大学の授業
2022.12.16

【後編】哲学・戦略・戦術を磨き、グローバルリーダーとなるべく備える。それが「経営戦略論」の学びです

【後編】哲学・戦略・戦術を磨き、グローバルリーダーとなるべく備える。それが「経営戦略論」の学びです

今回ご紹介するのは、ミロシュニック先生による「Strategic Management(経営戦略論)」の授業です。プレゼンテーションやディスカッションなど、様々なアクティブ・ラーニングを取り入れ、授業はすべて英語で行われています。後編では、授業の目的や習得できるスキルなど、授業についてさらに詳しくミロシュニック先生にお話を伺います。

MIROSHNIK, W. Victoria(ヴィクトリア ミロシュニック)
国際学部 グローバルビジネス学科 教授
ロシア出身。ロシアで心理学、アメリカで経済学を修め、イギリスで経営博士号を取得。インド、アラブ首長国連邦、オーストラリア、アメリカ、韓国など世界中の大学で教えた経験をもつ。
目次

    経営とは何か? お金や権力、知識よりも「美徳」を尊重するのが私の哲学です

    ―あらためて「Strategic Management」とはどのような授業なのか教えてください

    Strategic Managementは経営学のすべての学びが集結する授業であり、経営学におけるピラミッドの頂点のような「キャップストーンコース」といえるでしょう。アメリカの大学でキャップストーンコースといえば、すべての学生が学習すべき重要なコースを指します。この授業では、経営についての知識を得るだけでなく、なぜ経営をするのかという根本と、なぜ、戦略を持って経営をしなければならないのかを、強固な「哲学」、「戦略」、「戦術」に基づいて学びます。

    ―「哲学」とはどういうことでしょう?

    経営とは利益を追求することがすべてではありません。「美徳」を尊重することが、お金や権力、知識、その他の何よりも優先されると私は考えます。それが私の経営哲学であり、この授業で学ぶ哲学です。この経営哲学の背後に戦略、戦術があります。ここにいる学生は、適切な哲学、戦略、戦術を手に入れ、世界に通用する人材となるために「Strategic Management」を学んでほしいです。

    このような私の教育学は、昨日今日生まれたものではなく、古代の教えに基づいています。紀元前の古代ギリシャ、ローマの時代から受け継がれる素晴らしい知の遺産が、今この教室で、現代を生きる学生にふれて輝きを放つのです。

    品格あるグローバルリーダーを育成するために

    ―この授業が目指すことは何でしょうか?

    品格ある(倫理的な)グローバルリーダーを育成することです。これは麗澤大学が育成を目指す人物像であるとともに、私自身の目標でもあります。そのためには、私の考えるグローバルリーダーに必要な「IQ」「EQ」「CQ」の3つのスキルを最大化させることが重要であると思い、学生には授業を通してこの3つのスキルを習得してほしいと考えています。

    • IQ(Intelligence Quotient)とは、アイデアを生み出すために、事実を分析する力です。授業では、学生は既存の枠にとらわれず、まず分析した事実をもとに自分の意見を確立し、自分の考えを生み出す力を鍛えることで、高度な問題解決能力を身につけます。さらに、自分のアイデアが人々の共感・賛同を得られるようにプレゼンテーションを行います。この取り組みは、学生が将来、社会のトップを目指して登りつめていくのを助け、授業の最大の目的である「グローバルリーダーの育成」に貢献します。

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    EQもしくは感情的知性(感情指数で測定)とは、自分の感情を理解し、コントロールする能力のことです。リーダーは組織のメンバーの士気を高め、やる気にさせなければなりません。それにはまず、自分自身のモチベーションを高める必要があります。チームや組織の力を最大限発揮するために、EQが重要なのです。

    そして最後に、CQもしくは文化的知性(文化指数で測定)とは、文化を理解し、価値観の体系としての文化を確立する能力のことです。特に私の授業では、経営戦略の目標として、美徳を身につけることに焦点をあてています。私たちは利益を追求するだけでなく、世界や人々に貢献しなければなりません。そのために不可欠なのがCQです。私はそれを学生から学び、学生は私から学ぶというように、授業では互いに学び、高め合うことを大切にしています。

    英語を学ぶベストな方法。それは協力して学ぶこと

    ―授業はどのように行われますか?

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    • 私の授業は、協働学習、反転授業、PBL(課題発見解決型学習)を含む学生中心型のアクティブ・ラーニングが行われています。アクティブ・ラーニングとは、教員である私が一方的に話すのでなく、学生が主体的に考え、学習する教育法です。
      反転授業では、学生は講義を受ける前に、自分で資料を分析したり、ケーススタディを読んだりします。私の授業はすべて英語で行いますから、語学が苦手な学生は特に、事前準備が欠かせません。また、授業ではアップルチームとオレンジチームに分かれて一緒に課題解決をすることもあるので、学生たちはチームでケーススタディを読んだり、資料を分析する必要があります。このようにともに学ぶことを協働学習と言います。

    その後、授業内では両チームがプレゼンテーションをした後、ディスカッションを行います。このディスカッションもアクティブ・ラーニングの一種であり、「ソクラテス式討論」とも呼ばれています。このようなディスカッションは、学生が質問し、それに答えることによってお互いにさらに見識を深めることができます。

    ―英語が苦手な学生に対するサポートはありますか?

    今年から、英語と日本語の高度なスキルを持つ大学院生のTA(ティーチングアシスタント、以下TA)を導入しています。授業中は難しい内容や専門用語も取り扱いますが、TAが状況に応じてすぐに日本語に訳してくれるので、英語が苦手な学生も安心して授業を受けることができますよ。これも一種の協働学習です。

    私も英語が母語ではありません。だからこそ英語を学ぶベストな方法を知っていて、授業では重要な英語学習のテクニックをいくつか教えています。TAによる言語的サポート、チームワーク、ディスカッションなど、この授業は協働学習の機会がたくさんありますよ。

    麗澤大学は品格あるグローバルリーダーの育成において世界最高の大学

    ―グローバルリーダーになるのはどのような人だとお考えですか?

    • 今この教室で、麗澤大学で学んでいる学生たちです。彼らは今まさに、グローバルリーダーになる準備をしているのです。リーダーシップとは何でしょうか? ここで再び、哲学の話に戻ります。グローバルリーダーを目指す者は、輝かしい過去から輝かしい未来への橋渡しをするため、本当の意味で成功を達成するために、古代の人々がどのようにリーダーシップを実行したのか、彼らが私たちに残したメッセージとは何なのかを理解する必要があります。私の授業で学ぶ学生は、今を生きるための「知」を、過去から獲得するトレーニングを受けているのです。

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    ―最後に、高校生にメッセージをお願いします

    私はこれまで世界中の大学で教えた経験があるから、わかるのです。麗澤大学には、他の大学にない素晴らしい個性があります。麗澤大学は、優れた学問的な訓練と道徳教育によって、知識と倫理観を兼ね備えたグローバルリーダーを育成することにおいて世界最高の大学です。ここで私たちとともに学び、高め合い、世界に通用する人材となることを目指していきましょう!

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