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平成28年度 入学式告辞

 本日ここに、多数のご来賓の方々のご臨席のもと、平成28年度麗澤大学入学式を挙行できますことは、私どもの大きな喜びでございます。また、新入生の保護者やご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。麗澤大学を代表いたしまして、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 本年度の入学者数は大学院生、学部生、別科生、特別聴講生、研究生等、総計717名で、この中には、世界の22の国と地域から150名の外国人学生も含まれています。

 さて、新入生の皆さんが入学される麗澤大学は、昭和10年の建学以来、創立者廣池千九郎の教育理念、すなわち「高い品性と専門性を備え、自分の考えを国際的に発信できる人材の育成が大切である」との考えに基づき、「知徳一体」を建学の精神として掲げ、グローバルな社会を舞台とし、互恵の精神で持続可能な社会の構築に貢献しうる人材を育成することを目指してまいりました。折しも本年は、麗澤大学の創立者廣池千九郎生誕150年にあたります。それを記念すべく、海外の大学とも共催して様々な学術・教育のイベントや行事が国内外で計画されておりますので、皆さんはまさにエポック・メイキングな飛躍の年に本学に入学されたことになります。その創立者が提唱した「知徳一体」という建学の精神は、文字通り知識と高度な道徳思想とが一体となることを目指すもので、大学や大学院での学問も道徳と調和するように機能してこそ、初めて社会に役立つものとなるという教育理念です。そこで皆さんの入学を祝し、この建学の理念に関連して3つのことをお話ししたいと思います。

 その第一は、麗澤大学という名称です。本学の麗澤教育の理念は、名は体を表わすというように、まさに麗澤という名称にも表わされております。「麗澤」とは、中国の古典の『易経』からとった言葉で、まず「ともに並ぶ澤あるいは沼沢」を意味します。『易経』に「並んでいる沢が互いに潤し合う姿は喜ばしい。立派な人間になろうとする者が志を同じくする友と切磋琢磨する姿は素晴らしい」とあるように、お互いの切磋琢磨を通して、常に相手を尊重し、互いに助け合いながら、自己の品性を高めることの大切さを謳っています。まさに麗澤教育の在り方を述べたものといえるでしょう。

 また、「麗」には「つく、付着する」という意味もあり、同じく『易経』に「日や月は天に付着しているから萬物を照らすことができ、穀物や草木は土に付着しているから花を咲かせ実を結ばせることができる。また、明徳立派で公明な徳性をもって正しい道にしっかりと付着して政治を行えば、天下を正しく教化できる」とあります。

 本学の創立者廣池千九郎は、これらの精神をふまえて麗澤の意味を次のように説明しています。「麗澤とは太陽天に懸りて万物を恵み潤し育つる義なり」と。さらに易の解釈によりますとこの場合の太陽とは、明晰な知性をも象徴します。創立者は、この古典の精神に私たちが目指すべき人生目標と人間像を見出したのです。本学の校歌の冒頭に「太陽空に懸り居て萬の命潤おせば」と歌われているのは、まさに創立者の教育観を反映させたものと言えるでしょう。つまり「明知、すなわち明晰な知性を磨き、天にある太陽のごとく、生きとし生けるものすべてを慈しみ育てる人であれ」というのが本学の目指す人間像でございます。

 第二は、本学の自然環境です。先ほど申し上げましたように、麗澤教育の本義を自然のメタファーで表現した創立者は、この「麗澤の森」ともいわれる、緑豊かなキャンパスの礎を築きました。そのキャンパス・デザインのコンセプトは、「仁草木に及ぶ」で、「慈しみの心は、人間はもとより植物にも及ぶ」という意味です。本学ではこのエコロジカルな基本理念を継承し、広さが46万平方メートル、東京ドームが10個も入る廣池学園の環境保全・整備の基本理念の中心に据えてきました。皆さんは、ディープ・エコロジーという言葉を聞いたことがありますか。それは1990年代からグローバルな環境保護運動に大きな影響を与えた考え方で、すべての生命の存在は、人間が侵すことのできない、人間と同等の固有価値を持つというエコロジーの概念です。この思想が最初に提唱されたのは1973年、ノルウェーの哲学者アルネ・ネスによると言われていますが、それよりも約40年も前に本学の学祖は、ディープ・エコロジーに勝るとも劣らないエコロジー的倫理観の必要性を提唱しているわけです。

