学生の活躍・課外活動
2019.05.07|最終更新日:2023.09.29|

【前編】私たち、週3回、小学校で英語の先生をしています! ~子どもたちの笑顔の先にあるもの~

【前編】私たち、週3回、小学校で英語の先生をしています! ~子どもたちの笑顔の先にあるもの~
英語学習サポートプロジェクト
自主企画ゼミナール
 
梅津 健志 先生
2017年~2019年に酒井根東小学校校長を務め、2019年4月から千葉県教育庁教育振興部学習指導課に勤務。 東京都出身。小中学校は新潟・岡山・青森、高校は北海道と日本各地で学ぶ。専門は国語科と情報教育。野田、流山、柏の小学校に勤務した後、柏市教育委員会で図書館活用教育、学力向上プロジェクトを手掛けた。趣味は気軽に楽しめる百名山に登ることと温泉でのんびり過ごすこと。
池田 将太
外国語学部 英語コミュニケーション専攻 2021年3月卒業
高校時代は野球に専念、気合と根性に自信あり。苦手だった英語は気合と根性、先輩の猛特訓により克服。Japanesia(ジャパネシア:ジャパン×ミクロネシア)自主企画ゼミナール※の学生代表も務める。
實川 仁美
外国語学部 英語・リベラルアーツ専攻 2021年3月卒業
世界各国から70を超えるの大学が参加し、国連を模擬する学生会議「模擬国連」に参加。ワシントンDCで開催された2018年全米模擬国連大会にも代表として出場。「世界を良くしたい、人のためになることをしたい」気持ちを原動力に幅広く活動する。本記事で紹介している「酒井根東小学校で英語を教える自主企画ゼミナール」のリーダーを務める。

※自身の学びたいテーマに基づき、学生が自ら指導を受ける教員を選び、何をどのように学習していくかについて、該当教員の助言を受けながら決定し、学習計画を立て、その計画に従って進めていく学生イニシアティブの科目
目次

    麗澤大学の学生が小学校の英語の先生に?!朝の授業をレポート!

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    今回は、麗澤大学の学生が地域の小学校で英語を教える自主企画ゼミナールをご紹介します。お話を伺ったのは、提携先の酒井根東小学校前校長の梅津健志先生とリーダーの實川仁美さん、池田将太さんです。いったいどんな活動なのでしょうか?先ずは授業の様子をのぞいてみましょう!

    朝8時25分。酒井根東小学校の5・6年生の各クラスに学生が2名ずつ入り、英語のモジュール学習(10~15分間の短時間学習)が始まります。「Good morning everyone! How are you?」という学生のあいさつに、「I'm fine!」「I'm sleepy」などと、元気いっぱいに答える小学生たち。今日の授業は、3日後に控えた麗澤大学の留学生との交流会に向けた準備です。

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    児童はそれぞれ、当日発表する「My best memory」をテーマに英文と絵の創作に取り組みます。先生を務める学生は手分けして児童一人ひとりの様子を見て回り、困っている児童には「一緒に考えよう!」と声をかけ、早くできた児童には、手持ち無沙汰にならないよう「読み方わかる?」と質問をするなど、クラス全体に目を配りながら授業を進めていきます。学生に声をかけられると、児童たちはニコニコと嬉しそうにするのがとても印象的でした。

    あっという間に15分が経ち、学生は授業のまとめに入ります。「では最後に、ワンポイント。自分のことを伝えるときは、『My best memory is~』から始めますね。相手に訊く時はどうなりますか? 『What is your best memory?』となります。これは覚えて帰りましょう!

    では今日はこれでおしまいです、See you!」。15分が一瞬のように感じるほど、イキイキとした時間が流れていました。さて、ここからは担任の先生にバトンタッチ。先生の顔をしていた学生たちはすっかり学生の顔に戻り、今度は自分自身の学習のため大学へと急ぎます。

    「英語で地域貢献したい!」が活動のきっかけに

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    この自主企画ゼミナールでは、酒井根東小学校の5・6年生を対象とした英語のモジュール学習を週3回行っています。現メンバーは13名。教員を目指す学生、好きな英語を活かした活動をしたい学生、子ども好きな学生――参加の動機は様々です。活動のきっかけは、大学の地元でもある柏市から与えられた課題に学生が取り組む「麗澤・地域連携実習」でした。池田さん、實川さんをはじめとする学生たちは、柏市の国際交流をテーマに調査を進めるうちに「自分たちが学んでいる英語で地域貢献したい」という想いがふくらみ、市役所や柏市国際交流協会にアプローチ。そこで、酒井根東小学校をご紹介いただいたそうです。なぜ、小学校だったのでしょうか?

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    「2020年から小学5・6年生の英語が必修になるなど、小学校の英語教育が本格化される中で、私たちの専門である英語が役に立つのではないかと思いました。梅津校長先生には当初、英語のイベントを提案したのですが『地域貢献をするのであれば、一度限りではなく、継続的な活動にすべきでは』とご教示いただき。本当の意味での地域貢献を目指して、週3回、継続的に授業を持たせていただくことになりました」(池田)

    「麗澤大学の皆さんにお願いしようと決めた理由は、何といっても、熱意。それに、英語を専門的に学ぶ学生の皆さんの協力があれば、児童たちの英語力のさらなる向上にもつながります。さらにいえば、麗澤大学には留学生も多く、児童が留学生の皆さんと交流する機会を持つこともできます。実際、普段のモジュール学習には留学生にも入っていただいておりますし、交流会も開催するなど、児童には貴重な経験となっています」(梅津先生)

    ゴールは英語を話せることではなく、英語をツールとして活かすこと

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    梅津氏に、小学校の英語教育についてお考えを伺いました。

    「英語はこれからの時代、ますます欠かせないスキルとなるでしょう。小学生のうちから慣れ親しんでおくことは、とても大切だと思います。ただ、気をつけたいのは、子どもたちが『英語を上手に話せること』をゴールと設定してしまうこと。英語はツールに過ぎません。子どもたちには、『英語を使って何をするのか』を何よりも大事にしてほしいと思います。その点においても、たとえば、池田さんや實川さんがミクロネシアで環境活動をするために英語を学んでいるように、麗澤大学の学生は、自分がやりたいことに英語をしっかり活かしていて素晴らしいですね。その姿も、子どもたちの良いお手本になるはずです」(梅津先生)

    梅津先生はさらに、麗澤大学の学生の印象をこんな風にお話してくださいました。

    「皆さん真面目で責任感が強く、社会に貢献したいという気持ちが強いですね。これまで100回以上授業を行ってもらいましたが、学生都合で授業ができなかったことが一度もありません。これは素晴らしいことですね」(梅津先生)

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    学生たちは、どのように活動を運営しているのでしょうか?

    「モジュール授業開始前には、その日のメンバーの参加状況を確認し、体調不良などで急な欠員が出た場合にも、他のメンバーが対応できるようにしています。クラスは基本的には担当制ですが、週1回のミーティングで各クラスの進捗状況などを情報共有し、メンバー全員が、自分の担当以外のクラスも把握して対応できるようにしています」(池田)

    この活動は最初、学生有志によるボランティア活動としてスタートしましたが、現在は授業の一環である自主企画ゼミナールとして認められ、担当教員の町惠理子先生、アドバイザーのアンドリュー・マクノートン先生のご指導のもと活動を続けています。

    「自主企画ゼミナールにすることで学生が参加しやすくなり、現メンバーが卒業した後も、次代に受け継いでいける体制となりました。梅津先生にご教示いただいた通り、継続することで次代に良いものを受け継いでいき、本当の意味での地域貢献活動に育てていきたいと思っています」(池田)

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