大学の授業
2020/01/22

<大学の授業シリーズ> 【後編】求める速度は、アナウンサーレベル。少人数授業でマンツーマン徹底指導!中国語を生涯の武器に

<大学の授業シリーズ> 【後編】求める速度は、アナウンサーレベル。少人数授業でマンツーマン徹底指導!中国語を生涯の武器に
齋藤 貴志
外国語学部 中国語・グローバルコミュニケーション専攻 専攻長
専門分野は中国語学、中国語教育。麗澤大学外国語学部中国語学科卒業、東京外国語大学大学院博士前期課程修了。現在は麗澤大学外国語学部外国語学科准教授、中国語・グローバルコミュニケーション専攻の専攻長を務める。
目次

    速さだけではない! 息つぎや音の上下などリズム感も大切に

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    (前編はこちらから)

    第三者として授業を取材する立場から、「速読」を指導する先生と学生たちとの関係性は、確かに厳しく見えました。しかし、それ以上に伝わってきたのが、一人ひとりへの指導の丁寧さ。20名弱という少人数クラスの中で、先生が学生個々に合わせた指摘やコメントでフォローしていきます。ここには、語学では欠かせない、間違いや失敗を恐れず堂々と練習きる空間がありました。速読のタイム計測は、全員に必ず順番が回ります。学生全員が真剣勝負です。

    ただ必要以上に緊張状態があるわけでなく、アットホームな雰囲気が伝わってくるのは、少人数授業で先生と学生たちとの距離感が近く、信頼関係が築かれているからこそ。残念ながら設定タイム以内に速読ができなかった学生に対しては、再度授業中に機会を与えて、なんとか諦めさせない、次につなげる指導をする先生の工夫も見受けられました。

    「授業だけ受けていても、いずれ授業について来られなくなります。事前事後の自学自習は必須です。ある程度練習していないと設定タイムをクリアするのはまず難しいでしょう。毎回、中国語への学習姿勢が問われる厳しい授業かもしれません」(齋藤先生)

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    授業が残り30分に差しかかると、来週に控えた速読のスクリプトを検証。この日は、中国から日本の上野動物園に2頭のジャイアントパンダが来園し、2011年3月に一般公開されたことに関する、実際に中国国営放送で流れたニュース原稿を扱いました。教室には改めてスクリプトの音声が流れます。約12秒で60語、かなり早口で話されているように聞こえます。

    「緩急をつけて話しているよね」「ただ速いだけではないよ、終盤はゆっくりしていたでしょう?」
    「ここは一声、次は三声だったね」。速読だと速さに意識が集中しがちですが、必ず先生は内容の意味とともに話者の息つぎや緩急にも言及。適切に伝わる話し方や聞こえ方ができるように、と解説は丁寧に行われていました。

    ミスをごまかさない。その場の指摘が次へとつながる

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    少人数だからこその良さを改めて垣間見たのが、スクリプトの検証を兼ねて、学生たちが一文ずつ読んで訳す場面でのことです。

    「ん?最後の発音が少しおかしかった。一声、三声だから、もう一度読んでみて?」「この言葉の意味はわかる? わからなかったら辞書を引いてみよう」「辞書は何のためのもの? すぐ調べてください」。指名された学生は、少しずつ回答する機会を与えられながら、詰まったところやうまくいかない点をごまかさず、その場で先生の指導のもと課題を解消していきます。わからないなら辞書をどんどん引かせる。

    わからないから答えを教えるのではなくて、常に学生にはアクションを求め助言を送り、打開策を一緒に模索。少人数体制だからこその良さを肌身に感じる瞬間です。「一語だけを見ないで、フレーズとしてとらえてごらん」「ここは一声と四声。三声じゃないから」「じゃあ、もう一度読んでみよう」「自信を持って発音していいよ、合っているから大丈夫(笑)」「違うよ、口の動きはこう。そう! いいね、それでいいよ」。

    授業を受けている多くの学生たちは、大学で中国語の勉強を始めたばかり。日本語とも英語とも違う、未知なる言語の学習に戸惑う人たちは多いかもしれませんが、先生が授業の最後まで、学生の口の動き、発音の仕方、音の強弱や緩急の確認をしてくれています。間違ったまま流さずに授業が進んでくれるのは、初学者ほど心強いはずです。

    「速読」で突き止めた自らの不足に向き合えるか?

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    一言で「速読」といっても、様々な内容からフォローしながら、発音の安定化を目指し続けます。齋藤先生からは「発音は少し練習したからといってうまくなりません」。よって2年次、3年次にもカリキュラムが組まれているのです。

    実際に受講する学生たちに話を聞くと、「最初は厳しさを感じたけれど、少しずつできるようになっていることを実感できている」、「外部の施設などで中国語の店内放送が流れると、その内容が聞き取れるので、嬉しくなる(笑)」など、少しずつ授業の手応えを口にしています。

    すかさず齋藤先生からは「これで満足してもらったら困ります(苦笑)」と注意が。「嬉しい気持ちはよくわかります(笑)。でも、目指してほしいのは、きちんと使いこなせること。ネイティブのニュースだと、1分間に250〜300語は話されています。ゆっくりだと聞ける、ゆっくりなら発音できるのは、いわば当然です。相手はリズムを持って、スピードを選ばずに話します。そこに対応するためには、1年次からしっかりと鍛錬してほしいのです。

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    速読の練習をやると、速さばかりに集中し、発音への意識が飛ぶので、つい素の状態が出てきます。つまり、現時点での自分に足りない点を速読で洗い出すことができるのです。それをきちんと自己認識して、改めていくことが大切です」。(齋藤先生)

    少人数体制だからこそ、厳しくも一人ひとりに合わせた指導体制によって、麗澤大学では語学学習での成果を生んできました。少しずつ着実に前進できるこの環境を本当に活かせるかどうか?あとは本人の意識と覚悟次第ではないでしょうか。

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