経済学部
2025.04.23

【後編】教室の向こうに広がる街が、もうひとつの学び舎。地域と歩む私の未来図

【後編】教室の向こうに広がる街が、もうひとつの学び舎。地域と歩む私の未来図

「人のために尽くすことが何より楽しい」と語る経済学部の運藤さん。高校時代は文化祭の実行委員として活躍し、大学では「こたつピクニック」や「ロッキンベジタブル®」など、ユニークな地域活性化プロジェクトに取り組んできました。後編では、「ロッキンベジタブル®」プロジェクトや麗澤大学の魅力などについて伺いました。

運藤 楓太
経済学部 経済学科 観光・地域創生コース 2021年度入学
千葉県出身、三人兄弟の長男。趣味はサバイバルゲームやカメラ、旅行、舞浜のテーマパークなど多種多様。SNSを通じて多くの友人をつくり、旅をしている。
※取材時、4年次生
目次

    音が育てる、味が語る。規格外の野菜たちの物語

    • 2024年9月、地域社会の課題解決をプロデュースする株式会社ノースエレメンツ様と協力し、イオンモール柏で「ロッキンベジタブル®」の即売会を開催しました。「ロッキンベジタブル®」とは、野菜に音楽(ロック)を聴かせて育て、独自のエネルギーを持つ特別な農産物を生み出すノースエレメンツ様のプロジェクトです。ロックを聴かせて育った野菜は、時に形が歪んでいたり、小さな傷がついていたりします。でも、その個性的な姿がまさにロックの精神そのもの。従来の規格選別にこだわらず、新たな魅力を持たせた規格外の野菜を「ロックな野菜 」として位置づけ、個性豊かな農産物として提供する社会的課題の解決やSDGsの目標達成への貢献を目指す取り組みです。

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    • 「ロッキンベジタブル®」の即売会を実施するために、私はリーダーとして動きました。チームのメンバーは7名です。イオンモール柏様との打ち合わせから、当日の売り上げ管理、ポップづくりまで、たくさんの経験をさせていただきました。野菜はミニトマトが200グラムで500円と、決して安くはありません。でも、試食コーナーを設けて実際に味わっていただくと「こんなに味が濃いの!」とびっくりされていました。

    私たちは「見た目ではなく、お味を確かめてみてください」と声をかけ続けました。SDGsの取り組みとも連動し、規格外野菜の新たな価値を提案する機会となりました。お客様からは「見た目にクセはあっても味は格別だね」「こんな野菜の育て方があるんだ!」と、たくさんの驚きの声をいただきました。特に中高年の方々が、ビートルズの曲を聴いて育った野菜に興味を持ってくださり、パンフレットを手に取って帰られる方も多くいらっしゃいました。

    価値観の転換。野菜から学んだこと

    • この活動を通じて、私は「見た目」と「本質」について、深く考えさせられました。ミニトマトやピーマンの中には、スーパーでは見かけないような形のものもありました。最初は「これ、売れるのかな」と不安でしたが、試食を通じてその価値を伝えていくうちに、見た目以上の魅力があることに気づきました。お客様の言葉で特に印象的だったのは「最近の野菜って見た目が良くても、味が薄い」という声でした。一方で「ロッキンベジタブル®」が目指すのは、見た目ではなく味です。

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    それは地域に置き換えても同じだと思います。私が育った流山市は目立った観光資源はありません。しかし、実際に住んでみたり、よく調べると特徴に気づきます。全国トップクラスの公園数を誇り、緑が多く自然豊かで子育て世代がたくさん住んでいます。何より人と人とのつながりのある、温かい街です。「ロッキンベジタブル®」の活動は、そんな「表面的な価値観を超えた本質」に目を向けることの大切さを教えてくれました。

    SDGsの観点からも、規格外野菜の価値を再評価する良いきっかけとなりました。最初は高めの価格設定に悩みましたが、「美味しい野菜なら、この価格でも買いたい」というお客様の声に、新しい価値観との出会いを感じました。見た目は悪くても味は最高、そして何より「ロック魂」がこもった野菜。その魅力を伝えることができた時、私たちの挑戦は成功だったと実感できました。

    少人数だからこそ気づけた、私の学び方

    麗澤大学の魅力は、その小規模さにあります。でも、それは決して「小さい」というマイナスではなく、むしろ大きな強みです。先生方との距離が近く、たとえば経済学部の籠先生とは趣味の音楽で意気投合して、一緒に食事や飲みに行くこともあります。

    授業もユニークで、特に印象に残っているのは公共政策演習です。我孫子市の観光振興策として、ジップラインやドラム缶橋の事業計画を立て、資材費や人件費まで経費を細かく試算し、実践的な知識を身につけることができました。

    他学部の学生とチームを組み、地域の課題解決に取り組む機会もあります。それぞれの視点を持ち寄って一つの課題に向き合うことで視野が広がりました。

    とりあえずやってみよう!

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    • 私の夢は、この街に恩返しをすることです。特に、次世代を担う子どもたちのために、何かできることをしたいと考えています。今は青少年相談員として、子どもたちと一緒にキャンプや体験活動を企画・運営しています。

      麗澤大学は確かに小規模な大学です。しかし、だからこそできる温かな関係性があり、実践的な学びのチャンスがたくさんあります。私自身、想像以上の経験ができました。失敗を恐れずチャレンジできる環境がここにはあります。

    「とりあえずやってみよう」。これが私の座右の銘です。なんとなく無理そうだからと諦めるのではなく、まずは一歩を踏み出してみる、そんな気持ちで大学生活を送れば、きっと素晴らしい4年間になるはずです。

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