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2012/04/11

ボストン大学での道徳と社会的責任のシンポジュームで日本の道徳思想を発表


(1)ボストン大学で麗澤大学の3教授が発表
 
  去る4月5日(木)、ボストン大学教育学部の「品性・社会的責任センター」(Center for Character and Social Responsibility)主催のシンポジューム「グローバル対応力の倫理」(The Ethics of Global Competence)で、麗澤大学学長の私、外国語学部水野修次郎教授、経済学部のピーター・ラフ教授がメインスピーカーとして招かれ、それぞれプレゼンテーションを行った。ボストン大学からは、ハーディン・コールマン学部長、共著本編集者のカレン・ボーリン博士(ディスカッサント)とべーニース・ラーナー博士がプレゼンテーションを行い、ケビン・ライアン博士もご夫人同伴で発表を傾聴された。

 このイヴェントが催されたのは、同センターと本学の道徳科学教育センター(Center for Moral Science and Education)の共同プロジェクトの所産として、今年4月にチャールズ・タトル社から、Happiness and Virtue beyond East and West: Toward a New Global Responsibility (『東洋と西洋を超える幸福と美徳:新しい地球的責任を目指して』)というアメリカの一般読者向けの啓蒙書が上梓されたからである。ボストン大学でのシンポジュームは、この出版を記念し、その共同研究の成果を広く紹介するためにボストン大学側が準備してくれたわけだが、会場は教員と学生、弁護士、会計士などの参加者でほぼ満席となった。
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  発表後、フロアーから活発な質疑応答がなされた。主催者のハーディン・コールマン学部長からも、高等教育機関が果たす社会的責任をどう考えるのかという実践的な問題についての質問が投げかけられた。「グローバル化の時代において、高等教育機関の果たす社会的責任は国際的通用性を備えたものでなくてはならず、しかも全学的・組織的に取り組む性格を持たなくてはならない」とした上で、本学では「世界の他大学に先駆けて、国際的な社会的責任規格であるISO26000を活用している」と具体例を紹介し、注目を浴びた。


講演をする中山学長

ハーディン・コールマン学部長、カレン・ボーリン博士、べーニース・ラーナー博士とともに







熱心に聞き入る聴衆

真剣なまなざしのコールマン学部長


 

 

 

 

 

 

 

講演をする水野 修次郎教授

講演をするPeter Luff教授





















※ボストン大学「品性・社会的責任センター」(Center for Character and Social Responsibility)HPでの報告
http://www.bu.edu/ccsr/2012/04/11/the-ethics-of-global-competence-symposium-a-success/


 

(2)家族愛に満ちた家庭を訪問

 翌日は小型プロペラ飛行機でボストンからシラキュースに向かい、発達心理学・教育学の著名な専門家トム・リコナー教授のお宅を訪問した。先生は本書に素晴らしい序文を寄せてくださっただけでなく、東日本大震災の義捐金に充ててほしいと原稿料全額を寄付された方でもあるので、今回はそのお礼も兼ねて、コートランドの閑静な住宅街にある教授宅を訪問したわけである。

リコナー教授宅にて

  私たちを出迎えてくれたのは、リコナー教授と愛妻のジュディさん、そして二人の孫娘さんで、旅の疲れを忘れさせるほど、温かい歓待を受けた。ジュディさんが腕によりをかけて準備してくれた手料理に舌鼓を打ったのはもちろんだが、食事の前に家族全員で神に恵みを感謝する祈りをささげるなど、敬虔で善良なクリスチャンの生活ぶりも印象的だった。教授はまた私たちの本を孫娘さんたちに音読して聞かせ、その内容についても、いろいろと語り合われたという。これからも特に学校教育における道徳実践の研究や相互交流で本学と協力しあうことを快諾してくださった。



(3)倫理教育について熱く語り合う

 4月7日(土)、今度はシラキュースからワシントンへ移動し、ジョージタウン大学の哲学の教授でケネディ倫理研究所の主席研究員、トム・ビーチャム教授(Tom Beauchamp)と面会し、私と水野教授が会談した。さっそく今回の著書を進呈し、シンポジュームの意義などを説明すると、その枠を超えて、倫理教育における宗教と哲学の問題、宗教のローカル性、現代倫理において重要性を増す正義と権利の問題、倫理・道徳における共通基盤の認識、医療倫理における道徳教育の必要性、サンデル氏が唱えるコミュニテリアンニズムの限界など議論は多岐にわたり、席につくと同時に途切れることなく、気が付いてみるとあっという間に90分ほどの時間が過ぎていた。

 以下、その時の水野教授の所感もご紹介しておきたい。

ビーチャム教授とともに

 「トム・ビーチャム教授と中山学長が会談。報告者である水野も同席しました。ビーチャム教授が教える倫理教育では、宗教を扱わずに哲学を扱い、学部生、大学院生、ポストドクターと3つのコースを担当しています。教授は、宗教は、何であっても、もともとユニヴァーサルなものではなくて、ローカルなものとして理解しています。それで、教授の倫理講義は哲学的な見地が主体になります。

  世界に共通する倫理については、医学の発展の歴史を例示し、どの国でもまったく同じ発展をたどることから、世界には思ったよりも多くの共通の現象が存在し、文化に関係なく人類が共通にもっているものは多く存在します。もちろん、文化内にも多くの違いが存在しますが、それでも共通するものは多いとします。

  道徳科学教育センターといくつかの研究機関との研究協力は考えることができます。教授は、Johns Hopkins Universityの倫理教育は一番発展しているので参考にすることができると推薦してくれました。

  教授の話は、とても新鮮なものがありました。特に、世界の共通言語を用いて倫理道徳を語る必要性を強く感じました。また、Happiness and Virtue の本で扱った徳による倫理教育、ナラティヴによる道徳意味を再構築していくことが、意味のある研究であると確信しました。」 

 ビーチャム教授は、5月の中旬に来日予定であるので、その際、できれば本学も是非訪問したいとのことであった。


Happiness and Virtue beyond East and West