工学部
2023.09.21|最終更新日:2023.09.29|

【後編】今の時代ほど未来が予測できる時代がないからこそ、早めに自分の素質を見出そう

【後編】今の時代ほど未来が予測できる時代がないからこそ、早めに自分の素質を見出そう

大学卒業後、リクルートなどの民間企業で、エンジニアから都市計画の研究職まで数々の職種を経験された宗先生。2024年度新設の工学部工学科情報システム工学専攻教授に就任されます。後編では、情報システム工学を学んだ学生が社会でどのように活躍できるか、そして、そのための麗澤大学での4年間の学びについて、宗先生の熱い想いを伺いました。

目次

    「情報」を学ぶ学生が目指す進路とは?

    麗澤大学の工学部には、情報システム工学専攻と、ロボティクス専攻の2つが設置されます。私が関わる情報システム工学専攻では、データサイエンスやシステムの企画・開発を通じて人々の生活やビジネスの課題を解決するエンジニアを育てることを目指して、カリキュラムが設計されています。

    • 情報を学ぶ学生の進路は、ざっくり大きく分けると、3つの分野があると思っています。1つ目は、プログラマーです。ひたすらパソコンと向き合ってプログラミングをするというすごく細かい作業が好きで、一人で黙々と物事に取り組みたい人には、とても向いていると思います。実際、スキルの高いプログラマーは20歳代でも年収が1000万円を超えるケースがざらにあります。できる人とできない人とでは、プログラミングの生産性は何倍も違うと言われていて、能力と実績次第で年収はどんどん上がっていきます。このプログラマーは、情報分野の職業としては、一番ベースの部分を担います。

    2つ目は、マネジメント、システム開発のプロジェクトを引っ張っていくリーダーの仕事です。麗澤大学の工学部では、工学部らしいテクノロジーの知識を学びつつ、それを活用するためのマネジメントや社会の仕組みを学ぶようにカリキュラムが設計されています。テクノロジーをどう課題解決に活かしていくのか、そのためにどうやってチームをつくっていくのかといったことも、1年次生からあるゼミナールを通じて身につけていきます。

    3つ目は、近年増えてきた、情報やデータを分析・解析することで新しい知見を引き出す、データサイエンティストです。スマホアプリの利用状況、通販サイトの購入履歴、携帯電話の位置情報、企業の売り上げデータなど色々なデータを分析して、分析結果を課題解決につなげ、それをわかりやすくプレゼンテーションすることができるデータサイエンティストは、最近とても脚光を浴びています。人数ベースでいうとまだまだ圧倒的にプログラマーの方が多いのが現状ですが、データサイエンティストのニーズは拡大しています。ただし、ちょっとした分析結果を見るだけで、一発で力量がわかってしまう、良くも悪くもごまかしがきかないシビアな職種です。また、データサイエンティストにも、ひたすら分析する人から、組織をまとめるコミュニケーション力が高い人など、色々な役割があるので、全部同じ仕事というわけではありません。

    今は、Pythonに代表されるようなプログラミング技術が必須ですが、いずれExcelのようなアプリでもかなりのデータ分析ができるようになるでしょう。私のゼミでは、最先端のデータ分析手法を追求するというよりは、基本的なソフトを使ったデータ分析の基礎をしっかり教えようと考えています。

    明確な未来を描ける今だからこそ、一人ひとりの素質を伸ばしたい

    新型コロナウイルス感染症の流行後、世の中は目まぐるしく変わっていると言われていますが、個人的には今の時代ほど未来が予測できる時代はないと思っています。例えば、人口の将来予測もかなり正解にわかるし、来年どこまで日本経済が良くなるか、悪くなるかも推測することができます。今の若い人が一生の間にどのぐらいお金を稼げるかも、精緻に予測できるようになっています。学歴の年収効果なども、はっきりデータとして見えています。

    • 未来が予測できるようになったのは、ものすごい量のデータが収集されるようになり、それを分析する手法が発達したことと、なにより大きな戦争が起きなくなったことによるのではないか、と私は感じます。第二次世界大戦が終わってから、紛争や戦争がなくなったわけではありませんが、先進国では比較的平和な時代が続いています。ロシアのウクライナ侵攻を見ればわかるように、戦争は一瞬で社会を崩壊させます。一方、地震や火山の噴火といった自然災害も社会に大きな影響を与えますが、今の社会は災害に対する耐性と復興できるだけの弾力性を持っています。未来が予測できない時代と言われますが、実は最もあり得る未来は、明日は今日とだいたい同じ、来年は今年とだいたい同じなのです。

    麗澤大学に入学される学生の皆さんには、そのことを冷静に伝えつつ、将来のキャリアプランを一緒に考えていきたいですね。人の成長幅、可能性は無限ですが、大学時代に素質をできるだけ伸ばすためには、自分の得意なことに気づくことが、すごく大切だと思っています。「あなたの素質を活かせる分野はどれだろう、私はこう思うよ」と、私のこれまでのキャリア経験の視点から本人に伝えていきたいと思います。それから、私の大学受験の失敗の時の話でポジティブシンキングという言葉を使いましたが、メンタルモデルやグロース・マインドセット、フィックスド・マインドセット、トランザクティブメモリーやキャリアアンカー、エンゲージメントといった企業の人材育成で使われている理論についてもゼミナールで体験してもらい、社会に出るための準備をしっかり行おうと考えています。

    数学が苦手でも大丈夫。基礎から学べる、手厚いサポート体制

    • 麗澤大学は、学生と先生の距離が近いのが何よりも良いですね。まず、先生が一人ひとりの学生の名前を覚えて、小まめに声がけをする文化がある大学です。ここまで面倒見が良い学校は、全国でもそんなに多くないはずです。それに、麗澤大学に来たことのある人はわかると思いますが、木々が茂るキャンパスの中で、のんびりできるのも良いです。のんびりできるということは、肝心な時にしっかりと集中できるということですから。

    2024年、工学部が新設され、麗澤大学はいよいよ文理横断・文理融合型の総合大学として再始動します。ストレートに言いますが、教育機関のスタート1年目2年目の入学は、個人的にはとても「お得」だと思っています。麗澤大学の工学部もその例にもれないと思います。私を含む教員は、高校生の皆さんがご入学されることを心待ちにしています。入学時から、卒業時の就職活動まで「手厚いサポート」を惜しまない気持ちで、お迎えする準備を進めています。

    最後に、お伝えしたいことが1つあります。理系志望だけど数学が苦手だと感じている高校生は、意外と多いと思いますが、過度に心配しなくて大丈夫です。レベルに応じて基礎から丁寧に積み上げていくカリキュラムがあります。入学してから、ばっちり鍛えますので、怖くないですよ(笑)。安心して、テクノロジーの学びの世界に来てください。

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