教職員
2021.09.30|最終更新日:2022.06.09|

【前編】「経済学」に魅了された大学時代。皆さんにも本当の「好き」を見つけてほしい

【前編】「経済学」に魅了された大学時代。皆さんにも本当の「好き」を見つけてほしい

抽選になるほど人気のある授業「入門計量経済学」(2年次)を担当する池川先生。徳永澄憲学長の教え子でもあり「徳永先生のように、懐の深い教員になることが目標」と語ります。経済学との出会い、そして徳永先生との出会いについて、池川先生の学生時代のお話を伺いました!

池川 真里亜
経済学部 経済学科 助教
筑波大学第二学群生物資源学類に在学時、麗澤大学の現学長である徳永澄憲先生と出会い、「計量経済学」「都市地域経済学」を教わったのを機にデータ分析の道に。筑波大学大学院生命環境科学研究科国際地縁技術開発科学専攻を修了後、農林水産省農林水産政策研究所を経て、2019年に麗澤大学に着任。専門分野は農業経済。趣味はゲーム。「今夢中になっているのはモンスターハンター。ゲームの話で学生とよく盛り上がります(笑)」。
目次

    「人間の行動が数式で表せる?!」経済学との衝撃的な出会い

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    • 実は私は初めから大学で経済学を学びたいと思っていたのではなく、当時、花形だったバイオテクノロジーを学びたいと思い、農学部に入りました。しかし、いざ授業を受けてみるとまったく向いていないと感じてしまって(笑)。バイオテクノロジーは実験がメインなのですが、私はとにかく実験のセンスがなくて...。わずか2時間の実験で試験管を5本割ったことも(苦笑)。また、実験ではチームワークがとても大切であるにもかかわらず、人とコミュニケーションをとることが得意ではなく...。

    自分なりに頑張ろうと努力しましたがうまくいかず、そうこうしているうちに大学生活が楽しくなくなってしまいました。そんな時大きな転機となったのが、たまたま選択していた経済学の授業。経済学といっても農学部なので内容は農業に特化していましたが、そこで初めて経済学というものに触れて、「人間の行動って数式で表せるの?!」と大きな衝撃を受けました。

    • その授業では、たとえば、ある都市の中心部から何キロ圏内は商業エリアとして利用する、そこからさらに離れた何キロ圏内は住宅地として、さらにその外側は通勤コストが高くなるので農地として利用する、というように、最も経済効率の高い点を計算して、土地を効率よく利用する世界があるということを学びました。理論上とはいえ、人間の行動を数式で現わせるなんて思わなかったので、そんなことができるんだ!と興味が湧きました。その授業を担当していたのが、麗澤大学の現学長である徳永澄憲先生で、私の恩師でもあります。
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    好きなことを学ぶ大切さ。恩師と出会い、データ分析の道へ

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    • 徳永先生の授業に衝撃を受けた私は「先生のゼミナールに入れてください」と直談判すべく、研究室を訪ねました。徳永先生といえば、今でこそ優しい先生ですが(笑)、当時はとても厳しく、授業中少しでも私語をしようものならピシャーッと叱られるような先生。声をかけるのも躊躇しましたが、恐るおそる話をしてみると、先生はパーッと笑顔になり「ぜひ来てください!」と言ってくださいました。快く受け入れていただけたことに驚きつつも、すごく嬉しくて「頑張ろう!」と気力が湧いてきたのを、今でも覚えています。

    • 2年次から同じ学部内の経済コースに転向し、そこからはもう、学ぶことが楽しくてしかたなかったです。教科書はページがボロボロになって表紙が取れてしまうくらい夢中で読みこみ、また、データ分析に必須のパソコンは、秋葉原に行き、お小遣いでジャンク品を買って自分で修理しながらひたすらデータ分析をする日々。おかげでパソコンと仲良しになれましたよ(笑)。毎日全力疾走だったけれど、不思議と辛いと思うことはなく、充実した学生生活を送ることができました。
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    データ分析の世界は女性にもおすすめ!パソコンひとつで作業ができる研究分野

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    • 現在、私は「空間計量経済学」の手法を利用して研究を進めており、中でも食料・食品など農業経済分野を対象としています。研究テーマは日系食品企業の海外進出。たとえば「食品関係の企業が海外に進出する際、労働力やインフラ、需要などの条件がある中、進出先の選択に影響を与える要因となるものは何なのか?」「海外生産する食品企業の中には、手間とコストをかけてまで原材料を日本から調達する企業もあるが、それは一体どうしてなのか?」など、食品企業の動向を様々なデータをもとに分析し、日系食品産業の特徴を数字によって明らかにする研究に取り組んでいます。

    • 経済学、それも計量経済学となると、今はまだまだ女性の研究者が少ないのですが、これからは徐々に増えていくと思いますよ。体力が求められる実験系の研究とは異なり、パソコン作業がメインなので長く続けることができますし、基本的にはパソコン1台あればどこにいても作業ができるので、出産や育児と並行して研究を進めることも可能だと思います。学生を見ていると、数字が苦手という女性も多いですが、丁寧な分析をする学生が多い印象があります。もし数学が苦手だったとしても、少しでも興味があればぜひ、データ分析の世界にチャレンジしてほしいですね。

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    恩師である徳永先生のように、学生の成長を後押しできるような先生になりたい

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    • 教員としての夢は、恩師である徳永先生のような教員になることです。徳永先生は懐が深い先生です。学生一人ひとりとしっかりと向き合ってくれて「こういう分野が向いているのではないか」と私のデータ分析の能力を見い出してくれたのも、「これも挑戦してみたら。失敗しても私が責任とるから」と、色々アドバイスしてくださり、いつも背中を押してくれたのも徳永先生。そのおかげで、研究者、教員としての今の私があります。私も、学生一人ひとりの個性を把握し、彼らの成長にしっかりと向き合い後押しできる教員になりたい。そう思いながら、日々精進しています。

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