【麗澤大学監修】シャドーイングとは、耳から聞こえてくる英語の音声を少し遅れて真似して発音する勉強法です。この勉強法はリスニングや発音の向上だけでなく、読解の際に英文を頭から理解する力も鍛えられる実践的なトレーニング法です。一見難しそうですが、正しい手順とポイントを押さえれば、初心者でも無理なく行うことができます。 そこで、シャドーイングの基本と効果、正しい手順や上達のためのコツ、そして麗澤大学での実践的な取り組みについて、外国語学部の西澤倫先生に解説してもらいました。
シャドーイングとは
シャドーイングとは、耳から聞こえてくる言葉を少し遅れてそのまま真似して話す勉強法です。聞いた後に繰り返す「リピート」ではなく、聞きながら「影(シャドー)」のようにすぐ追いかけて話すことからシャドーイングといわれています。シャドーイングは英語をはじめ、中国語やスペイン語など他言語を学ぶ際にも使用されています。
参考「シャドーイングでリスニング力を強化!正しいやり方を紹介【英語の勉強方法】」(日本速読解力協会/最終更新日:2025.06.04)
シャドーイングで得られる3つの効果
シャドーイングは英語を聞きながら、その音声を真似てそのまま声に出して話すため、難易度が少し高い勉強法です。そのため、前提として自分のレベルに合った教材を使う必要があります。その上で、シャドーイングによって得られる効果は大きく3つあります。
リスニング力の向上
シャドーイングは英語を集中して聞きながら、それを追いかけるように発音して話す勉強方法のため、この勉強を継続すればリスニング力が向上していきます。
リーディング力の向上
シャドーイングを続けると、英語の語順に慣れることができます。これはリスニングだけでなく、リーディングにも効果的です。語順に慣れることで、英語の意味を複数の単語のまとまりごとに理解できるようになるため、英文を自然に頭から読み取る力が身につきます。
発音の向上
シャドーイングは聞こえる音声を真似て話すため、発音の向上も期待できます。特に日本人が苦手とする「英語のリズム」などを身につけることができます。シャドーイングの練習を通して、自分の発音に自信が持てるようになります。
参考「シャドーイングでリスニング力を強化!正しいやり方を紹介【英語の勉強方法】」(日本速読解力協会/最終更新日:2025.06.04)
効果を高めるシャドーイングの手順
ここでは、効果を高めるシャドーイングの手順を紹介します。手順については、一般的に6つの流れがあります。

1.英文を聞く
まずは、ひと通り英語の文章をすべて聞きましょう。その際、「どのようなことを話しているのか」をつかみ、全体の流れを把握しておきます。
2.少し声に出してみる
英文をもう一度聞きましょう。このときは、聞きながら少し声に出してみます。一語一句聞き取れるように集中して聞き、わからない単語などがあるかを確認しましょう。
3.パラレルリーディングをする
パラレルリーディングとは、英語の音声を聞きながらそれと同時に音読をする学習法のことです。まずは英文を読みながら、音声を聞いてみましょう。その際、何といっているかわからなかった箇所を重点的に確認します。ここで知らない単語があれば発音なども確認し、発音練習をしましょう。そして、最終的にパラレルリーディングをしてみましょう。
4.和訳などを見て、内容を確認する
和訳を見て、内容を理解しましょう。内容を理解してからシャドーイングをした方が、効果的です。
5.シャドーイングする
次に何も見ず、声に出してシャドーイングしてみましょう。途中で音声についていけなくなっても焦らずに、次の文から気を取り直して続けます。抑揚なども、なるべく音声どおりに真似しましょう。必要に応じて英文を確認したり、難しい文を練習したりするのも効果的です。難しいようであれば、何回か文章を見ながらシャドーイングしてもOK! 後で振り返るために、録音しておくことをおすすめします。
6.録音を聞いて確認する
英文を見ながら録音した自分の英語を聞いて、発音ができなかった部分、話せなかった部分をチェックします。その際、次のシャドーイングで改善できるように、わからなかった単語や聞き取れなかった部分に印をつけておきましょう。
参考「シャドーイングでリスニング力を強化!正しいやり方を紹介【英語の勉強方法】」(日本速読解力協会/最終更新日:2025.06.04)
英語上達におけるシャドーイングのコツ
シャドーイングのコツは、目的を明確にすることです。それによって「どの教材を選ぶのか」が変わります。目的に合わない教材を選ぶと、自分自身がシャドーイングの効果を実感しにくいため、取り組む際にモチベーションを維持できません。
まずは、目的をはっきりさせることからスタートしましょう。
1.目的をはっきりさせる
