経営学部
2022.09.18|最終更新日:2023.10.04|

【前編】コロナ禍の柏市を花火で盛り上げたい! 経営専攻の学生が「麗澤花火大会」を企画開催

【前編】コロナ禍の柏市を花火で盛り上げたい! 経営専攻の学生が「麗澤花火大会」を企画開催

経済学部経営学科近藤ゼミナールの4年次生3名が、柏市の夜空に花火を打ち上げる「麗澤花火大会」を企画し、2022年7月に開催しました(当初5月に開催予定でしたが、悪天候の影響で7月に開催を延期しました)。開催の発端となったのは、2021年6月に行われた「5大学+1高校 対抗プレゼンバトル2021※」で、本プロジェクトチームが優勝したことです。前編では、麗澤花火大会に込めた想いや開催までの道のりを3名に伺います。

※「5大学+1高校 対抗プレゼンバトル2021」(玉川大学工学部主催)は「コロナ禍の『個店』を支えるビジネスプランを構築しよう」をテーマに、社会課題の解決を目指したプレゼンテーション大会です。

長内 拓慎
経済学部 経営学科 経営専攻 2019年入学
青森県出身。柏市民公益活動団体「ふるさと花火会」代表。麗澤大学バスケットボール部所属。
※取材時、4年次生
荒木 健人
経済学部 経営学科 経営専攻  2019年入学
茨城県出身。趣味はツーリングと旅行。愛車はHonda CB250T。
※取材時、4年次生
荻沼 瑠奈
経済学部 経営学科 経営専攻 2019年入学
茨城県出身。趣味はカフェめぐりと映画鑑賞。
※取材時、4年次生
目次

    プレゼンテーション大会での優勝が花火大会開催のきっかけに

    ―「麗澤花火大会」について教えてください

    長内:「麗澤花火大会」は、私たち近藤ゼミの学生3名が中心となって結成した柏市民公益活動団体「ふるさと花火会」と、柏市で100年以上の歴史を持つ高城煙火店(たかぎえんかてん)が共催する花火大会です。コロナ禍の影響で修学旅行や花火大会などの子どもたちが楽しみにしていたイベントがここ数年相次いで中止になっていることを受け、花火を通じて柏市を盛り上げたい、家族で共有できる思い出にしてほしいという想いから企画しました。資金はクラウドファンディングで集め、寄付の返礼として抽選で「50席限定・特別観覧席チケット」や、自分で花火の色柄をデザインできる「デザイン花火」などを用意し、当日は15分間で約100発の花火を打ち上げる予定です。

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    • 私たちが麗澤花火大会を開催しようと動き出したきっかけは、2021年6月に行われたビジネスコンテスト「5大学+1高校 対抗プレゼンバトル2021」(以下、プレゼンバトル)で、当時3年次生だった私たち3名のチームが優勝したことです。せっかくなら、そこで提案した「ふるさと花火」のアイデアを実現しようと、プレゼンバトル後の8月から開催に向けて準備を進めていきました。

    私たちの自信につながった、たくさんの想いが詰まったアイデア

    ―「ふるさと花火」とはどのようなアイデアですか?

    長内:プレゼンバトルのテーマは「コロナ禍の『個店』を支えるビジネスモデルを構築しよう」というもので、私たちは、コロナ禍によって花火大会が全国的に開催されなくなっていることに着目しました。そこで、花火大会中止により売上が激減してしまった高城煙火店を支援したいと思い、提案したのが「ふるさと花火」です。資金の使い道に共感し、ふるさと納税を利用して行うガバメントクラウドファンディング®を通して、個人やグループがオリジナルの花火を高城煙火店に直接オーダーし打ち上げることができる、という仕組みを提案しました。

    ―プレゼンバトルで評価されたのはどのような点でしょうか?

    荻沼:最も高く評価されたのは「実現可能性」です。私たちの提案は審査員の方々に「これなら実現できる!」と太鼓判を押していただきました。それは、高城煙火店をはじめ、柏市役所や柏商工会議所、柏市民公益活動団体を支援するパレット柏など、私たちが各所に何度も足を運び、現場の方々のご意見を伺いながらアイデアを具体化していったからこそだと思います。

    • 荒木:打ち上げ花火大会のアイデアが膨らんだのも、柏市と我孫子市が共催する「手賀沼花火大会」が中止となり地域の方々に惜しまれていることや、子どもたちが花火大会を心待ちにしていることを柏市役所や高城煙火店で伺ったことがきっかけで、ガバメントクラウドファンディング®のアイデアをくださったのも柏市役所の方でした。ほかにも現場の方の何気ない一言に大きなヒントがあったりと、それは3人でいくら頭を寄せ合って考えても、インターネットで検索しても出てこない貴重な意見でした。皆さんにご協力いただきながら、何度も現場に足を運びアイデアを練ったことが企画への自信にもつながりました。

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    荻沼:近藤ゼミはこのプレゼンバトルに毎年挑戦していますが、優勝したのは今回の私たちが初めてだったので、結果がわかった時はとても嬉しかったです。

    次々と課題に直面! 本当に高城煙火店のためになっているのか

    ―麗澤花火大会開催に向けて、どのような取り組みをしましたか?

