編集部
2022.06.06|最終更新日:2022.06.11|

経済学とは?経済学について簡単に分かりやすく!学ぶメリットや就職先についても解説

経済学とは?経済学について簡単に分かりやすく!学ぶメリットや就職先についても解説

【麗澤大学監修】経済学とは?世の中のお金の流れや活動のイメージがありますが、今回は麗澤大学経済学部経済学科の大越利之教授が、経済学について簡単に分かりやすく説明します。経済学を学ぶことでどんなことが身につくのか、メリットや将来の就職先についても解説していきます。

目次

    皆さんは「経済学ってなんだか難しい。」そう思っていませんか?経済学と聞くと、お金のこと、商売、金融、株など、なんとなくお金が絡んでくることは推測できますが、皆さんの中でもきっとさまざまなイメージがあると思います。「実際に何を学ぶことを経済学というの?」と疑問に思う人も多いでしょうし、「とりあえず経済学を学んでおけば将来困らない!」と思う人もいるでしょう。今回は、経済学とは何なのか、経済学を学ぶメリットやどんなことを学んで何に役立つのかを麗澤大学経済学部経済学科の大越利之教授が分かりやすく解説していきます。

    【麗澤大学大越利之教授のプロフィール】

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    福島県生まれ。上智大学経済学研究科博士後期課程修了。研究テーマは金融政策と住宅市場。子供の頃に、バブルの派手さとバブル崩壊の暗さにインパクトを受ける。その後、大学でバブル期における金融政策のあり方を巡る論争を知り、いつの間にか研究テーマに。

    職名:教授
    学部/学科:経済学部/経済学科
    専門分野:マクロ経済学、金融論
    現在の研究テーマ:金融政策と住宅市場の関係、既存住宅市場の活性化
    主な著書:
    ・Frontiers of Real Estate Science in Japan (Ch.12. Dual Agency, Commission Levels, and the Effect on Sale Price in Residential Real Estate Market: A Questionnaire Survey on Real Estate Brokers in Japan) 分担執筆(共著) Springer (2021.2)
    ・『マイナス金利下における金融・不動産市場の読み方』(2-3. 金融緩和政策と住宅価格の関係) 分担執筆 東洋経済新報社 (2017.3)

    経済学とは何を学ぶ学問?

    経済学とは具体的に何を学ぶ学問なのでしょうか? 単にお金の動きや社会活動について学ぶ学問なのでしょうか? 経済学について分かりやすく解説していきます。

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    経済学とは?

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    経済学とは、私たち個人や企業、政府などの「個々の意思決定」と「社会の全体の動き」をさまざまなデータを用いて分析しながら考えます。別の言い方をすると、限られた資源(人・モノ・時間・お金・情報など)が誰にどのようにして配分されているのか、どう配分したら私たちの生活がより良くなるかを理論的に説明し、それが本当に正しいのかどうかをデータを用いて証明しようとする学問です。

    もちろんお金について学ぶことも経済学にとって必要ですが、世の中で何が起きていて何が問題なのか、それは「なぜ」起こるのか、さまざまな経済活動の仕組みの「なぜ?」を多角的に考え、統計的手法を用いて分析することが大切です。

    たとえば、都市部の交通渋滞の解消にも経済学が役に立ちます。道路のレイアウトやカーブの半径などから車の流れの「なぜ?」を考えるのは工学の出番かもしれませんが、経済学ではドライバーの意思決定の「なぜ?」を考えます。高速道路の料金設定(値上げや割り引き)により、効率的な交通量を実現しようとします。

    不景気や失業者問題などの典型的な経済問題のみならず、どうすれば人々がもっと結婚や子育てに前向きになるか、高校生の皆さんの大学進学率を上げることができるかなど、一見経済学とは無関係に思えることも実はすべて経済学の分析の対象となります。

    このように皆さんが買うモノや、受けるサービスの価格がどうやって決まっているのかといった個人の活動や、消費税増税など国の政策についてはもちろん、交通渋滞やニュースで見かける事件などの問題の解決にも経済学は用いられています。

    経済学は「皆が幸せに豊かな生活ができる方法を考えよう!」という志のあるとてもやりがいのある学問です。

    経済学と経営学の違い

    経済学と経営学は名前が似ていますが異なる学問です。大きな違いとして、経済学が個人や企業だけでなく国家など社会全体の経済活動の仕組みを幅広く学ぶのに対して、経営学は企業や組織というところに注目します。

