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平成27年度 入学式告辞

 桜の花が満開でまさに春爛漫の本日ここに、多数のご来賓の方々のご臨席のもと、平成27年度麗澤大学入学式を挙行できますことは、私どもの大きな喜びでございます。また、新入生の保護者やご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。

  本年度の入学者は大学院生、学部生、別科生、総計699名、これに特別聴講生と研究生が28名、この中には、世界の13の国と地域から来られた150名の外国人留学生も含まれます。麗澤大学を代表いたしまして、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

  さて、本日は、ここにご出席の皆さんのご入学を心から歓迎し、3つのことをお伝えしたいと思います。

  まず第一は、麗澤大学という名称でございます。「麗澤」の意味についてお話しするのは、まさに「麗澤」という名称の中に麗澤教育の理念が表わされているからです。「麗澤」とは、中国の古典の『易経』からとった言葉で、まず「ともに並ぶ澤」を意味します。『易経』に「並んでいる沢が互いに潤し合う姿は喜ばしい。立派な人間になろうとする者が志を同じくする友と切磋琢磨する姿は素晴らしい」とあるように、お互いの切磋琢磨を通して、常に相手を尊重し、互いに助け合いながら、自己の品性を高めることの大切さを謳っています。

  また、「麗」には「つく、付着する」という意味もあります。同じく『易経』には「日や月は天に付着しているから萬物を照らすことができ、穀物や草木は土に付着しているから花を咲かせ実を結ばせることができる。また、明徳すなわち、天から与えられたすぐれた徳性をもって正しい道にしっかりと付着して政治を行えば、天下を正しく教化できる」とあります。本学の創立者の廣池千九郎は、この古典の精神を敷衍し、「麗澤」の意味をこう表現しました。「麗澤」とは「太陽天に懸かりて萬物を恵み潤し育つる義なり」と。つまり「天にかかる太陽のように、生きとし生けるものすべてを慈しみ育てる人であれ」というのが、「麗澤」の名称に込められた創立者の願いです。

  第二に、これを学問の地平で展開したのが、本学の「知徳一体」という建学の精神でございます。知徳とは知識と道徳のことで、創立者は「知識と道徳は一体両面のものであって、両者相合しておのおのその真義を発揮しえるものである」と述べています。すなわち知識と道徳が調和してこそ、その各々の真価が発揮されるということです。もちろん、知識は重要ですが、それは諸刃の剣であることを自覚していなければなりません。たとえば、知識を悪用すれば、知識の豊富な分だけ社会に対して与える害悪も大きいのです。ですから知識をよりよく運用するには、道徳的視点が不可欠なのです。

  このような問題をかかえる私たちの現代社会を大きな文明史的な流れの中で見ますと、世界に近代化をもたらした科学革命は、産業技術だけでなく、科学知識によっても武装されているところにその特徴がありました。その後、情報革命が起こり、この流れにさらに拍車がかかると、皆さんもご存じのように、知識の生産を主とする脱工業社会が出現することになります。この知識集約型の文明は、私たちに物質と知識の極大化を求めます。しかし現実の社会を見ますと、その豊かさとは裏腹に、精神的アノミーや精神的価値の希薄化の問題が起こっているのはなぜでしょうか。

  また現代社会では情報が洪水のようにあふれており、一日の情報量は江戸時代の一生分とも言われています。しかしITによる豊富な情報が入手できるにもかかわらず、現代人が、他律的な情報に振り回されて自律性を失い、ともすると無力感に苛まれてしまうのはなぜでしょうか。身近な例でいえば、昔ならば郵送で2~3日かかっていた書類もEメールで即時に送られ、どこへ出かけても電話やSNSですぐに連絡を要求される時代です。

  現代病でもあるストレス障害の要因の一つには、このような過度の情報化による時間的な切迫性があると言っても過言ではないでしょう。私たちは『不思議の国のアリス』に登場する白兎のように“I’m late!  I’m late!”と言って時間に追われてはいませんか。それに対する対処策として、たとえば心理学の分野では、”Sense of coherence”(首尾一貫感覚)や”Self-efficacy”(自己効力感)などのストレス対応効力が注目されていますが、心理学に限らず、今日ほど、人間の内的性を再構築する必要性が求められている時代はないでしょう。

  したがって知と徳、物と心、外的な豊かさと内的な価値とを結びつけるには、「知徳一体」という考え方が、どうしても必要となってくるのです。というのも「知徳一体」は、知識基盤社会の基礎を支える知識の修得と、他者とのよりよき関係性を構築する道徳の実践との調和を目指すものであるからです。本学の学部や大学院での学問も、知識と道徳が車の両輪のように機能して初めて、人間という車を安定的に走らせることができるのであり、そうすることで人間の内部を充実させうる高みにも到達できるのです。

 第三は、本学は昭和10年の創立以来、「高い品性と専門性を備え、自分の考えを国際的に発信できる人材の育成が大切である」という創立者・廣池千九郎の考えに基づき、グローバル社会を舞台とし、互恵の精神で持続可能な社会の構築に貢献しうる教養人および公共人を育成することを目指してまいりました。本学には、そのようなグローバル化対応能力を養成する様々なプログラムが用意されています。世界の18の国と地域の48の提携校への留学プログラムの他に、外国語学部ではクロス留学や海外研修、今年グローバル人材養成コースを新たに設置した経済学部ではシンガポール留学やマレーシア研修など、充実した両学部のユニークな留学プログラムや研修制度が用意されています。26年度の一年間だけでも、140名を超える学生が、海外留学や研究プログラムに参加し、人間力をつけております。新入生の皆さんも是非挑戦していただきたいと思います。

 キャンパス内では、キャリアセンター主導のインターンシップ、グローバル・ドミトリーでのユニット・リーダー主催のイベント、いろいろな外国語のシャワーを浴びることのできるI-Lounge、麗澤グローバルひろば、Center of Community(「地(知)の拠点」)を目指し、柏市や地元の光ヶ丘商店会とのコラボレーションで行う地域社会貢献活動など、皆さんが経験を通してより高い知識と、道徳性を構築できる機会は、枚挙に暇がありません。どうか皆さんには、真の学びの楽しみと醍醐味を是非ともこの麗澤で体験していただきたいと思います。

  最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆さんが本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。

 

平成27年4月2日 麗澤大学学長 中山 理