教職員
2019.09.23|最終更新日:2022.06.21|

【後編】自分が元気になるために、好きなことをたくさんしましょう!

【後編】自分が元気になるために、好きなことをたくさんしましょう!
清水 麗
外国語学部 外国語学科 中国語・グローバルコミュニケーション専攻 教授
中国・台湾の近現代史を研究するかたわら、東日本大震災で町の様子が一変した宮城県の漁師町での漁の手伝いや、子どもたちが自然との共生を学ぶ体験プログラムの立ち上げなど、被災地での活動を行う。週末は宮城で過ごし、平日は大学の授業や研究に励む二拠点生活を送る。「世界は人間だけのものではなく、皆のもの」との想いから、動物と人間が共存する世界を叶える第一歩として、ヤギとも暮らす。「ヤギはとても利口です。人間に寄り添いつつも、プライド高く生きています。人間が動物や自然の力を感じながらどう生きていくかを、ヤギと山歩きをしながら学んでいます」。
目次

    温度のある言葉だからこそ面白い。「もっと話したい!」と思えれば上達する

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    中国語は、小さい声でモゾモゾと発音していても、いつまで経っても話せるようになりません。とにかく大きな声で、たくさん喋ること、これが中国語上達の一番の近道です。もちろんピンイン(発音表記)通りに話せることも大事ですが、早い段階から中国語のリズムを感じながら話すことを意識してみましょう。

    もうひとつの大事なポイントは、言葉に感情をのせて話すことです。私は授業で、よく「語学の勉強は演劇と同じだよ」と言います。私からすると、学生がテキストを読む時に棒読みになってしまうのが、すごく不思議なんですね。だって、感情があるから言葉が出るわけでしょう?

    言葉に温度があるから、意味が伝わる、心が伝わる。テキストだって、どういう状況でこの言葉を使うのかなとイメージしながら「アイヤー!」と言わなければ、中国語を話すことにならない。第一、全然面白くないです(笑)。中国語は、テキストをすらすらと読めるのが楽しいのではなく、中国語で自分を自在に表現できるのが楽しい。そうなるためには「発音が上手くなってから」ではなく、「你好(ニイハオ)」から、情景を思い浮かべながら感情をのせて、抑揚たっぷりに中国語を話しましょう。そのほうが面白いし、「中国語を喋るのが楽しい、もっと喋りたい!」と思えるようになります。そこからはどんどん上達して、中国語を自分のものにできますよ。ためらわずに、中国語で自分をどんどん表現していきましょう。

    ハイレベルな授業を受ける条件は、学生自身がレベルアップすること

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    授業のレベルを決めるのは、学生と教員の「おもしろがりレベル」の相互作用。もし学生の側が、わかりやすいものだけ、受け入れやすいものだけが目の間にくるのを待っている状態であれば、教員はそれに合わせて「受け入れてもらえそう」なものを提供するだけにするかもしれません。それでは、お互いに「やる気レベル」は下がってしまう。

    授業のなかで、あるいは授業以外の会話のなかで、時間をかけ、学び合うことをおもしろがる。教員は、自分のテーマをおもしろがって研究してばかりいるわけですから、点数や成績の競争ではなく、学生も教員もそれぞれがおもしろがっているうちに行き着ける世界を体験してほしい。その遊び心がないと、授業から得られるものは、用意されたテキストに載っていることだけになってしまいます。

    せっかく大学の授業を受けるのに、もったいないと思いませんか?大学では「教えてもらう」という受け身の姿勢ではなく、自分から「掴みに行く」姿勢で授業に臨んでください。

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    たとえば、学生が授業の前に、テキストはもちろん、テーマに関連する書籍も数冊読みこんで、十分な知識と、自分なりの意見や疑問点を持って教室に入る。そして「さあ、先生や仲間とおおいに議論して、何かひとつでも新しい発見を掴み取ろう!」という意気込みで授業に臨んだなら、先生も学生に感化され、今まで以上の知識を共有し、素晴らしい授業になるでしょう。

    学生が挑んで先生が応える、先生がさらに高いレベルで挑み、学生が応える――そんな風に、学生と先生の掛け合いによって学び合う時間が創られていく、それでこそ大学の授業です。大学の授業は先生だけが創るものではありません。学生も一緒に創り上げていくものだと私は考えています。

    二者択一しなくていい。どちらも大切なら両方選んじゃいましょう!

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    私は高校時代、ソフトボールが大好きで、大学には行かないでソフトボールを続けたいと思っていました。しかし周囲の反対もあり断念、大学進学を決めました。つまりソフトボールをやめてしまったんです。「どちらかを選ばなくてはいけない」と思い込んでいたんですね。

    でもやっぱりソフトボールが大好きだったので、大学で再開。ソフトボールはインカレ(インターカレッジ:全日本学生選手権大会)に出場したり、社会人のクラブチームを結成してプレイを続け、研究生活とどっちが本業?状態でした。この時、やりたいことを両方やることは、忙しくて大変になるのではなく、体も心も元気になるんだと気づきました。そこで、皆さんに伝えたいのは「二者択一」しなくていい、両方大事なら、両方選んじゃおう!ということ。

    やってみれば何とかなるものだし、何とかすることができる。やってダメなら、そのときまた考えればいいんです。そんなわけで私は今も、研究のかたわら、宮城県の被災地で、漁師さんの漁や子どもたちの自然体験プログラムのお手伝いなどをしていて、宮城へ行ったり来たりの生活。シーカヤックも好きで海にもよく出るし、ヤギを飼っていて(笑)、一緒に山を散歩する時間も欠かせません。好きなことは全部やる!私が一番大事にしていることです。

    どうして好きなことをたくさんやるかといえば、自分が元気になるためなんです。元気でなければ、学生の前にも、漁師さんや子どもたちの前にも立てない。皆さんだって、疲れている、やる気のない先生の授業なんて、受けたくないでしょう(笑)。心と体が元気なら、勉強も仕事も苦にならないし、良い選択もできる、人を元気にすることもできます。だから、皆さんも「仕事があるから、勉強があるから」などとあきらめずに、自分が元気になること、好きなことを欲張って、自分を元気にしてあげてください。元気が一番です。

    大学で好きなこと、本当に大切なことを見つけて、ずっとやり続けてほしい

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    よく「目標を持ちましょう」などと言いますが、私は、目標を持たない生き方もあると思うんです。「目標」は見えるもので、見えるものを目指してもつまらない。それより、自分が本当に好きなこと、大切なことを見つけて、ずっとやり続けていくほうが、よっぽど面白い。どこに行き着くかはわからなくても、好きだから楽しいから、もっと知りたいからと、その道をひたすらに進んでいけば、自分の思いもよらないような、素晴らしい体験をたくさんできますから。

    私は教員として、皆さんが好きなこと、大切なことを見つけるための種を、たくさん蒔きたいと思っています。もしかしたら、種は皆さんの中にすでにあって、今はまだ、眠っているだけかもしれません。大学でたくさんの人たちとふれ合い、刺激し合う中で、種が芽生え、未来に向かって伸びていくのを、私も楽しみながら見届けたいと思います。

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