シャドーイングは基本的に音声トレーニングのため、主にリスニングとスピーキングの向上に役立ちます。ただしリスニングもスピーキングも、シャドーイングの段階を細分化し、「どの段階を目的にするのか」明確にした上で取り組まなければ効果は減少します。
リスニングの場合はまず音声として認識し、単語、句、節、文、文章というように次第に大きい単位として認識できるようになります。そして、最後は文脈を理解するという段階に至ります。どの段階を強化したいのか、その目的によってシャドーイングの取り組み方や教材選びが決まります。
例:リスニングが目的の場合
音を認識する、単語を認識する、単語を句や節として認識する、文として認識する、文章として認識する、文脈を理解する など
スピーキングの場合も発音、流暢性、言い回しなど、シャドーイングの目的によって要素が細分化されます。リスニングと同様に、どの要素を強化したいのかを明確にすることによって、シャドーイングの取り組み方や教材選びが決まります。
例:スピーキングが目的の場合
発音、流暢性、言い回し など
2.自分のレベル・目的に合った教材を選ぶ
例えば、大きな目的をリスニングとする場合、シャドーイングは音声認識に効果的だといわれています。具体的には、「音の認識」「単語の認識」の段階によいとされています。そのため、はじめは学校の教科書レベルの教材を選ぶことをおすすめします。
その理由は、映画のようなネイティブが話す英語を教材にした場合、自然で流暢すぎるがゆえに一般的な日本人にとってはレベルが高すぎるからです。すると、自分が知っている英語と聞いている英語が一致しない現象が起こり、理解が追いつかなくなります。
・音の認識
次の3つの例を母語が英語の人が話すとき、単語の音が自然につながって、発音が変化します。この発音の変化を「リンキング」といいます。このリンキングが起こった場合、単語や文として認識することが難しいことが多々あります。
教科書やリスニング教材を聞きながら、例01~03のような音の変化に注意しましょう。文章を見ながら聞くと音がつながって発音されていたり、「t」が発音されていなかったりしていることに気づきやすいです。
ただし、学校の教科書は基本的に例01~03に挙げた3つについて音変化が少ない(Wagner, 2014)ともいわれており、教科書を使用して「音の変化」を学習するには限界があります。
例01 I like it.:likeとitが合わせて発音される
例02 just now:justの"t"が発音されない
例03 I miss you.:missとyouが合わせて発音される
・文法構造の把握
ほかにも、リスニングにおいて「文法構造」の把握を目的にシャドーイングを活用することも考えられます。そうすると、意味のまとまりが理解できるようになります。そういう場合も、学校の教科書レベルだと自分が知っている英語と耳から聞こえてくる英語とを一致させることができるため、教材の選択肢の1つにしてもいいでしょう。
教科書を使う場合は、新出の文法や表現を意識してシャドーイングしましょう。文法などに意識を向けることで、その文法の定着が促進されます。
3.単語や文法を理解してからシャドーイングする
知らない単語があると、シャドーイングをしても意味はもちろん、品詞もわかりません。そのため、主語が何であるのかなど、文法上の機能を判断できません。文法の理解を目指すのであれば、単語や文法をきちんと学んだ上でシャドーイングすることが大切です。
そう考えると、シャドーイングにはすでに単語や文法を理解している既習の教材が一般的に適しているといえるでしょう。自己学習としてシャドーイングをするのであれば、教科書にある文章の方がより単語や文法の理解を深められます。
シャドーイングを取り入れる前の注意点
次に、シャドーイングを取り入れる際の注意点にはどのようなものがあるか紹介します。
英語の初心者は速度に注意する必要がある
シャドーイングは中学生でも取り組むことが可能です。それは、中学生の教科書の音声はゆっくりしたスピードだからです。シャドーイングは使用する教材が学習者のレベルに合っていれば、中学1年生でもできます。
ただし、音声スピードがゆっくりであるほどネイティブが話す英語とはかけ離れ、音声としては不自然であるデメリットがあります。一方で、単語や文法を学習する観点では自分のレベルに合った内容を反復することになるため、英語の基本を習得するのに役立つと考えられます。
また、シャドーイングは認知負荷が高いため、初心者は教材を正しく選んで、短くゆっくりした音声でやるのが適しています。ここでの認知負荷とは、情報を理解したり覚えたりするときにどれだけ頭を使うかということを意味します。
シャドーイングする時間の確保が必要になる
