大学の授業
2017.09.10|最終更新日:2020.09.24|

【大学の授業シリーズ】"ダイバーシティ"は可能性に満ちている~グローバル基礎演習~

【大学の授業シリーズ】
経済学科 グローバル人材育成専攻
 
目次

    「ダイバーシティ(多様性)」について英語で学ぶ授業

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    世界を舞台に活躍できる経済人を育成する、グローバル人材育成専攻。今回は、その中でもスーパーグローバルコース(以下Sコース)の2年生による「グローバル基礎演習」の授業をレポート。Sコースの授業は全て英語で行われ、授業中は先生も学生も日本語を一切使いません。もちろんテキストも全て英語です。グローバル人材育成専攻の学生に全て英語で授業をする理由は「英語力を鍛え、将来世界で活躍してもらうためです。グローバル社会で通用するには、世界共通語である英語をツールとして使いこなせることは必須。授業はそのためのトレーニングの場でもあるのです」

    授業のテーマは「ダイバーシティ(多様性)」。少子高齢化による労働人口の減少、そして国際化が進む中、日本は今までのような画一的な社会から、国籍や性別を超えて多様な人材が活躍する社会へと変わり始めています。授業では日本と海外のダイバーシティの現状を理解することから始まり、多様化することでどのようなメリット・デメリットがあるかを探っていきます。

    外国語学部の先生がゲスト・スピーカーとして登場することも!

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    「これまでの授業では、日本政府の方針、日本における社会、企業そして大学の多様化・国際化について学びました。日本では未だ、ダイバーシティへの取り組みが不十分であることが理解できたと思います。ただ、既に日本にも、異なった文化的背景を持つ人々が共生している例もあります。今日は、茨城県つくば市を例に授業を進めます。今回のテキストは、外国語学部のクリスティ・コリンズ先生も一部執筆に携った内容のものです。読んでみましょう。」テキストの内容は「つくば市の国際都市としての側面」。日本のシリコンバレーとなるべく開発されたつくば市には最先端の研究施設が結集し、世界中から研究者や留学生が集まっていること。

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    外国人居住者や長期滞在者へのサポートが充実していること。更に、つくば市には外国人女性のためのコミュニティやそのほか様々なコミュニティがいくつも存在します。外国人女性のためのコミュニティでは、ホームパーティやムービーナイトといったイベントの開催、ビザの取得などの情報交換など、在日外国人女性の交流の場として機能していることを紹介しています。これらの外国人コミュニティが、東日本大震災などの災害時には通訳やアートセラピーといった様々なボランティア活動を行い、被災地に大きく貢献した事例も取り上げていました。

    そこで先生からQuestion!「つくば市の外国人コミュニティは、在日外国人と日本人にどのように役立っているのでしょうか?」学生達のディスカッションが始まります。――とそこへ、一人の外国人女性が"Hello!"と笑顔で登場。テキストを執筆した、外国語学部の准教授でもあるクリスティ・コリンズ先生が、ゲスト・スピーカーとして登壇してくれたのです。思わぬサプライズに、学生のテンションが上がります。

    ネイティブの先生が新しい視点をもたらしてくれる

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    コリンズ先生は、ご自身も約10年前にカナダからつくば市に移り住んだ外国人女性の一人で、実際に外国人コミュニティに所属しているのです。その実体験も踏まえながら、国際都市つくば市から見えるダイバーシティの可能性について語ってくれました。

    「多国籍の人々が行き交うつくば市は活気があり、食も文化も国際色豊か。暮らしていてとても楽しいですよ。引っ越したくありません!(笑)私がつくば市に移住した時、国際的な女性のコミュニティがあることを知って嬉しく思いました。外国人女性、特に職に就いていない外国人女性は日本で孤立しがちです。コミュニティは彼女たちに外に出て交流する貴重な機会を提供してくれます。

    私のように職場で多くの人に出会える場合でも、仕事関係だけではない、様々な背景を持つ人達と出会える機会は、視野を広げられる貴重な場となっています。また、災害時のボランティア活動では被災地を支援するなど、国籍を超えて広く社会に貢献しているのです」

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    コリンズ先生は、ダイバーシティの意義を次のように示してくれました。「単一的な社会では誰もが同じような考え、習慣を持つため、スムーズに事は運ぶけれど、別の方向性を考えてみる機会がないので可能性は広がりにくい。多様な文化や考えが共存してこそ、可能性は広がります。ダイバーシティとは可能性に満ちた世界なのです」日本にいてはなかなか気づかない外からの新しい視点をもたらしてくれる素晴らしい環境・授業が麗澤大学には存在しているのです。

    この授業の最終目標は「学生が多様な視点を持てるようになること」と「お互いの違いを認め合い、共通点に目を向けて、繋がりを作るコミュニケーション力を獲得すること」。
    それこそが、これからのダイバーシティをリードし、グローバル社会で活躍できる人材に最も必要な力なのだとこの授業を通して強く感じることができました。

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