【前編】石垣島での経験が変えた視点―Link-RUが深めたSDGsの学び

「課外活動と地域連携で未来を拓く」と語るのは、麗澤大学の伊藤さんと久保田さん。起業と国際協力という異なる道を志す二人に共通するのは、自主活動団体Link-RU(リンクル)での石垣市における廃棄物削減への取り組みでした。ホテルや地域との交流を通じてSDGsの視点を育み、自らの成長と社会貢献の手応えを実感しました。前編では、Link-RUの活動内容や石垣市での具体的な取り組みについて詳しく話を伺います。

※取材時、4年次生

※取材時、3年次生
"地域とつながる"をカタチに。Link-RUの挑戦
―自主活動団体「Link-RU」の活動内容を教えてください
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久保田さん:Link-RUは地域に根ざした文化を守りたいという思いから生まれた団体です。当初は失われつつある方言の研究と普及に取り組んでいました。しかし、先輩方の卒業を機に、私たちは以前からご縁のあった石垣市の廃棄物問題に着目し、活動の軸そちらに移しました。美しい自然に恵まれた石垣市ですが、実は深刻なゴミ問題を抱えています。そこで、私たちは地元のホテルパティーナ石垣島と連携し、ペットボトル削減のためのワークショップや海岸清掃などを行いました。地域の方々と協力しながら、持続可能な社会の実現を目指しています。
島と人をつなぐ。Link-RU×石垣市の共創プロジェクト
―石垣市での取り組みについて詳しく教えてください
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久保田さん:Link-RUの相談役である山川和彦先生がホテルパティーナ石垣島とのご縁をつないでくださり、協働がスタートしました。八重山商工高校の生徒とともに、ホテルから出るペットボトルの数を数えたり、ペットボトル削減のためのワークショップを開催したりしました。さらに、観光客の多い商店街やビーチでの清掃活動を通じて、街中や海岸にどれくらいゴミが落ちているのかを調査しました。また、毎日ビーチクリーンを行っている縄文企画の田中秀典さんとも交流し、活動内容について話を伺う機会もありました。
伊藤さん:石垣島は山、海、川が揃う自然豊かな島です。観光地として発展する一方で、住民の皆さんがゴミについてどう考えているのかを知ることが、活動の出発点でした。地球温暖化などの環境問題の一因が、私たちの生活から出る廃棄物にあると感じ、まずは「身近なゴミ」から持続可能な社会について考えるきっかけにしたいと考えました。
「言語の木」が育てた信頼。ホテルとの絆が活動の原点に
―ホテルパティーナ石垣島との連携について詳しく教えてください
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伊藤さん:ホテルを最初に訪れたのは、「言語の木」という企画のためでした。山川先生は、石垣島の方言が失われていくことをとても危惧しており、一方でホテル側も、島の魅力をもっとお客様に伝えたいと考えていました。そこで、方言や世界の言葉を葉っぱの形の紙に書いて壁に貼る企画を立ち上げました。ホテルの方が事前準備から場所の提供まで全面的にサポートしてくださり、とても良い関係を築けました。この信頼関係があったからこそ、Link-RUが石垣島のゴミ問題に取り組むようになった時も、スムーズに始めることができました。石垣島の実状を知って、「ゴミ問題は他人事じゃない」と強く感じました。