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平成26年度 入学式告辞

 本日ここに、多数のご来賓の方々のご臨席のもと、平成26年度麗澤大学入学式を挙行できますことは、私どもの大きな喜びでございます。また、新入生の保護者やご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。

 本年度の入学者は大学院生、学部生、別科生、特別聴講生、研究生等、総計686名で、この中には、世界の16の国と地域から来日された 135名の外国人留学生も含まれます。麗澤大学を代表いたしまして、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 さて、本日は、ここにご出席の皆さんのご入学を心から歓迎し、3つのことをお伝えしたいと思います。

 まず第一は、麗澤大学という名称でございます。麗澤についてお話しするのは、名は体を表わすというように、まさに麗澤という名称の中に本学の建学の精神と教育理念が表わされているからです。「麗澤」とは、中国の古典の『易経』からとった言葉で、まず「ともに並ぶ澤」を意味します。『易経』に「並んでいる沢が互いに潤し合う姿は喜ばしい。立派な人間になろうとする者が志を同じくする友と切磋琢磨する姿は素晴らしい」とあるように、お互いの切磋琢磨を通して、常に相手を尊重し、互いに助け合いながら、自己の品性を高めることの大切さが謳われています。

 また、「麗」には「つく、付着する」という意味もあります。同じく『易経』には「日や月は天に付着しているから萬物を照らすことができ、穀物や草木は土に付着しているから花を咲かせ実を結ばせることができる。また、明徳、すなわち、天から与えられた優れた徳性をもって正しい道にしっかりと付着して政治を行えば、天下を正しく教化できる」とあります。本学の創立者はこの古典の精神を敷衍し、「麗澤」の意味をこう表現しました。麗澤とは「太陽天に懸かりて萬物を恵み潤し育つる義なり」。つまり「天にある太陽のように、生きとし生けるものすべてを慈しみ育てる人であれ」というのが、麗澤の名称に込められた創立者の願いです。

 この太陽のような温かな他人を思いやる心こそ、本学でいう「つながる力」と「つなげる力」の源泉なのです。入学後皆さんは、学部、クラス、クラブ、サークル、ドミトリー、地域社会など、いろいろな新しいコミュニティーを形成する一員となります。そのようなコミュニティーを形成するには、他者とつながる力、他者につなげる力が必要ですが、まさにその中核にあるべきものが、モラル・コンピタンシー(道徳力)に他ならないのです。というのも、道徳とは単にマナーやエチケットという社交的なレベルにとどまるものではなく、自己と他者とのより良き関係性の構築を目指すもっとも本質的な能力であり、私たちが幸せな人生を送る上で不可欠な行動原理であるからです。

 

 これを学問の地平で展開したのが、本学の「知徳一体」の建学の精神でございます。本学は昭和10年の創立以来、「高い品性と専門性を備え、自分の考えを国際的に発信できる人材の育成が大切である」という創立者廣池千九郎の考えに基づき、国際社会を舞台とし、互恵の精神で持続的社会の構築に貢献しうる教養人および公共人を育成することを目指してまいりました。「知徳一体」とは、知識と道徳はひとつに調和すべきであり、大学や大学院での学問も、知識と道徳が車の両輪のように機能して、初めてグローバルな社会に役立つものとなるという理念でございます。

 

 第二は、先ほどグローバル社会と申し上げましたが、グローバル化が強調されればされるほど、その風潮と反比例するように、日本の若者が内向き傾向になり、日本人の元気が失われていくように見えるのは、なぜかという問題です。そのことを裏付けるかのように、2009年の英誌の『エコノミスト』で、自国に対する信頼・称賛・尊重・誇りが世界でもっとも低い国として日本が世界33か国中33位の最下位にランクされていました。グローバル化は世界が一つになるという面もありますが、その一方で、かつてないほど激しい競争が各国間で、経済、テクノロジー、文化、そして教育などの分野で繰り広げられることも意味します。その結果、各国は今まで以上に他国との差別化を図る必要に迫られ、今まで以上に各国が個性を引き出すことを余儀なくされる方向に向かうのではないでしょうか。このような状況ですから、これからの日本を担う皆さんには、そして祖国の発展に寄与することを期待される留学生の皆さんも、そのようなグローバル化に対応すべく、自国や自分自身の個性に対する自信や誇りを持ち、それを可能にするような学びを深めていただきたいと思います。

 

 第三は、あの『種の起源』を著したチャールズ・ダーウィンが「人間にとって重要なのは、頭の良さよりも心の態度である」といみじくも述べたように、大学生活を送る上で、あるいは人生を送る上で本当に大切なのは、単なる物知りではなく、真剣にものを考える態度であるということを心に留めていただきたいということです。剃刀のように切れる頭ではなく、何事にも興味を抱いて探求する心が重要であり、人生で一番大切なことである徳とは何かを見極める力が何よりも意義があると言っているように私には響くのです。大学での学びとは何かを考えるとき、そのような力を実際に発揮して歴史的な業績をあげたダーウィンの言葉ほど、説得力に満ちたものはありません。

 

 本学には、皆さんの「知」と「徳」とが結びつくような「経験」を可能にする様々なラーニング・プログラムが用意されています。世界の13の国と地域の提携校への留学プログラムの他に、外国語学部ではユニークなクロス留学、経済学部では専門留学など、両学部の特色を生かした充実した留学プログラムや研修制度が用意されています。また、全国でもごく限られた大学しか行っていない大学単独チームでの全米模擬国連大会への参加、キャリアセンター主導のインターンシップ、あるいはキャンパス内だけでも、昨年完成したグローバル・ドミトリーでのいろいろな教育プラグラムや寮生主催のイベント、英語はもとよりそれ以外の外国語のシャワーも浴びることのできるIラウンジ、麗澤グローバルひろば、本学のCOC(Center of Community地域コミュニティーの中心)活動の一環として地元の光ヶ丘商店会とのコラボレーションで行う地域社会貢献活動など、皆さんが自分を磨き、社会に役立つ知恵を身に着ける機会は枚挙に暇がありません。具体的な活動内容につきましては、この式の後の「在学生による学生生活の紹介」で、諸君の先輩から詳しい説明があると思いますが、どうか、皆さんには本学での学びの機会を最大限に活用していただきたく思います。

 最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆さんが本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。

                    平成26年4月2日 麗澤大学学長 中山  理