卒業生の活躍
2021/01/07

大学は知識を得るだけの場ではない。社会でどのような役割を果たせるかを探ることも大切
~ CSRのパイオニアとして、役割を果たしていきたい ~

大学は知識を得るだけの場ではない。社会でどのような役割を果たせるかを探ることも大切~ CSRのパイオニアとして、役割を果たしていきたい ~
朱 建華(しゅ けんか)
黒龍江省黒河市(こくりゅうこうしょうこくがし)生まれ。麗澤大学国際経済学部国際経営学科
※を2009年に卒業。
麗澤大学大学院では国際経済研究科にて政策管理を専攻(中野千秋ゼミ)。
卒業後は医薬品などのメーカー機能と総合商社機能を併せ持つ興和株式会社に就職し、今年で9年目を迎える。2018年4月からは駐在員として北京現地法人の事業部マネージャーに。麗澤大学で学んだ企業倫理を常に意識し、国内外を飛び回る日々。子どもの頃からサッカーが大好きで、今も時間が許す限り北京のサッカー仲間と楽しくボールを追う。好きな選手は同世代のブラジル出身のカカ選手。※現在の国際学部グローバルビジネス学科
目次

    父の教え「自分の責務を果たしていれば、あとは新しいチャレンジを」

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    • 私が生まれ育った中国には、皆が理想とする生き方があります。それは「良い学校に入り、良い仕事に就き、良い伴侶を得て、良い家庭を築く」というものです。ごく一般的な考え方のようですが、全ての人がそのような既定路線のレールに乗っていくのは、なかなか難しいことです。
      私は中国の「一人っ子政策」の時期に生まれた世代で、周りも皆一人っ子です。まず多くの親は自分の子どもをレベルの高い学校に入れようと、「勉強、勉強」と躍起になり、当然ですが子どもたちは遊ぶ時間さえありませんでした。しかし、私の両親はそのような考えとは少し違っていました。両親共に地元の幹部公務員だったこともあり、何不自由なく生活できるような恵まれた家庭で育ちました。

    小さい頃からサッカーが大好きだった私は、勉強以外の時間をほとんどサッカーに費やしていましたが、周りの友達のように「サッカーをする時間があるなら勉強しなさい」などと親に言われたことは、一度もありませんでした。厳しいけれども寛大だった父がよく言っていたことがあります。それは「やるべきことさえやっていれば、あとは、やりたいことをやってもいい」ということです。この言葉は私の心に深く刻まれ、今でもそうありたいと思っています。
    小学生の時ならば、宿題をやってからサッカーをする、大学生ならば、授業に出席してからアルバイトに行く、そして社会に出てからは、自分のやるべき仕事に真摯に取り組んでいるならば、新しいチャレンジをしてもいい、ということ。

    • 父が言いたかったことは、「自分がやるべき責務を果たしていれば、あとは好きなことをして過ごすような心に余裕を持つように」ということだったのかもしれないと、改めて感じています。
      そんな私が日本への留学を決めたのは、高校3年生の時でした。恵まれた環境で育ったからこそ、既定路線に沿って歩む人生に物足りなさを感じていました。また、小さい頃から日本のアニメ『一休さん』や『ドラえもん』をテレビで見ていた私は、成長するにつれて日本の文化や先端技術にも憧れるようになりました。さらに日本留学への背中を押してくれたのは、当時、日本の大学院に留学していた叔父でした。

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    私は叔父が話してくれる日本の様子をいつもワクワクしながら興味深く聞き入っており、日本への憧れはより一層強くなっていきました。叔父は、このままずっと故郷(中国)にいるよりも、外に出て見聞を広げてみるほうが将来のためにもなるだろうと、私の日本留学を応援してくれました。私自身も、やはり人とは違う生き方をしてみたいと強く思うようになっていました。両親も快く承諾してくれて、私は高校を卒業した後、2003年に初めて日本へ旅立ちました。経済的にもずっと支えてくれた両親には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

    着実にレベルアップしていった日本語力

    数ある日本の大学の中で麗澤大学への進学を決めたのは、麗澤大学が他の多くの大学とは異なり、儒教の精神でもある道徳教育を重視し、より中国文化に近い思想を基盤とした教育方針で、人材を育成しているところに惹かれたからです。しかし、様々なメディアで報道されている情報だけでは、日本という国が本当はどんな国なのかはわからない現実がありました。ネガティブな情報も多かったので、日本に行くまでは、不安に感じていました。ところが実際に日本に留学してみると、同級生や先生方もとても親切でしたし、アルバイト先でも皆が温かく接してくれました。想像していた日本人の印象とは違いましたね、いい意味で、ですよ(笑)。

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    • 今でこそ日本語はほぼ不自由なく話せるようになりましたが、最初はとても苦労しました。筆記試験はどうにかやり過ごしましたが、話すことがほとんどできませんでした。また、多くの留学生は学業だけでなく、アルバイトもしていました。私も同じようにアルバイトをいくつも経験することができました。
      アルバイトは、日本語のレベルによって職種が変化します。食品加工工場、飲食店、ゴルフ場、デパート、携帯ショップ、免税店......これらは麗澤大学在学中に私が経験したアルバイト先です。この順番を見て何かお気づきでしょうか。実はこの職種の順列は、私の日本語の上達レベルと関係があるのです。まず食品加工の工場では作業中は全く話をする必要がありませんから、日本語が話せなくてもできる仕事でした。