    消費者や企業、政府の意思決定が経済社会に及ぼす影響や、経済社会全体の動きのメカニズムを考える学問が『経済学』で、企業が発展するためにはどのように運営していくのが良いのか、マーケティングや法律、人材マネジメントなどより細かく考えていく学問が『経営学』です。

    経済学と数学は切っても切り離せない関係といわれるほど数学(主に中学数学+微分)の知識を使います。たとえばGDP(国内総生産)やエンゲル係数(家計における食費が占める割合)など人間の行動を数字に置き換えていきます。

    また経済学は、解き明かした経済社会のメカニズムや、提案されたさまざまな政策が本当に正しいのか、データや統計手法を用いて分析します。

    経済学を学ぶメリットは?

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    【経済学を学ぶ目的・メリット】

    • さまざまな経済・社会的課題を発見し、理論的に物事を分析、解決する力がつく
    • 世界に通用するビジネス力がつく
    • 情報が溢れる社会で惑わされない自分自身の意思決定の軸が手に入る
    • 将来幅広い業種で活躍できる
    • さまざまな資格にも挑戦できる

    経済学を学ぶと、たとえばガソリンの価格が値上がりするという事実があったとして、単純に「ガソリンの値段が上がるんだって、いやだね」「自分は車やバイクには乗らないから関係ないかな」ということで終わらせるのではなく、社会にどういった影響が出てくるのかまで考えるようになります。ガソリンの値段が上がると国にとってメリット・デメリットは何があるのか、一般消費者への影響はどんなものがあるのかなど、未来の経済がどうなるのか推測して追及することができます。そうした追及をしていくと、社会の動きが見えてきて、メディアや周りの声に踊らされることもありません。

    経済学は経済(問題)だけでなく、人が関わる"ありとあらゆる"現象や問題が分析対象です。つまり経済学を学ぶことで、さまざまな課題の原因や解決策について考える習慣が身につきます。そうした論理的な経済学の思考法、考える習慣を身につけることで、問題解決能力が高くなります。問題解決能力とは社会生活(ビジネス、さまざまな活動)において重要な能力です。

    ただし、社会問題の解決には人々を思いやる心(道徳心や倫理観)が大切になってきます。経済学では「冷静な頭脳と温かい心(Cool Head, but Warm Heart)」を大事にしています。

    経済学は大きく2つ!ミクロ経済学とマクロ経済学

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    経済学は主に「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の2つに分類されます。

    ミクロの視点・マクロの視点の2つの視点を持つことは複雑な経済活動によって起こる現象や問題を分析するのに重要なことです。「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」について具体的に説明していきます。

    ミクロ経済学とは

    「ミクロ経済学」とは、経済を構成する消費者、企業の選択が社会に及ぼす影響を考えます。ミクロ経済学は経済学の基礎ともいえる学問で、消費者や企業の行動がさまざまな商品の価格や取引量をどのように決定するのか、その価格や取引量は社会にとって望ましいのか、望ましくないならどのような政策が必要なのかなどを分析します。

    たとえば、ガソリン車の取引量が過剰で大気汚染の原因となっているのであれば、エコカー減税などを導入することで、エコカーに対する企業の開発意欲や、消費者の購買意欲に影響を与えようとします。

    そんなミクロ経済学を学ぶと、私たちの暮らしにあるいろいろな疑問を解決できるようになります。社会科や世界史の授業で習う「見えざる手」で有名な経済学者、アダム・スミスの理論はミクロ経済の基礎となっています。

    マクロ経済学とは

    「マクロ経済学」とは、国や政府、企業や家計を一括りにしたより大きな社会全体の経済活動について分析します。

    たとえば、景気が悪い時に政府はどんな対策をとれば良いのだろうか、円高(円安)になった時に物価はどのくらい変化するのか、GDP(国内総生産)はどのようにして決まるのか、といった大きな経済のメカニズムを考える学問です。

    マクロ経済学を学ぶと、国の政策の理解力が深まるため、今までニュースや新聞でなんとなく見聞きしていただけの世界の景気や国の政策について理解できるようになり、世の中のこれからを考えられるようになります。世の中の動きに目を向けることで失業や貧困を減らし、皆さんの生活をいかに良くしていくかの解決策も考えていきます。

    経済学を学んだあとの就職先や職業、有利な資格は?

