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平成26年度 卒業式告辞

 本日ここに、平成26年度、麗澤大学学位記授与式、ならびに別科日本語研修課程修了式を挙行するにあたり、麗澤大学を代表してご挨拶申し上げます。

  まず初めに、公私にわたり御多忙中にもかかわらず、多数のご来賓をはじめ、関係各位のご臨席を賜りましたことに対し、衷心より厚くお礼申し上げます。

  また、これまで卒業生、修了生の皆さんを支え、この日を待ちわびておられたご家族、保証人の皆様のお喜びもひとしおと拝察し、心からお祝いを申し上げます。さらに後援会、麗澤会をはじめ、多くの関係者の皆様方には、日頃から本学の教育・研究活動に対し、深いご理解とご支援を賜っておりますことにも、厚く御礼申し上げたいと思います。

   さて、今年度は、外国語学部271名と経済学部298名、合計569名に学士の学位を、大学院の言語教育研究科と国際経済研究科および経済研究科では、合計3名に博士の学位と27名に修士の学位を、別科日本語研修課程では20名に修了証書を授与いたしました。したがって、本年は、総数619名の卒業生と修了生を送り出すことになります。さらに、海外の提携校から留学されている特別聴講生も17名が無事本学での留学を終了されました。

  本日、卒業および修了された学部生、大学院生の中には、67名の外国人留学生が含まれております。これに別科日本語研修課程修了生と特別聴講生を含めますと104名、出身は15の国と地域に及びます。留学生の皆さんは、異なる言語、文化、習慣の壁を克服して見事に学位記と修了証書を手にされました。これまでの皆さんのご努力に対して深く敬意を表します。これから皆さんは、本学で学んだことを社会貢献のために活用するとともに、日本と皆さんの祖国との間の架け橋となり、草の根のレベルで互いの友情と交流を深め、麗澤スピリットを大いに発揮して世界の人々の平和と安心と幸福のために尽力していただきたいと思います。

  皆さんのご卒業に際し、麗澤大学を代表いたしまして、学長告辞として3つのことをお伝えしたいと存じます。

  まず第一に、今年、卒業される皆さんは、ちょうど4年前の東日本大震災の年に入学されたということです。この未曾有の大災害は、私どもにとっても、皆さんにとっても、生涯、記憶の中に残り続け、決して消えることはないでしょう。天皇陛下が3月11日の「東日本大震災4周年追悼式」で、「依然として被災した人々を取り巻く状況は厳しく、これからも国民皆が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います」とお言葉を述べられているように、私たちもこの災害の記憶を風化させてはならないと思います。今なお被災地の避難先で困難な生活を余儀なくされている方々がいらっしゃることには心が痛みますが、その一方で、復興のために懸命な努力がなされている点にも目を向けたいと思います。すでに陛下も、昨年の「東日本大震災四周年追悼式」で、つぎのようなお言葉を表明されておられます。

 「この四年間、被災地においては人々が厳しい状況の中、お互いの絆を大切にしつつ、幾多の困難を乗り越え、復興に向けて懸命に努力を続けてきました。また、国内外の人々がこうした努力を支援するため、引き続き、様々な形で尽力していることを心強く思っています。」

 本学でもこの復興の動きを少しでも支援させていただこうと、募金活動を始め、様々なボランティア活動が繰り広げられて来たことは、今、この会場に集う皆さんが一番良くご存知でしょう。具体的に申し上げますと、この4年間で、CaféプロジェクトやTシャツ支援プロジェクトなど、9つの本学独自の諸活動と、日本財団学生ボランティアや大学間連繋気仙沼プロジェクトなど、7つの他団体・他大学との共同活動を合わせた合計16のプロジェクト、延べ93件の諸活動に、延べ人数で253名の学生諸君が参加しました。言うまでもなく、卒業生の中にはその中心的役割を演じた皆さんもおられると思います。麗澤大学を代表し、そのような学生諸君の尽力に対し、この場を借り改めて心からの敬意と感謝の気持ちを表したいと思います。

 「日本人ならまた再生し、復興できると信じている。」これは、震災時に「トモダチ作戦」で、孤立した被災地や離島をヘリコプターでまわり、救援活動を行なった沖縄の米空軍嘉手納基地のある兵士が、震災一年後に任務を終えて日本を去るときに残した言葉です。この兵士は2005年に2千人近い死者・行方不明者をだし、災害後に略奪や暴動などの治安悪化が発生した米国史上最大の自然災害、大型ハリケーン「カトリーナ」でも救出活動に携わったベテランです。どちらも被災者は同じような悲惨な状況だったにもかかわらず、日本人は冷静で、礼儀正しく、秩序だって行動していたと、彼は当時を振り返っています。日本では、悲惨な状況にありながら、避難所ではゴミが分別され、被災者自身が協力して周囲の清掃をする、また被災者が米兵に温かいスープの差し入れをするなど、米国にはない日本人被災者の姿を目の当たりにし、どのような境遇でも他者を思いやる余裕のある日本人の姿に深い感銘を受けたと述べています。そしてこの作戦に参加できて光栄であり、仲間の米兵達も皆同じ気持ちで帰国したと結んでいます。

