大学の授業
2017.03.15|最終更新日:2022.03.31|

【大学の授業シリーズ】会社運営を疑似体験して学ぶ、経営と経済のリアル

【大学の授業シリーズ】会社運営を疑似体験して学ぶ、経営と経済のリアル
髙 巖 ※2021年度をもって退職
経済学部 特任教授 
大分県出身。企業倫理やコンプライアンスなどを長年、研究テーマとし、大手企業の倫理委員会、コンプライアンス委員会の委員長の他、社外取締役なども務めている。ゼミ生の成長過程を記録・映像化しプレゼントするのが毎年の恒例となっている。
目次

    「水餃子」会社を経営するゼミ!?

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    麗澤大学では主に経済学部の学生を教える髙先生。そんな髙先生のゼミは、高い人気を誇ります。その理由はユニークな授業内容。「髙ゼミ」ではゼミ生が実際に"会社を運営している"のです。会社のトップである"社長"はもちろん、経理部門、調達部門、製造部門など会社を運営するために必要な部門を学生達が取締役や部長などになって担当。会社が販売する商品は年度によって変わりますが、最近は「水餃子」が中心。麗澤大学の学園祭に出店、調理・販売することで利益を出し、会社を運営しています。

    会社のルールである「定款」を定め、実際に学生が出資金を出し「株」(1株500円)を持ち、経営状態をチェックするために財務諸表も作り、株式会社がどのように運営されているのかを実体験を通じて学びます。

    会社の運営に必要な最初の資金は高先生から「借り入れ」を行い、4年生が卒業する時にはその株を会社が買い取る「自己株の取得」なども実施。さらに会社の重要事項を決める際には株主総会を行い、会社が健全に運営されているかを確認する事業報告や、人事評価まで実施。まさに会社経営そのものをゼミ内で実践しているということです。

    学生と先生が自主的に取り組む「昼ゼミ」

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    もう一つ、髙ゼミのユニークな取り組みが「昼ゼミ」です。授業外に「昼ゼミ」という名の特別ゼミが、毎週火曜日のお昼休みに開催されています。通常のゼミには3年生・4年生が参加しますが、「昼ゼミ」には、次年度参加予定の現2年生も参加します。日本経済新聞を一緒に読み、注目した記事についてグループ内で話し合いをし、発表。そこに髙先生がわかりやすく解説を加え、さらに議論して理解を深めていきます。「本格的なゼミが始まるのは3年生からですが、2年生と3年生・4年生が一緒に学ぶ機会を持って欲しいこと、またゼミの時間だけでは足りない勉強時間を補いたいという想いから「昼ゼミ」を開催しています。

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    言ってみればゼミスタート前のウォーミングアップ。人間関係を作ることと、経済・経営について基本的な知識を身につけてもらうことが目的です」(髙先生)

    一風変わった「昼ゼミ」ですが、一番の特徴は髙先生と学生が主体的に行っていること。参加は強制ではありませんが、刺激的な授業内容のためか、髙ゼミへ参加している学生はもちろん、参加を希望している2年生も意欲的に参加していました。こうした先生と学生による自主的な取り組みは麗澤大学ならでは。お昼休みの時間も有効に活用し、学生が積極的に、且つ楽しんで参加しているのがとても印象的でした。

    自由だからこそ緊張感もある

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    意欲的な学生とその気持ちに応えたいという先生の思いが詰まったゼミ。参加する学生も、成長の手応えを感じています。「1年生の時に髙先生の授業を受けたことをきっかけに、企業倫理について興味を持って、ゼミに入りました。

    髙先生のゼミはとても自由度が高くて、自分達が興味を持ったことをやらせてくださいます。それだけに学生が責任を持ってしっかりと取り組まなければいけないので、緊張感もあります。先生の授業を通じて、いかに自分が経済や経営について知らないかに気づくことができましたし、少しずつ理解も深まってきていると思います」(3年 草薙進二さん)


    他にも髙ゼミでは、会社見学や工場見学も実施。ビジネスの現場に触れることで、日本経済や経営を肌で感じていきます。こうした取り組みも先生の「麗澤大学で学んだことを社会に出てからしっかりと生かして欲しい」という思いから生まれています。

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    「もちろん、私が授業で伝えたいことの全てを理解して欲しいとは言いませんが、社会に出た時、『あの話はこういうことだったのか』と思い出してくれるような授業をしようと心がけています。私自身、若い学生達と接するのは楽しいですし、彼らがわかるように説明するのは自分自身への勉強にもなりますから、毎授業がチャレンジですね」(髙先生)

    最後に「麗澤大学でいい仲間と出会い、真面目に明るく仕事をする人に育って欲しい」と学生達への想いを笑顔で語った髙先生。教員と学生が共に楽しみながら学んでおり、とても温かい雰囲気のゼミでした。

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