【前編】コロナ禍の柏市を花火で盛り上げたい! 経営専攻の学生が「麗澤花火大会」を企画開催

経済学部経営学科近藤ゼミナールの4年次生3名が、柏市の夜空に花火を打ち上げる「麗澤花火大会」を企画し、2022年7月に開催しました(当初5月に開催予定でしたが、悪天候の影響で7月に開催を延期しました)。開催の発端となったのは、2021年6月に行われた「5大学+1高校 対抗プレゼンバトル2021※」で、本プロジェクトチームが優勝したことです。前編では、麗澤花火大会に込めた想いや開催までの道のりを3名に伺います。
※「5大学+1高校 対抗プレゼンバトル2021」(玉川大学工学部主催)は「コロナ禍の『個店』を支えるビジネスプランを構築しよう」をテーマに、社会課題の解決を目指したプレゼンテーション大会です。

※取材時、4年次生

※取材時、4年次生

※取材時、4年次生
プレゼンテーション大会での優勝が花火大会開催のきっかけに
―「麗澤花火大会」について教えてください
長内:「麗澤花火大会」は、私たち近藤ゼミの学生3名が中心となって結成した柏市民公益活動団体「ふるさと花火会」と、柏市で100年以上の歴史を持つ高城煙火店(たかぎえんかてん)が共催する花火大会です。コロナ禍の影響で修学旅行や花火大会などの子どもたちが楽しみにしていたイベントがここ数年相次いで中止になっていることを受け、花火を通じて柏市を盛り上げたい、家族で共有できる思い出にしてほしいという想いから企画しました。資金はクラウドファンディングで集め、寄付の返礼として抽選で「50席限定・特別観覧席チケット」や、自分で花火の色柄をデザインできる「デザイン花火」などを用意し、当日は15分間で約100発の花火を打ち上げる予定です。
私たちの自信につながった、たくさんの想いが詰まったアイデア
―「ふるさと花火」とはどのようなアイデアですか?
長内:プレゼンバトルのテーマは「コロナ禍の『個店』を支えるビジネスモデルを構築しよう」というもので、私たちは、コロナ禍によって花火大会が全国的に開催されなくなっていることに着目しました。そこで、花火大会中止により売上が激減してしまった高城煙火店を支援したいと思い、提案したのが「ふるさと花火」です。資金の使い道に共感し、ふるさと納税を利用して行うガバメントクラウドファンディング®を通して、個人やグループがオリジナルの花火を高城煙火店に直接オーダーし打ち上げることができる、という仕組みを提案しました。
―プレゼンバトルで評価されたのはどのような点でしょうか?
荻沼:最も高く評価されたのは「実現可能性」です。私たちの提案は審査員の方々に「これなら実現できる!」と太鼓判を押していただきました。それは、高城煙火店をはじめ、柏市役所や柏商工会議所、柏市民公益活動団体を支援するパレット柏など、私たちが各所に何度も足を運び、現場の方々のご意見を伺いながらアイデアを具体化していったからこそだと思います。
荻沼:近藤ゼミはこのプレゼンバトルに毎年挑戦していますが、優勝したのは今回の私たちが初めてだったので、結果がわかった時はとても嬉しかったです。
次々と課題に直面! 本当に高城煙火店のためになっているのか
―麗澤花火大会開催に向けて、どのような取り組みをしましたか?
荒木:柏市民公益活動団体「ふるさと花火会」の結成から始まり、開催場所の決定、公式ホームページの立ち上げ、資金集めや保険申請、開催当日の運営のためのボランティアスタッフの募集、近隣への事前周知などを行いました。プレゼンバトルでは「実現可能性」を高く評価していただきましたが、いざ実行するとなると次々と課題に直面し、当初のプランからさまざまな点を変更することになりました。
長内:その時、近藤先生に「君たちがやっていることは、本当に高城煙火店のためになっているのか」と指摘され、ハッとしました。その時の私たちは周りを巻き込むだけ巻き込み迷惑をかけているだけで、無意識のうちに「学生だから」という甘えがあったことに気づいたのです。高城煙火店や花火大会を待ち望む人たちのためにも私たちは変わらなくてはならない、本気でこのプロジェクトに取り組もうと、気持ちを入れ替えました。
そこから麗澤大学の敷地内で開催できないかもう一度掛け合おうと、徳永学長に直接プレゼンテーションをする機会をいただきました。それから何度も徳永学長のもとに通い、指摘された問題点をすべて解決したたことで、ついに開催の了承をいただけることになりました。すぐに資金集めを開始しましたが、これも当初考えていたガバメントクラウドファンディング®ではなく、私たちでもすぐにできるクラウドファンディングに変更して、何が何でも開催資金を集めようとSNSによる周知活動も同時に行いました。その結果、多くの方々にご支援いただき、1ヵ月に満たない期間で目標額の80万円を超える資金が集まり、ボランティアスタッフの募集にも、50名の麗澤大学の学生が応じてくれました。
ひとりでも多くの方に「花火」と「笑顔」を届けたい
―本プロジェクトを通して、どのようなことを学びましたか?
―「麗澤花火大会」開催に向けての想いをお聞かせください
荒木:これまで協力してくださったたくさんの方々や、花火大会を楽しみにしている方々に喜んでいただくことはもちろん、高城煙火店に恩返しをしたいと思っています。なぜなら、高城煙火店を支援したいと思って始めた企画でしたが、支援されたのは私たちの方だと強く感じているからです。高城煙火店は学生の私たちを初めから快く受け容れ、お話をたくさん聞かせてくださいましたし、開催場所の交渉にもご同行くださり、麗澤大学にも開催準備のために何度も足を運んでくださいました。ほかにも、私たちの見えないところでいろいろと動いてくださっていたと周りの方々から聞き、惜しみない協力で私たちを支え続けてくださった高城煙火店の方々に「やってよかった」と喜んでいただける花火大会にしたいです。
長内:高城煙火店の想いに応えるためにも、まずは私たちが心から花火大会を楽しみ、ひとりでも多くの方に花火と笑顔を届けたいと思います。そしてこの体験を、私たちの将来にしっかりとつなげていきたいです。