
【麗澤大学 小塩 篤史 特任教授監修】システムエンジニア(SE)とはどんな仕事? システムエンジニアになるために必要なスキルや就職に強い資格、実際に気になる年収や仕事の裏話など気になる話をまとめて紹介します。 システムエンジニアに興味がある人、実際にシステムエンジニアとして仕事がしたい人はぜひご覧ください!
システムエンジニア(SE)とは、プログラミングやソフトウェアなどのシステム開発に携わる仕事です。よくプログラマーと混同されがちですが、システムエンジニアはプログラマーの仕事も併せて担当する場合が多く、さまざまな仕事に精通する必要があります。
今回は麗澤大学に2024年4月設置構想中である工学部 工学科 情報システム工学専攻の開設をサポートしている小塩篤史特任教授にシステムエンジニアについてお聞きしました。
システムエンジニアの裏話や近年の仕事環境など、興味ある話もまとめてご紹介します。
職名:特任教授
専門分野:情報工学、データサイエンス、人工知能、人間情報学、医療情報学、EdTech
研究テーマ:
・データ保護とデータ利活用を両立させるデータプラットフォーム
・デジタルアプリを通じた人間の創造性支援・学習支援
・QoL向上に資する患者向けAIシステム
・SDGsのためのAI,IoT活用
受賞歴:
・アジア太平洋医療情報学会 優秀論文賞 (2009.07)
・医療情報学会 優秀論文賞 (2008.10)
主要経歴:
・マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 客員研究員
・日本医科大学医療管理学教室 助教
・事業構想大学院大学 事業構想研究科 准教授
・事業構想大学院大学 事業構想研究科 教授・研究科長
・株式会社IF 代表取締役CEO
・株式会社HYPER CUBE取締役CIO
著書:
・『事業構想学を構想する』単著 月刊事業構想 (2014)
・E-Health 2010, IFIP AICT 335 共著 Splinger (2010)
システムエンジニア(SE)とはどんな仕事?
システムエンジニアの仕事とは、働く会社やプロジェクトの内容によってもその内容はさまざまな違いはありますが、一般的にはソフトウェア開発のためにクライアントや現場サイドから要望や課題をヒアリングし、システムの設計図を作り、システム開発プロジェクトの全体を管理していくことです。
システムエンジニアの頭文字をとって、「SE(エスイー)」と略して呼ばれることが多く皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
システム構築の要となる仕事をしているエンジニアがシステムエンジニア(SE)と言えます。
システムエンジニアの仕事内容と環境
基本的にシステムエンジニアの仕事内容は「要求定義・要件定義」「基本設計」「詳細設計」「テスト」「運用・保守」という流れで仕事をしていきます。
具体的にいうと、以下のような流れです。
クライアントがどのようなシステムを求めているか、どんな課題があるのかをヒアリングし、システムに必要な機能や予算、納期の目安などを決定していきます。
レイアウト、画面の表示方法、操作方法など、システム内の基本的な設計をしていきます。
基本設計で決めた内容をどのような技術を使って実現していくのか、プログラマーがどんなプログラミングをしていくのか、より具体的な設計をします。
プログラマーたちが作ったシステムが設計通りに問題なく動くかどうか漏れのないようにチェックしていきます。
システムを開発後も、障害が出た時にすばやく復旧させたり、より良いものになるように機能を追加したりして改善、メンテナンスを行います。
また、システムエンジニアには特定の会社の中でシステムエンジニアとして働く「社内SE」や、システム開発会社に所属してさまざまなクライアントの依頼を受けて働く「SIer(エスアイアーもしくはシステムインテグレーター)」、個人で仕事を受ける「フリーランスSE」といったさまざまな働き方があります。
こうした会社の構造とは別に、新規開発系なのか、保守系なのかでも仕事の内容は変わってきます。発注側のシステムエンジニアか受注側のシステムエンジニアなのかでも業務内容は大きく違います。
日本では仕事の増減をSIerが吸収し、アメリカではプロジェクトが終わると会社を移っていくということもしばしばあり、日本でも優秀なシステムエンジニアは引く手あまたで、新しいプロジェクトを繰り返していくことで経験とスキルを積み上げていくことができます。
プライベートの時間は持てる? 徹夜で残業続き?