 このことは私たちに貴重な教訓を与えてくれています。それは困難にあったとき、どのように行動するかで、自分自身の意義ある生き方や他者とのよりよき関係性が構築されるということです。これが二つ目の点です。本学の創立者廣池千九郎は「苦悶の中に自暴自棄せず」という格言を残しております。苦しみ悶える中にあっても、けっしてやけっぱちになってはいけない、そのような投げやりな行動は、かえって自分をダメにするだけであるという意味でしょう。いにしえより、私たちの人生はよく旅に譬えられます。すなわち旅行の途中には、海あり、山あり、河あり、谷あり、橋のない所があり、いばらの道さえもあるように、人生の途中にも種々の困難がつきものです。論語に「君子固より窮す」とあるように、聖人であろうが、困窮することは避けられないのです。どのような偉人でも、どのような賢人でも、どのような善人でも、苦難を避けて通ることはできないのであり、種々の苦難と真摯に向き合ってこそ、私たちの人格が磨かれ、人生の目的も達成できるというのです。

 問題は、そのような苦難をどう捉えて、どう行動するのか、ではないでしょうか。オーストリア出身の心理学者、アルフレッド・アドラーは、『人生の意味の心理学』の中で、つぎのような言葉を残しています。「意味は状況によって決定されるのではない。われわれが状況に与える意味によって、自らを決定するのである。」すなわち、私たちの人生の意味が決まるのは、不幸な状況があるからではないということです。私たち自身が、その不幸な状況にどのような意味をもたせるかで、その不幸の捉え方も、人生の意味も変わってくるのです。ピンチをピンチとしてネガティヴに受け止めるか、ピンチをチャンスとしてポジティヴに受け止めるか、それは私たちの心の在り方にかかっています。

 私たちも、被災地の方々がその道徳的行動で米国兵士に感動と希望を与えたように、どのような厳しい境遇にあろうとも、他者を思いやる心の余裕と感謝の気持ちを忘れず、ともに心を寄せあい、協力しあって、新たな一歩を踏み出す勇気を持ちたいものです。

 三つ目は、本日より皆さんは麗澤OB・OG会の仲間であり、これからは母校の看板を背負ってグローカルに貢献し、外から母校を見守り、母校の発展と後輩の育成のためにご支援いただく立場になられたということです。そのような皆さんの先輩は、現在も世界各国で活躍されています。一か月ほど前のことですが、本学の経済学部とMOUを締結しているシンガポールの国立専門学校、ナンヤン・ポリテクニックから教育とモラルに関する特別講義をしてほしいとの依頼を受け、同校を訪問しました。そして滞在最後の日に、シンガポールで麗澤の同窓会を開きましたが、同国だけでなく、タイからも卒業生が駆けつけてくれました。参加者を紹介しますと、シンガポールに本社を置くアヴネットEMジャパン・アジア株式会社の社長で親日家のタン・ユー・ティオング(陳游忠)さん、アジア諸国をまたにかけて活躍されている日立アジア会社勤務の真野寛史さん、タイで会社を起ち上げた古川裕也さん、日本では東京ステーションホテルに勤務し、現在は一年間、シンガポールを代表するコロニアル・ホテルの「ラッフルズ」で研修を積んでいる大塚友則さん、本学経済学部の特別聴講生であったナンヤン・ポリテクニクのリ・ショウチンさんとシ・カイさん、そして現在、ナンヤン・ポリテクニクに留学中の経済学部国際ビジネスコースの丸地雅恵さんと中嶋慶悟さんです。集った方々は、卒業した学科も違えば、卒業年もいろいろで、最初に紹介したタンさんは、今から30年以上も前の1984年に別科を修了し、それも一年間だけのコースでしたが、修了後も麗澤への愛着を抱き続け、今回奥様と一緒に参加されたということでした。このように麗大麗澤会の良い所は、いつ、どこで、どのような同窓会を開いても、学部、学科などに関係なく、すぐに胸襟を開いて打ち解けられることです。

 日本企業の海外進出と足並みをそろえるように、同窓会組織である麗澤会もグローバル化しています。先ほど紹介しましたシンガポールだけでなく、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、台湾、中国、韓国、マレーシア、タイなど、海外でも機会があるごとに麗澤同窓会が開催されています。今年の予定としましては、7月5日にドイツのフランクフルトで大同窓会を、12月11日にはベトナム・ホーチミン市国家大学と本学との共催で宗教と道徳をテーマに国際会議を開催しますので、それに合わせた同窓会を計画しています。ちなみに、麗澤からドイツへ留学した学生は、2014年までの累積で1000名以上を数え、ドイツから麗澤へ留学した学生も100名を越える勢いです。これから海外で活躍されるであろう皆さんにも同窓会のご案内を出すことがあろうかと思いますが、その時は是非参加し、皆さんの活躍の物語や武勇伝を聞かせてください。

 もちろん、海外ではなく国内で、また地域社会で活躍される皆さんもいらっしゃるでしょう。麗澤キャンパスでは、皆さんをお迎えするホームカミングデーが本学の麗陵祭と併せて毎年開催されていますので、是非とも本学を訪ねてください。卒業生の皆さんを心から歓迎いたします。

  最後に本学の校歌で「日々に孜孜、日に新たなり」と詠われているように、今後とも皆さんが、本学でこれまでに修得された人間力にさらに磨きをかけ、麗澤スピリットを発揮して世界をまたにかけて活躍されますよう祈念し、また、麗澤大学のさらなる発展のため、今一層、母校をご支援くださいますようお願い申し上げまして、ここに告辞といたします。

 平成27年3月14日  麗澤大学学長 中山 理