    自分のアルバイト史を振り返ると、少しずつ日本語力がレベルアップしていったことがよくわかります。アルバイトを経験することで、生活費を少しですが稼げましたので、ちょっと大人になった気分を味わうこともできました。
    大学2年次だったと思いますが、飛躍的に日本語が上達したと感じられる時期がありました。頭の中に浮かんだ中国語を日本語に変換するのではなく、思ったことをそのまま直接日本語で話せるようになりました。それまでは話すことに自信がなくて、なかなか日本人の友達を作れませんでしたが、日本語を自由に話せるようになったその頃から、自分から積極的に話しかけられるようになっていきました。

    大学で学んだ企業倫理は、今もこれからも仕事の軸に

    医薬品メーカーとして知られている弊社は、創業125年の老舗企業です。医薬品が有名ですが、実際には総合商社です。
    私の業務は多岐にわたり、主なものを挙げると、4つあります。
    ①事業部の運営、管理、そして計画方針の策定、②中国国内の営業に携わること
    ③サプライヤーとの関係維持と関係強化、④新規事業の開拓と新規プロジェクトの構築
    これらの業務を遂行する前提として、基本に掲げているのが麗澤大学で学んだ企業倫理、そしてCSR(企業の社会的責任)です。
    私は大学の時に中野千秋先生のゼミナールで学んでから、大学院までずっと中野先生が指導教授でした。企業倫理について学ぼうと思ったきっかけは、せっかく麗澤大学に入ったからには、この大学の基盤となっている学問を学びたいと思ったからです。中野先生の授業で、企業は営利目的だけではなく、社会への貢献・責任も常に意識しなければならないということを学びました。企業倫理とは法律、CSR、環境保護、企業ガバナンス、そして人権など、企業に関わることすべてを網羅している学問です。

    • たとえば、他社との取り引きの際、利益を追求するためにどうしても近道を選びがちになります。しかしその近道が法に触れていたり、正当性に疑いが生じていたりする部分があれば、私が学んだ企業倫理の立場からは「絶対にしてはいけない取り引き」ということになります。
      外国の企業との取り引きでも、法律を守ることは当然のことです。中国の企業はこれまでにも、多少無理をしても取り引きを進めようとすることがありました。よく言えば柔軟性があると言えるのですが...。これに対し、日本の企業はたとえ中国に進出しても、「法律を守る」という姿勢を変えません。これは私が仕事をする上で常に意識していることです。企業にとって利益を上げることは確かに大事なことです。

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    しかし、中野先生から学んだ企業倫理は、それ以上に絶対に忘れてはならないことだと思っています。
    またCSR(企業の社会的責任)は企業にとって、とても大事なことです。CSRに積極的に取り組む企業は、社会からの信頼を得ることができ、持続的に発展する可能性が高まります。そしてブランド力向上にもつながるのです。取り引きのプロセスが法律に沿っているかどうか、自社の利益はあるが、それが取り引きの相手に損害を与えていないかどうか、扱う製品は環境に良いかどうかなど、これらもCSRの思想にもとづくものであります。大学で学んだこれらの知識は、今の私の仕事に大変役に立っており、また業務を進める上で、なくてはならない考え方になっています。

    在日歴15年。母国で逆カルチャーショックを体験

    私は、北京のど真ん中にある高層ビルのオフィスで働く、一見普通の中国人社員ではありますが、実は「日本から来た駐在員」という立場で仕事をしています。私の役職は北京現地法人の事業部マネージャーで、それまでずっと日本人社員が担当してきたので、会社にとって初めての中国人駐在員となりました。
    2018年4月に名古屋から北京に来たばかりの頃は、中国が母国であるにもかかわらず、様々な違和感を覚えました。麗澤大学で学んだ期間を含めると、15年もの間日本で過ごしてきたので、逆に母国での生活、仕事や人間関係などになかなか馴染めず、逆カルチャーショックというものを経験したのです。2年半が経った今、やっと北京での暮らしに慣れてきたところです(笑)。
    今までは各地を飛び回ることが多かったのですが、2020年の2月から状況は一転しました。

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    • 私の直属の上司にあたる日本人の責任者が、1月末に日本へ一時帰国したまま、新型コロナウイルスの影響で北京に戻って来られない状況が今も続いています。その間、私は代理責任者の職務を任命され、会社全体の運営と管理を任されることになりました。責任重大ですが、会社を任されるという貴重な経験と捉え頑張っています。何よりも心強いのは、一緒に働いている同僚から信頼してもらえていることです。日本人駐在員には遠慮して言えなかったことが、同郷の私になら話しやすいこともあるかもしれません。社内のコミュニケーションが潤滑になれば、仕事の効率も上がります。

    今いる環境から一歩外へ。その一歩が世界を変えるかもしれない

    日本企業が海外で好印象を維持できるようCSRのパイオニアとしての役割を果たしていきたいと思っています。そして、中国で日本の製品をもっと理解してもらい、ファンを増やせるよう、できるだけ多くの人にお会いして熱意を伝えていきたいです。
    海外で仕事をしたいと思う高校生も多いと思います。そんな皆さんに伝えたいのはまず「恐れずに自分の夢を追う」ということがとても大事だということです。

    • 現代社会では知識を得ることが重視されており、人間としての倫理観、人間性については軽視されがちではないかと思うことがあります。知識、そして正しい倫理観を持ち、さらに社会への貢献ができるような人間になれれば、最強だと思います。これはまさに麗澤大学の建学の理念に通じるものがあります。
      今いる環境から一歩外に出るということは勇気が必要です。けれどもその世界に入っていけば、より視野を広げることができ、違う景色を見ることができます。そして大学では知識を学ぶだけではなく、一人の人間として社会でどのような役割を果たせるかを探るのも大切です。
      進学を考えている皆さん、どうか恐れずに自分自身の夢に向かって突き進んでいってください!

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