一昔前はプロジェクトが佳境に入ると何日も会社に泊まり込むこともありましたが、近年ではIT業界でも働き方改革が進んでいて、以前に比べて格段に働きやすくなっています。
リモートワークやフレックスタイム制度などの導入を行う企業もかなり増えてきました。「納期」がポイントになってくる仕事ですので、納期前は忙しくなることもあると思いますが、それ以外では有給なども取れてプライベートの時間もしっかり持てるでしょう。
また、これまでは男性が多い職場環境でしたが、最近では女性のシステムエンジニアも増えてきました。
システムエンジニアはスキルが重要視される職種ですので、スキルさえ持ち合わせていれば性別に関わらず評価されます。
SEとプログラマーとの違いは何?
システムエンジニアの仕事は「クライアントから要望や課題をヒアリングし、システムの設計図を作り、プロジェクト全体を管理していくこと」です。
全体のプロジェクトをまとめていくため、コミュニケーション能力やマネジメント能力が不可欠といえます。
そしてそんなシステムエンジニアが作成した設計図を実際に具現化していくのがプログラマーです。
具体的には設計図に沿ってコードを書いていくのがプログラマーの主な仕事内容となります。
プログラマーになるには専門的なプログラミング言語の習得が必須で、クライアントとやりとりするよりもコードを書き続けるため、必然的にパソコンと向き合い続ける時間が長くなります。
会社によってはシステムエンジニアがプログラマーの業務を兼任することもよくある話です。
つまりシステムエンジニアはクライアントの窓口になり全体のプロジェクトをまとめていくのに対し、プログラマーは核となる設計図を専門知識をフルに活用し具現化していく仕事となります。
必要な能力や知識、行う作業に違いはありますが、どちらの仕事もクライアントの求めるシステムをつくるやりがいのある職種です。
気になる!システムエンジニアの実際の平均年収は?
経済産業省(※1)や国税庁(※2)の調査において、システムエンジニアの平均年収は550万円前後です。
同じシステムエンジニアという仕事でも、どこの領域に所属しているか、高度SEやITエンジニア、どんなプロジェクトに携わっているかによっても年収には幅がありますが、他の職業と比べると平均年収は高いです。
アメリカなど海外では、AI・データサイエンス等に関する高いスキルを持つデジタル人材には高額の報酬水準を提示する例が増えているため、日本でも優秀なデジタル人材の採用を目的として、通常よりも高い給与水準を提示する企業が増えてきています。
システム開発の業界は、実は建設業界のようなピラミッド構造になっています。
大企業のシステムエンジニアは、年収も30歳代で1000万円を超える場合もあり、実際に手を動かしていく中堅のソフト会社や、下請け・孫請けから派遣されたエンジニアたちの仕事内容はまた変わってきますが、それでも平均よりも給与水準が高めです。
また、先ほども言ったように、性別に関わらず活躍できるので、男女の平均年収の差もほとんどありません。
今後ますます発達していくであろうAIやビッグデータといった技術に伴い、自分のスキルも磨いていくことでさらなるキャリアアップを目指せます。
参照データ:(※1)IT関連産業の給与等に関する実態調査結果:経済産業省、(※2)民間給与実態統計調査:国税庁
システムエンジニアになるには?資格はあるの?適正は?
システムエンジニアになるために、何か特定の資格を持っていなければならないということはありませんが、ITスキルの資格があると就職に有利です。
資格はその人の知識を見るのに一目瞭然ですし、知識以外の能力ももちろん必要です。
また、プログラミングよりもそれ以外の設計などの工程をメインに行うため、文系で活躍している人も多いです。
ここからはシステムエンジニアにとっておすすめの資格と求められるスキルをご紹介します。
あると就職に強い!国家資格
スキル重視で実力主義のシステムエンジニアの世界では、資格を持っていることは、どんな知識を持ち合わせているかがはっきり分かるため、就職においてもキャリアアップにおいてもかなり重要です。
以下が、システムエンジニアのための代表的な4つの国家資格です。
基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験(FE)は、システムエンジニアをはじめとする多くのIT系エンジニアが取得する入門的な資格です。
「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持ち、実践的な活用能力を身につけたもの」が対象となっています。
アルゴリズムやプログラミング、経営戦略、セキュリティなど様々な範囲から出題されます。
応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験(AP)は、先ほどの基本情報技術者試験(FE)の上位資格で、名前の通り応用レベルの知識と技術が求められます。
システムエンジニアとして数年の実務経験を経て受験する人が多いようです。
ワンランク上のシステムエンジニアになりたい人向けの資格です。
システムアーキテクト試験(SA)
システムアーキテクト試験(SA)は、システム開発の分析や設計を行う上級職用の専門性がかなり高い国家資格です。プロジェクトリーダーなど、技術だけでなく、チームをまとめる力などが求められます。1000字前後も論述問題が出る難関の試験ですが、取得すれば大きなキャリアアップが期待できます。
ネットワークスペシャリスト試験(NW)
ネットワークスペシャリスト試験(NW)は、企画、開発から運用、保守にいたるまでの知識、ネットワークに関する高度な技術などが求められる試験です。
情報システム会社や、ネットワークインフラ系の企業に就職するには強い資格です。
基本的にどんなスキルが必要?