もちろんやむを得ず伐採することもありますが、木を一本切ったら二本植えるという現理事長先生の方針のもと、麗澤の森の保全を目指しているわけです。

現在では園内には、樹木だけでも、約1万5千本300種類の植物が育ち、その自然環境が作り出す四季折々の姿は、格好の癒しと学びの空間として、これから勉学に励む皆さんの心を和ませてくれるでしょう。皆さんがこの会場にいらっしゃる途中に通ってこられたソメイヨシノの桜並木も、昭和10年、今から80年も前に創立者が植えたものです。それが立派に成長し、今では日本経済新聞「NIKKEIプラス1」(2月27日付掲載)の何でもランキング「大学の『さくら咲く』名所歩きたい」に、本学が東日本で「第7位」にランキングされるまでになりました。もちろん、80年も経ちますと、さすがに霞か雲かと言われた一時の勢いはありませんが、これからも学祖の精神を受け続くべく、第二サクラ並木を計画中とのことでございます。さらに付け加えますと、本学のサクラは、ソメイヨシノだけでなく、ウスズミザクラ、ウワミズザクラ、ムラサキザクラ、ヤマザクラなど、25種類480本くらいあるということですので、これからこのキャンパスで春の自然美を楽しんでいただければと思います。

 第三に、麗澤の道徳的・倫理的な教育理念は、言うまでもなく、学部・大学院のカリキュラムにも反映されています。これは冒頭で申し上げた、知識を真に生かすものは品性であり、道徳性であるという「知徳一体」の理念を高等教育のレベルで具体的に展開したものです。外国語学部では、多言語・多文化理解・共生の理念の追求による国際的教養人の養成という目標を掲げ、幅広いグローバルな教養、高い語学力、多文化に対応するコミュニケーション力のアップを目指します。経済学部では、経済と道徳は一つであるとする「道経一体」思想の追求による国際公共人の養成を目指し、企業倫理といった公共の視点などを含めた総合人間学的見地から、人間を幸せにする経済学を学びます。また大学院の言語教育研究科では、言語の専門的な研究を通して、世界の文明や文化に対する理解を深め、多方面で活躍できる有意な人材を、経済研究科では、グローバル社会の経済的諸問題の解決をめざし、研究をさらに深化させる実務専門家と高度な指導的研究者を育てるための学際的なコースが用意されています。

さらにグローバル化、国際化の社会的ニーズに対応し、留学制度など、それを実際に体験できるプログラムを備えていることも麗澤教育のもう一つの特色でございます。詳しくは、各学部のオリエンテーションに譲ることにし、ファクトを一つだけご紹介しましょう。たとえば、昨年度の外国語学部の留学実績でいますと、日本人卒業生268名のうち、144名が長期留学あるいは短期留学を経験しており、これは全卒業生の53.7%にのぼります。すなわち外国語学部卒業生の2人に1が留学経験者であるということです。経済学部でも英語教育の強化はもちろんのこと、グローバル人材育成専攻のように希望者全員が留学できる制度を備えた新しいカリキュラムが今年度よりスタートしますので、さらなる発展が大いに期待できます。現在、本学は世界18の国と地域の大学と留学提携を結び、全学生数に対する留学派遣の割合では、本学はおそらく全国でトップクラスに入る実績を誇っておりますので、皆さんも是非挑戦していただきたいと思います。

 今挙げたものは、麗澤のプログラムのほんの一例にすぎません。新入生の皆さんのために、本学では皆さんの様々な可能性を引き出し、自己の人間的成長を実感できる種々のプログラムが用意されておりますので、大いに活用されることを期待します。

 最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆さんが本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。

                    平成28年4月2日

麗澤大学学長 中山 理