シャドーイングにはそれを実行するための時間が必要です。受験生にはやるべき勉強が多くあるため、他とのバランスを考えながら時間を確保することが重要です。どの程度の時間をどのくらいの頻度でやるのかは、シャドーイングの習得目標の設定次第です。
ただ、シャドーイングは歩きながらでもできます。例えば、毎日の通学の時間を利用し、自宅から駅までの間でもシャドーイングを取り入れることができます。無理なく続けられるように、1人で集中できるスキマ時間を確保するといいでしょう。
シャドーイングが有効な3つの理由
ここでは、さまざまな側面からシャドーイングが有効な理由について説明します。
英語のリズムを体で覚えられる
英語は日本語のリズムとまったく違うため、英語のリズムを身につけるのは難しいことです。シャドーイングは聞いた音声を真似することを繰り返すため、英語のリズムを体に覚えさせることができます。そのためには、なるべく忠実に音声を真似することが重要です。
英語を発音するための筋肉が鍛えられる
シャドーイングによって発音がよくなるのは、英語を発音するための筋肉が鍛えられ、日本語とは異なる口の筋肉の動きに慣れるからです。英語と日本語は口の使い方が違い、口まわりの筋肉の使い方も異なります。そのため、シャドーイングを通じて口全体を繰り返し動かすことで、体が自然に英語を話す動き方を覚えていきます。シャドーイングによる発音強化の効果は高く、何も意識せずとも瞬時に正しい発音ができるようになります。
しかし、これには発音の指導が欠かせず、シャドーイングだけでは思ったほど効果は期待できません。英語を話す口の動きを定着させるためには、発音指導を受けることを前提に、シャドーイングが有効だといえるでしょう。
語順や文法も頭ではなく感覚で身につけられる
日本人の場合、通常は英語の文法や語順は学習しながら頭で理解します。しかし、シャドーイングを繰り返せば、英語のSVO「主語→動詞→目的語」という語順を頭で考えなくても感覚的に体で覚えることができます。その結果、英文の各要素を意味の塊として捉えながら、頭から訳せるようになります。
また、シャドーイングは発音だけにとどまらず、スペリングの上達にもつながります。例えば、LとRの発音の違いがわかれば、英語の音声と単語のスペル学習が紐づき、スペルミスを減らすことにつながります。
※ここまでの説明は研究者によって見解が異なる場合もあります
麗澤大学外国語学部もシャドーイングを取り入れる
麗澤大学外国語学部では、シャドーイングを取り入れた教育をしています。例えば、AIを搭載した語学学習システム「CaLabo® MX」が導入されており、学生は授業外でも無料で利用できます。このシステムを使えば、自宅でパソコンやスマホを使ってシャドーイングができます。録音機能がついていますので、自分で振り返ることも可能です。
また、麗澤大学には英語学習ができる施設「ラーニングコモンズ」もあり、その中の「iFloor」は英語を中心とした外国語の多機能セルフ・ラーニングスペースです。このスペースは学生が自主的に自由に外国語スキルを磨ける場所になっています。
フロアーは活動内容ごとに7つのエリアに区切られています。「iLounge」では、多国籍なグローバル教員や留学生と、空き時間に気軽に会話を楽しみながら外国語の運用能力を高めることができます。また、「Writing Center」では、グローバル教員から1対1、または少人数で英作文指導を受けることができます。

学生スタッフも常駐しており、利用者のコミュニケーションやアクティビティをサポートしています。「iFloor」では先輩から後輩への学びの助け合いが行われ、学生にとっては、なくてはならないスペースになっています。
麗澤大学公式サイト:「施設紹介 その他施設・設備、ラーニングコモンズの紹介」
麗澤大学公式サイト:「iFloor 施設紹介」
オープンキャンパスで外国語学部向けワークショップも体験できる
過去のオープンキャンパスでは、シャドーイングのワークショップも開催されました。2024年には、外国語学部のワークショップ「ICTでシャドーイング体験!」で「CaLabo® MX」を使ったシャドーイングが実施されました。
麗澤大学公式サイト「オープンキャンパス」
【麗澤大学 外国語学部・西澤倫先生】

職名:助教
学部/学科:外国語学部外国語学科
専門分野:応用言語学
研究テーマ:言語評価=特に大規模テストの妥当性、心理言語学=特に外国語訛りのある英語を聞き取る能力の獲得、教授法
プロフィール参考
https://www.reitaku-u.ac.jp/about/teachers/language/1777195/


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