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平成25年度 入学式告辞

 本日ここに、足もとがお悪い中、多数のご来賓の方々のご臨席のもと、平成25年度麗澤大学入学式を挙行できますことは、私どもの大きな喜びでございます。また、新入生の保護者やご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。
 本年度の入学者は大学院生、学部生、別科生、総計665名、これに特別聴講生と研究生が22名、この中には、世界の13の国と地域から来られた129名の外国人留学生も含まれます。麗澤大学を代表いたしまして、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 さて、本日は、ここにご出席の皆さんのご入学を心から歓迎し、2つのことをお伝えしたいと思います。
 まず第一は、麗澤大学という名称でございます。麗澤についてお話しするのは、名は体を表わすというように、まさに麗澤という名称の中に麗澤教育の理念が表わされているからです。「麗澤」とは、中国の古典の『易経』からとった言葉で、まず「ともに並ぶ澤」を意味します。『易経』に「並んでいる沢が互いに潤し合う姿は喜ばしい。立派な人間になろうとする者が志を同じくする友と切磋琢磨する姿は素晴らしい」とあるように、お互いの切磋琢磨を通して、常に相手を尊重し、互いに助け合いながら、自己の品性を高めることの大切さを謳っています。まさに麗澤教育の在り方を述べたものといえるでしょう。

 また、「麗」には「つく、付着する」という意味もあります。同じく『易経』には「日や月は天に付着しているから萬物を照らすことができ、穀物や草木は土に付着しているから花を咲かせ実を結ばせることができる。また、明徳すなわち、天から与えられたすぐれた徳性をもって正しい道にしっかりと付着して政治を行えば、天下を正しく教化できる」とあります。本学の創立者はこの古典の精神を敷衍し、「麗澤」の意味をこう表現しました。麗澤とは「太陽天に懸かりて萬物を恵み潤し育つる義なり」。つまり「天にある太陽のように、生きとし生けるものすべてを慈しみ育てる人であれ」というのが、麗澤の名称に込められた創立者の願いです。

 これを学問の地平で展開したのが、本学の「知徳一体」の建学の精神でございます。本学は昭和10年の創立以来、「高い品性と専門性を備え、自分の考えを国際的に発信できる人材の育成が大切である」という創立者廣池千九郎の考えに基づき、国際社会を舞台とし、互恵の精神で持続可能な社会の構築に貢献しうる教養人および公共人を育成することを目指してまいりました。「知徳一体」とは、知識と道徳はひとつに調和すべきであり、大学や大学院での学問も、知識と道徳が車の両輪のように機能して、初めてグローバルな社会に役立つものとなるという理念でございます。

 第二は、大学での「学び」(learning)は高校時代の受験勉強(studying)とはその質も量も格段に飛躍するものとなるということです。その内容を集約すれば、「知って行なわざるは未だこれ知らざるなり」(知っても行動に移さなければ知らないのと同じである)と言えるかもしれません。すなわち知識と行為は一体であり、実践を伴ってこそ本当の知識たりえるということです。これは中国の明代の思想家、王陽明(1472~1528年)が唱えた陽明学の学説ですが、長州藩士で幕末の思想家、吉田松陰(1830~1859年)も、この言葉をこよなく愛し、松下村塾の掛け軸に掲げていたといいます。この塾からは、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋らの明治維新を代表する指導者が輩出されましたが、ここで育成された多数の志士達は、きっとこの言葉を心の支えとして、幕末・維新に新しい日本を築くべく活躍したのでしょう。

 この学びにおける経験の大切さは、アメリカの教育論者のD.A.コルブ(Kolb)の経験的学習理論によっても裏付けられています(Experiential Learning, 1984)。学問とはある意味で抽象化による知識の体系化ですが、それが自分の血となり肉となるには経験によらなくてはなりません。逆にある経験をしても、何も考えなければ、同じく自分の血や肉とはなりえないのです。しかし、その経験をじっくりと自分の頭で考え、これを抽象化すれば、豊かな知識になって身につきます。そしてその後にさらに追体験をして、前の知識が正しかったのか、より進んだ理解が得られたのかを自己に反省するのです。このプロセスを通してより一層抽象化を深め、さらに実生活で確認すべく経験を積むことこそ、真の学びといえるでしょう。この経験と抽象化、あるいは抽象化と経験のサイクルを繰り返すことで、私たちに真の「知恵」(wisdom)が身につくのではないでしょうか。ここが高校までの「学習」(study)と大きく異なる点でしょう。

 本学には、皆さんの「知」と結びつく「経験」が得られる様々なプログラムが用意されています。世界の13の国と地域の提携校への留学プログラムの他に、外国語学部ではクロス留学や中東夏季研修、経済学部ではマレーシア研修など、充実した両学部のユニークな留学プログラムや研修制度が用意されています。また、全国で本学しか行っていない大学単独チームでの全米模擬国連大会への参加、キャリアセンター主導のインターンシップ、あるいはキャンパス内だけでも、今年完成したグローバル・ドミトリーでのユニット・リーダー主催のイベント、いろいろな外国語のシャワーを浴びることのできるIラウンジ、麗澤グローバルひろば、Center of Community(「地(知)の拠点」)を目指し、柏市や地元の光ヶ丘商店会とのコラボレーションで行う地域社会貢献活動など、皆さんが経験を通して知恵にいたる機会は枚挙に暇がありません。どうか皆さんには、「行う」ことを通して「知る」、「知る」ことを通して「行う」、この知行合一の喜びを、是非ともこの麗澤で体験していただきたいと思います。

 最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆さんが本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。
             

                              平成25年4月2日 麗澤大学学長 中山  理