卒業生の活躍
2020.08.24|最終更新日:2022.06.15|

【後編】"What is normal?" 海外に来て自分が持っていた世界観が当たりまえ"normal"ではないことを知った

【後編】
盛 健二
JFC ITALIA S.R.L
[外国語学部 英語学科(現在の英語コミュニケーション専攻 / 英語・リベラルアーツ専攻)2006年3月卒業]
イタリア ミラノの日本食材の卸会社に勤務。 1983年東京生まれ。小学校に入る頃から外国に憧れを持っていた。初恋はメグライアン。親の影響で食にも興味関心があり、人とのコミュニケーションも大好き。 イタリア本場のナポリピッツァ職人を経て、現在はより世界に貢献できる「地球人」になるために奮闘中。
目次

    きめ細かな日本人的な対応が海外では誇れるブランド力

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    • 私の仕事は大きく分けて2つあります。1つは現地の和食店への日本食材の商品紹介、卸業。もう1つは、イタリアで日本米こしひかりを生産し、販売することです。両方とも、日本人であるというアドバンテージはとても大きいです。1つ目の業務についてはミラノの和食店で働いていた2年間の経験も活かすことができました。2つ目のお米の生産については、日本人の正確さや、分析などの科学的思考のエッセンスを加えて農家にアドバイスすることによって、品質の高いお米を生産することができます。さらに最も良い状態で、正確に商品を決められた日時に出荷するなど、きめ細かな日本人的な対応が海外では大きな武器になります。

    初めてナポリに行った時は、かなりカルチャーショックを受けました。イタリア人の生き方だったり、私自身の仕事に対する姿勢や誠実さなど、日本にいる時には感じることがなかった現地の人との様々な価値観の違いがあり、自分が持っていた常識が覆されたのです。

    たとえば日本人は「明日までにこの仕事をお願いします」と言われたら、それを優先事項として頑張って残業してでもやる、または、やる確率が極めて高いと思います。けれどもイタリア人の場合は、楽観的で、「今日のことは今日、明日のことは明日かんがえればいい。今夜はおいしいものを食べに行こう!」となる(笑)。私はどちらが正しいとか言いたいわけではありませんし、どちらが正しいかなんてわからないと思います。でも人生を楽しんでいるのは確実に後者のイタリア人だと感じました。

    • 日本人である私は、たとえ仕事を途中で放り出して、一緒においしいものを食べに行ったとしても、「今日中に終わらせないといけない仕事」のことが気がかりで、なかなか心から楽しめません。海外生活が長く、こちらの生活になじんでいるにも関わらず、なかなかメンタル面での改善ができないのが悔しいです(笑)。でもこのような勤勉な日本人のDNAこそ、言い換えれば、世界に誇れる「ブランド力」だと思うのです。

      それからイタリア人は、自己主張が強く出自分の意見をしっかりと持っており、意見は相手に伝えるものだという考え方です。相手の言うことに聞く耳を持たないこともあります。

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    けれども、仕事をスムーズに進めるために、きちんと主張しなければいけない時には、こちらも伝える姿勢で頑張って仕事をしています。

    イタリアでの休日はゆったりとした時間を過ごす!平穏な日々が幸せ

    • 今は時間にも余裕ができたので、趣味を充実させています。日本では物質的なものを手に入れることや、仕事で達成感を得ることにお金や情熱を費やしていることが楽しかった。けれどもイタリアでは旅行や趣味など自分のプライベートの時間をいかに満足させるかを大切にしています。

      新型コロナウイルスの影響でロックダウンした時は、会社は半分稼働していたので在宅勤務をしていましたが、空いている時間は好きなお菓子作りや料理をしていました。ロックダウン解除後は、アルプス山脈にハイキングに出かけたり、ミラノの街でショッピングをしたり、リグリアの海に行ったり、ジムに行って現地人との交友関係も楽しんでいます。

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    ミラノはイタリアでも屈指の人気スポットで、地理的にも恵まれていて、街だけでなく、山や海へも車で30分~2時間ぐらいで行くことができます。日本にいる時は自然を楽しむことなどほとんどなかったのですが、今はゆったりとした時間を過ごす、平穏な日々に幸せを感じています。

    私達は日本人である前に「地球人」だということ!日本人というこだわりを捨てよう

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    • 麗澤大学 国際学部教授の黒須里美先生の社会学の授業が今でも心に残っています。確か、入学前にオープンキャンパスに参加した時、大学の授業を体験できる模擬授業だったと思うのですが、"What is normal?"をテーマにみんなで話し合いました。
      実際に海外に来て、今まで自分が持っていた世界観や考え方が当たり前"Normal(ノーマル)"ではないということを実感しています。先述のカルチャーショックの話とつながるのですが、自分の当たり前を他人に押しつけない、世界共通の「普通」なんて存在しないのです。だから今でも順応性はとても大事にしています。

      これを読んでくださる皆さんは、日本人として、日本で生まれ育った人が大半を占めると思います。私が昔から自分に言い聞かせているのは、私たちは「日本人」である前に「地球人」だということ。日本で日本人として生まれ育ったけれども、そこにこだわる必要はないと思います。「日本人だからこうする」、「日本人だからこう考える」といった日本人的な価値観にとらわれることなく、自分自身の価値観を明確にしてほしいと思います。

    現代では、世界の情報をすぐに知ることができます。日本だけにこだわることはありません。世界に目を向けることにより、将来の選択肢が広がります。 恐れずに、日本の外へ、世界に一歩踏み出してください。

    私は「地球人、盛健二」として世界に貢献できるものは何か、ということをずっと探し求めています。皆さんも視野を広く持って、「自分には何ができるのか」「自分は何がしたいのか」「自分はどこにいたいのか」。将来を逆算して自分の人生ドラマを描いて頑張ってほしいです。

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