    【主な就職先】

    • 公務員(国家、地方(都道府県・市区町村)など)
    • 金融(銀行、証券、保険など)
    • 商社
    • メーカー
    • 建設・不動産
    • ホテル
    • 旅⾏
    • 各地域の協同組合 など

    経済学を学んだあとは、銀行(メガバンク)、証券といった金融関係や、商社、メーカーなど、さまざまな分野の企業が就職先として人気です。

    さらに、経済学を学びながら、TOEIC® 、ファイナンシャル・プランニング技能検定、経済学検定試験(EREミクロ・マクロ)、日商簿記検定試験などの資格を取得する人が多い傾向にあります。

    麗澤大学の経済学部 経済学科で学ぶこと

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    麗澤大学の経済学部経済学科では経済学の基礎はもちろん、新しい時代の到来に伴い、全専攻でデータサイエンスやAIを学べる授業など、これからの時代を見据えた学修環境が整っています。また、全学部に共通して「PBL(Project Based Learning)課題発見解決型学習」を積極的に行っています。経済学部でも授業内でPBLや産官学連携の取り組みを実施しており、実社会から学び、学びを社会に還元する機会を用意しています。

    【経済専攻の特色】

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    麗澤大学の経済学科、経済専攻では社会に溢れる数字の意味を知り、データ分析力を磨くことができ、身の回りに起きる問題解決の力をつけることができます。

    1年次から少人数でのグループワークが多く、経済問題や社会課題などのテーマについて仲間とともに議論し、企画を立て、プレゼンテーションする機会も豊富です。また、経済学検定試験(EREミクロ・マクロ)や統計検定試験など約30の資格取得の受験対策となる授業も開講しており、さらに合格または所定の成績を収めた場合には、受験費用の補助を受けることができます。(経済学部資格取得支援制度例

    創立者 廣池千九郎(法学博士)が唱えた「道経一体」思想に基づき、効率の良さや目先の利益だけを追求するようなものではなく、伝統的な経済理論(クールヘッド)と道徳(ウォームハート)を結びつけた"血の通った経済学"を学ぶことができます。

    あらゆる問題を論理的・客観的に考える力や社会に出る前にデータ分析などの基礎知識が身につきます。将来の進路についてさまざまな職業を想定している人に向いている専攻です。

    ※道経一体:麗澤大学の創立者 廣池千九郎(法学博士)が説いた「道徳と経済は一体であり、経済の繁栄も高い品性と道徳観を基礎として初めて可能になる」という思想。

    【観光・地域創生専攻の特色】

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    麗澤大学の経済学科には「経済専攻」のほかに、「観光・地域創生専攻」があります。

    ここでは経済活動としての「観光」を学び、地域活性の方法を学びます。1年次から実際に現実の地域課題の解決に取り組む「麗澤・地域連携実習」という授業がスタートし、豊富なワークショップを行いながら実践的な観光・地域政策も学ぶことができます。

    観光をひとつの大きな産業・経済行為としてとらえ、限られた予算を最大限に活かす方法やデータの正しい読み方など、経済学の視点で観光を科学的に分析し、「この取り組みは、どれだけ経済効果を生むか」を論理的に考えていきます。

    また、問題解決のアプローチ方法のひとつとしてデータサイエンスを学び、地域や観光業が抱える課題をエビデンス(証拠)にもとづき、客観的に分析ができるようにします。ここで身につけた問題解決力はどんな業界に進んでも役立ちます。

    観光を経済活動のひとつとして多面的に捉え、地域の観光や発展に貢献できる企画や施策が提案できるようになり、データサイエンスにもとづいて企画や施策の効果を測定することができるようになります。将来、観光業や地域復興に関わる職業につきたい人に向いている専攻です。

    ※麗澤・地域連携実習:観光・地域創生専攻に限らず、全学部から参加できる1年次対象の授業。柏市や企業が実際に直面している課題が提示され、学生たちは各課題ごとに分かれ調査・分析、最後は柏市や企業に提案を行いフィードバックを受け取ります。

