澤大学に入学。趣味は、自然豊かな場所へ旅行すること。国内だと、特に京都や奈良がお気に入り。
※取材時、4年次生。
堀越 春香
麗澤大学院 言語教育研究科 日本語教育学専攻 2023年入学
大学時代は韓国語を専攻。留学生や外国につながる子どもに日本語を教える中で日本語教育に興味を持ち、より専門的に学ぶため麗澤大学院に進学。現在は日本語学校の講師としても働いている。インドア派で、休日は自宅でゆったり過ごすことが多い。
※取材時、2年次生。
目次

    自らの問題意識が、課題を乗り越え地域とつながる力に

    ―金先生と堀越さんは、三浦さん、由さんら学部生の活動を見てどのように感じていますか?

    堀越さん:私は大学院生で、三浦さんや由さんにとっては先輩ですが、同じ志を持つ仲間であり、友達でもあります。日々の子どもたちの様子や活動内容について相談することも多く、とても心強い存在で、かけがえのない仲間です。

    • 金先生:活動中に直面する様々な問題から目を逸らさず、彼女たちが主体的に解決策を考えて行動する姿はとても頼もしいです。「すまいる」は、松戸市教育委員会からの依頼をきっかけに相模台小学校とのご縁が始まりましたが、その後も活動が広がり、メンバー全員が自ら課題に向き合っています。コミュニティをつくることも簡単ではありませんが、活動を続けていくことはさらに難しいのです。彼女たちが当事者意識を持って、助け合いながら成長していく姿を目の当たりにし、改めてこのサークルの素晴らしさを感じています。大学としても、地域社会と連携しながら、こうした実践的な学びを今後も支援していきたいと考えています。

    • 後編1.png

    日本語支援から広がる未来へのチャレンジ

    ―今後の活動における目標や将来の夢について教えてください。

    • 後編2.png
    • 由さん:私の夢は、日本語教育を専門とした機関を立ち上げることです。私自身、大学に入る前は日本語学校で学びましたが、文法や文型学習に偏った授業が多く、実践的な内容が少なかったという経験があります。大学での学びや「すまいる」で得た経験を活かし、文法的知識だけでなく、総合的なコミュニケーション能力を高められるような教育システムをつくることを目指しています。

    金先生:この活動には明確な答えはありません。学生たちは、その都度直面する課題に対してそれまでの知識を総動員し、最善を尽くして取り組んできました。私自身も、学生たちとともに学び続けていると感じています。そして、このようなコミュニティを持続させることが非常に重要だと思っています。「すまいる」は小規模からスタートした活動団体ですが、メンバーの努力が実を結び、多方面から温かい応援の声が届くようになりました。これからも、学生たちの気持ちに寄り添い、自信を持って活動できる環境を整えながら活動をさらにサポートしていきたいです。

    多様な価値観に触れ、深い学びが広がる環境

    ―麗澤大学、そして国際学部の魅力を教えてください。

    金先生:麗澤大学の国際学部は、多様な背景や価値観を持つ学生たちが集まり、互いに対話を通じて学び合う環境が整っています。特に、ピア・ラーニング(協働学習)の実践を通じて、学生たちは自分たちのペースで成長し、社会とつながる力を養っています。少人数制のクラスで、教員との距離も近いため、一人ひとりの成長を見守りながらサポートできるのが麗澤大学の大きな強みです。

    • 三浦さん:他の大学と比べて全体の学生数が少なく、中には10名以下の少人数クラスもあります。だからこそ、同じ目的を持った先生、学生、留学生がつながり、深く話し合えるのであり、この環境は大きな魅力です。特に国際学部では、留学生と日常的に交流しながら、海外の文化や価値観を学ぶ機会が多く、多文化理解が深まるとともに、自分の視野も広がります。とても充実した学びの場だと感じています。

    • 後編3.png

    ―最後に、高校生の皆さんへのメッセージをお願いします。

    三浦さん:麗澤大学は、やりたいことがあればチャレンジできる環境が整っています。「すまいる」だけでなく、海外の日本語学校で教えるプロジェクトなどもあり、学生一人ひとりのやる気を後押ししてくれます。もし今、自分が何をやりたいかわからなくても、大学での経験を通じて見つけられるはずです。大事なのは、まず一歩を踏み出すことです。自分の可能性を広げるきっかけが、必ずここで見つかります。

    由さん:勉強や部活で大変なこともあるかもしれませんが、前に進むことで必ずそれが役に立つ瞬間が訪れます。ぜひ諦めずに、チャレンジしてみてください。麗澤大学では、様々な文化や言語背景を持つ学生が集まり、互いに支え合って学んでいます。私も留学生として日本に来て、新しい挑戦をする機会を得られています。

    • 後編4.png
    • 堀越さん:高校生の時は、大学で何をしたいか明確でないことも多いと思いますが、心配する必要はありません。大学に入ってから見えてくることがたくさんありますし、「これをやってみたい」と思った時には、応援してくれる先生や友達が必ずいます。私も、周囲の支えのおかげで「すまいる」を立ち上げることができました。三浦さんや由さんも言っていましたが、勇気を持って挑戦すれば、次のステップが自然に見えてくるはずです。

    金先生:高校生の皆さんには、ぜひ大学生活で「良い仲間」をつくってほしいと思います。仲間をつくるのは難しいことかもしれませんが、麗澤大学にはそのための環境があり、互いに刺激を受けながら、夢を育むことができます。大学での4年間は、自分を成長させ、未来を切り拓くための大切な時間です。また、国際学部は仲間たちとともに学び、世界とつながれる場所です。世界には同じように夢を追い、悩みを抱える仲間がいます。そんな世界観を広げる場で、一緒に学んでいけることを楽しみにしています。

    SNSでこの記事をシェア