システムエンジニアはパソコンに向かって作業しているイメージが強いかもしれませんが、実は人と接する機会が多い職種です。
システムエンジニアになるために重要なスキルについていくつかご紹介します。
コミュニケーション能力
システム開発の仕事では、依頼を受けるクライアント、プログラミングを行うプログラマーなど、複数の人で構成されたチームでプロジェクトを動かしていくため、チームの取りまとめ役であるシステムエンジニアは対人関係をスムーズにしていかなければいけません。
人との会話を避けるためにシステムエンジニアの職を選ぶ人もいますが、クライアントの要望をヒアリングし、最適な提案をしたり、専門知識を使って指示出しをしたりと、高いコミュニケーション能力が求められます。
技術的能力
実際にシステムのプログラミングを行うのはプログラマーが主ですが、システムの設計を担当するのはシステムエンジニアの仕事です。
クライアントの要望に添える技術力を持つことはシステムエンジニアにとって最も大切な能力だと言えます。最先端の技術を常に勉強し、備えておくことで、たくさんの期待に応えられるエンジニアになれるでしょう。
マネジメント能力
先ほども言ったようにシステムエンジニアはチームを動かしていくため、誰にどんな仕事をどのくらい任せたらいいのか、納期に間に合わせるためにどんなスケジュールで動いていけばいいのかを考えなければなりません。
マネジメント能力やリーダーシップもシステムエンジニアの大切なスキルのひとつです。
論理的思考力
システム開発において、なぜその数値になるのか、どんな理由でこの設計を作り出したのかといった論理的思考力は欠かせません。
論理的に考え出されたシステムは、クライアントの要望を満たし、問題も発生しにくく、プロジェクトをスムーズに進めることができます。
英語のリーディング能力
システムエンジニアの仕事もグローバル化が進んでいます。
外資系のIT企業に就職するチャンスを広げる場合はもちろん、国内企業でも海外のクライアントとやりとりがあったり、最新の技術を習得するにはまだ翻訳されていない英語の論文や記事を読まなければならないので、英語のリーディング能力はあった方が活躍の場を広げられるでしょう。
もちろん英語はできた方が良いですが絶対に必要ではありません。
なぜならシステムの仕事は国内だけでも相当な市場があるからです。
2024年開設予定「工学部・情報システム工学専攻」で学ぼう
麗澤大学では、2024年度に「工学部(仮称)」を開設し、「情報システム工学専攻」「ロボティクス専攻」の2つの専攻を設置することを構想しています。
2050年には人口が90億人を超えると言われており、環境問題、貧困問題、紛争激化など、これから未来に向け課題が山積しています。
そんな次の50年を生きる技術者・エンジニアは、さまざまなスケールの社会課題を理解し、当事者との継続的なコミュニケーションを通じて、適切な解決の糸口を見つけていくと同時に、このプロセスを支援するテクノロジーを提供し続けることが期待されています。
麗澤大学の工学部では、人や社会をテクノロジーと共感で繋ぎ、デザイン思考をもち課題解決ができるエンジニアを育成していきます。
麗澤大学の工学部では下記を目標にしています。
- 工学的知識とリベラルアーツ的素養併せ持つ人材を育てる。
- データに基づく個別教育を徹底し、社会課題を解決することができる人材の育成を徹底する。
麗澤大学工学部 情報システム工学専攻で学べば、デジタルを駆使した課題解決のための技術的知識・経験や研究開発力を備えることで、チームや組織を立ち上げ、多くの人々の力を課題解決に向け引っ張っていくこともできます。
また英語力を磨くことで、国際的に活躍できるシステムエンジニアも目指すことができるでしょう。
まとめ:SEを目指してIT業界で活躍しよう
日々進化していくIT業界の中では、システムエンジニアはなくてはならない存在です。
しかしながら、業界では人材が不足していると言われています。
より良いシステムを作ることは世の中を変えるきっかけになるかもしれません。
求められるスキルを身につけて、最先端の業界でグローバルに活躍できる人を目指しましょう!