    経済学部の学びは身近な問題解決に役立つ

    経済学部経済学科の大越教授から皆さんへ、経済学が身近な問題解決に役立つおもしろさをお伝えしたいと思います。

    「たとえば、テストのカンニング。あなたなら、どうやって防ぎますか?」

    不正⾏為を経済学で解決しようという研究があります。なぜ⼈はカンニングするのかというと、カンニングをして得られる便益(満足)が、その費⽤(バレる確率×失うもの)よりも⼤きいと合理的に⾒積もるからだと、経済学では考えます。カンニングが成功してしまう社会では、自分の力で上に上がっていけるはずの優秀な人が本来いるべき場所にいることができません。これは社会にとっての不利益といえます。カンニングを防ぐことは社会の利益となりますが、無尽蔵に監視カメラをつけたり監視員を増やすなどすると費用が大きくなりますし(費用が大きい=社会の利益が小さくなる)、罰則強化は教育を⾏う⽴場としては理想的とはいえません。じゃあどうしようか、費用をかけずにカンニングを防ぐもっといい方法はないかな?と考えるのです。⼈間の合理的ではないところに着⽬した、⾏動経済学からのアプローチ方法もあります。2つのグループを⽤意し、⼀⽅に試験の前に少しだけ道徳⼼をくすぐるような仕掛けをしたら不正が減った、という実験結果もあります。

    このように経済学部の学びは、⾝近な問題の解決にも役⽴ちます。あなたも楽しみながら経済学を学んでみませんか。

    経済学を教える教員の声

    【「経済」を考えない人生なんてない。迷わず経済学という学問を選んでほしい】
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    • ■経済学部 経済学科 教授 大越 利之

    問題と向き合うツールの一つに経済学があるのです。そしてそれがわかるとこれがまた面白い。誰にとっても経済は身近な問題だし、経済を考えない人生なんてないのです。経済学という学問を学んで損はないと思います。「世の中の経済問題について考えたいから」と、きちんとした理由を持って経済学部に志望しなくても、"やりたいことが今ひとつわからないけど経済学を選んだ"でもいいと思っています。誰もが入学前にやりたいことが明確ではないわけですから。問題は入学後にどれだけやるかです。「今まで経済には興味がなかった」という人でも、何かしらの社会問題や経済問題への関心が出てきた時、解決の糸口を探る学問の一つとして、経済学が活きてきます。麗澤大学は自分でも驚くほど教員が学生に対して真剣に向き合っていますし、学生もしっかり応えてくれます。私が学生だった頃も、先生は向き合ってくれていたのかもしれませんが、今はより一層ではないでしょうか。少人数体制で学べる環境も勉強にはうってつけですし、大学で勉強することの満足度を得られやすい環境が整っています。

    引用:「「経済」を考えない人生なんてない。迷わず経済学という学問を選んでほしい

    【「女性は、顔が良ければ性格も良いとみなす!?」という分析も計量経済学のひとつ。計算から導く答えとは】
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    • ■経済学部 経済学科 助教 池川 真里亜

    人間の行動や社会の状況を数字で分析する学問、それが「計量経済学」です。「入門計量経済学」を受講するのは計量経済学に初めて触れる学生たちがほとんどですが、先日、自由なテーマでプレゼンテーションをしてもらったら、どのグループもとても面白い発表をしてくれました。たとえば「政府最終消費支出が常用労働者に与える影響についての実証分析」という真面目なテーマに取り組んでくれたグループもあれば、「顔と性格」をテーマに「顔が良ければ性格も良いとみなされるか?」と分析したグループも。他にも、「新型コロナウイルス感染症拡大により、巣ごもり需要が増えていると考えられているが本当なのか?」と分析してみたところ、実は関連性は見い出せなかったという結果や、「新型コロナウイルス感染症拡大とインフルエンザ罹患率の減少は関連があることがわかった」というように、一見関係ないように思える事象が、計算してみることで実は関係がある、反対に、関係あると思っていた事象が実は関係がなかった、といった側面が見えることもあります。経済とは人間の行動の集合であり、データを数値化し、それを数字で切ることによって、その切り口から、人間の行動の意外な事実が見えてくる。そこが、計量経済学の面白さだと思います。

    引用:「経済学」に魅了された大学時代。皆さんにも本当の「好き」を見つけてほしい

    経済学を学んで幅広い視野や考え方を手に入れよう!

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    私たちが生きる社会は経済活動で溢れています。経済学を学ぶことで、論理的な思考能力を養い、さまざまな問題をデータに基づいて解決できるようになり、日々の自分の選択肢が広がり、これからの世の中についても予測を立てて行動できるようになります。経済学を学んで自分の視野を広げ、将来は社会で活躍するリーダーになりましょう!

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