    荒木:柏市民公益活動団体「ふるさと花火会」の結成から始まり、開催場所の決定、公式ホームページの立ち上げ、資金集めや保険申請、開催当日の運営のためのボランティアスタッフの募集、近隣への事前周知などを行いました。プレゼンバトルでは「実現可能性」を高く評価していただきましたが、いざ実行するとなると次々と課題に直面し、当初のプランからさまざまな点を変更することになりました。

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    • 荻沼:その中でも最難関だったのは、開催場所の問題です。当初予定していた場所の使用を申請したところ、事故やトラブルが起きた時の責任問題などの関係で許可が下りなかったのです。代わりに麗澤大学の敷地内で開催できないかと打診しましたが、当時は計画の詳細が決まっていなかったこともあり、難しそうだと回答がありました。「私たちは学生だから責任を取りきれない」「開催場所がなければどうにもならない」と、私たちは開催を諦めざるを得ない雰囲気になりました。

    長内:その時、近藤先生に「君たちがやっていることは、本当に高城煙火店のためになっているのか」と指摘され、ハッとしました。その時の私たちは周りを巻き込むだけ巻き込み迷惑をかけているだけで、無意識のうちに「学生だから」という甘えがあったことに気づいたのです。高城煙火店や花火大会を待ち望む人たちのためにも私たちは変わらなくてはならない、本気でこのプロジェクトに取り組もうと、気持ちを入れ替えました。

    そこから麗澤大学の敷地内で開催できないかもう一度掛け合おうと、徳永学長に直接プレゼンテーションをする機会をいただきました。それから何度も徳永学長のもとに通い、指摘された問題点をすべて解決したたことで、ついに開催の了承をいただけることになりました。すぐに資金集めを開始しましたが、これも当初考えていたガバメントクラウドファンディング®ではなく、私たちでもすぐにできるクラウドファンディングに変更して、何が何でも開催資金を集めようとSNSによる周知活動も同時に行いました。その結果、多くの方々にご支援いただき、1ヵ月に満たない期間で目標額の80万円を超える資金が集まり、ボランティアスタッフの募集にも、50名の麗澤大学の学生が応じてくれました。

    ひとりでも多くの方に「花火」と「笑顔」を届けたい

    ―本プロジェクトを通して、どのようなことを学びましたか?

    • 長内:一度は開催を諦めそうになりましたが、今の私たちは何事もすぐに諦めることはありません。壁にぶつかった時はほかの方法を試せば良いですし、私たちが今できるベストをどんどん実践していくことで、想いは実現できることを学びました。

      荻沼:私は、利他と自主自立の精神を学びました。社会に出る前に学ばせていただけたことはとてもありがたく、貴重な機会だったと思います。

      荒木:プロジェクトを通して得たこの仲間もかけがえのない存在です。長内さんと荻沼さんがいてくれたから大変なことも一緒に乗り越えられましたし、何よりすごく楽しい時間でした。

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    ―「麗澤花火大会」開催に向けての想いをお聞かせください

    荒木:これまで協力してくださったたくさんの方々や、花火大会を楽しみにしている方々に喜んでいただくことはもちろん、高城煙火店に恩返しをしたいと思っています。なぜなら、高城煙火店を支援したいと思って始めた企画でしたが、支援されたのは私たちの方だと強く感じているからです。高城煙火店は学生の私たちを初めから快く受け容れ、お話をたくさん聞かせてくださいましたし、開催場所の交渉にもご同行くださり、麗澤大学にも開催準備のために何度も足を運んでくださいました。ほかにも、私たちの見えないところでいろいろと動いてくださっていたと周りの方々から聞き、惜しみない協力で私たちを支え続けてくださった高城煙火店の方々に「やってよかった」と喜んでいただける花火大会にしたいです。

    長内:高城煙火店の想いに応えるためにも、まずは私たちが心から花火大会を楽しみ、ひとりでも多くの方に花火と笑顔を届けたいと思います。そしてこの体験を、私たちの将来にしっかりとつなげていきたいです。

    ―いよいよ後編では花火大会を終えて、今どう感じているのか、そして3名の学生生活についても伺います!

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