卒業生の活躍
2019.11.19|最終更新日:2022.06.15|

【後編】パイロットとして世界を飛び回る。人生の選択肢を広げ、夢も叶えることができた。

【後編】パイロットとして世界を飛び回る。人生の選択肢を広げ、夢も叶えることができた。
座波 明彦
エアアジア・ジャパン株式会社 (AirAsia Japan Co., Ltd.) 副操縦士
[外国語学部 英語学科(現在の外国語学科 英語コミュニケーション専攻 / 英語・リベラルアーツ専攻)2006年3月卒業]
沖縄県出身。麗澤大学在学中、単身アメリカにてパイロットの免許を取得。帰国後、専門学校にて日本の免許を取得したのち、現在はエアアジア・ジャパンの副操縦士として勤務。将来的には国際線を中心とした機長として、世界各国を飛び回ることが夢。
目次

    英語力がパイロットへの道を開いてくれた

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    卒業後の進路は、やはり幼い頃からの夢であったパイロットになるために就職活動を始めました。当時知られていたパイロットになるための道は、大手航空会社へ自社養成のパイロット訓練生として入社するか、省庁大学校であるパイロット養成の航空大学校に入学するかの二択でした。そのため迷わず両者とも目指しました。けれども、結果的に前者の採用試験は不合格、後者の入学試験は受けられませんでした。

    実は、大学に進学するにあたって、親と教員免許を取得することを約束していたので、そのための勉強も続けていましたが、航空大学校の受験日と教育実習の日が重なってしまったんです。教育実習をやめてしまうと、実習校に迷惑をかけてしまうため、できませんでした。そのため残念でしたが航空大学校の試験は断念しました。しかも航空大学校への受験資格には年齢制限があり、私にとっては最後のチャンスでもありました。つまり、この段階で私に航空大学校に入る選択肢はなくなってしまったのです。

    夢への道を断たれたとはいえ、諦めきれずにいた私は、一般企業への就職活動を続けながら、何か別の方法はないかとずっと調べていました。

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    そんな中、自費でパイロットの免許を取得する方法があることを知ったんです。車でいう自動車学校のような場所です。日本で通うと費用がかさみますが、アメリカで取得すると日本で免許を切り替えなければならない手間はありますが、短期間でしかも安く取得することができるようでした。大学ではきちんと英語の4技能を身につけることができていたので、躊躇することなくアメリカで取得することを決めました。

    決断後は就職活動を休止し、4年次の春夏冬の3回の長期休暇を利用して、パイロット免許取得のため渡航しました。
    全てアメリカの免許で、1回目が自家用免許、2回目が飛行の際に雲に入るための資格などを含む特殊免許、3回目が事業用免許(プロ用)を取得するため渡航。何度も渡航するのは大変でしたが、何とか、大学在学中にパイロットの資格を取得することができました。あの時、英語やアメリカへの渡航に抵抗感がなかったこと、そして何よりその決断ができたこと、夢を諦めなかったことで一度は閉ざされたパイロットへの道が開けました。

    麗澤大学を卒業後は、在学中にアメリカで取得した免許をベースに、日本の免許を取得することと、実際に仕事として必要な飛行経験(時間)を積むために、2年間専門学校に通い、その後パイロット訓練生として就職することができました。

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    現在は、副操縦士としてエアアジア・ジャパンで働いています。飛行機のパイロットは、タクシーの運転手さんと同じような仕事です。しかし、タクシーとの大きな違いは機長と副操縦士の二人で協力して飛ばすことです。基本的には機長が飛行機を操縦し、副操縦士はそのサポートをします。サポートとは管制官とのやり取りや、飛行機のスイッチ類の操作などがそれに当たります。言語は基本的に英語を使用し、管制官とのやり取りだけではなく、パイロット間の操縦に関する事も同様です。また飛行機に関する書類も基本的に全て英語になります。


    パイロットが使う英語は、会話はもちろん、読み書きも必須です。と言うのも、一緒に飛ぶパイロットは日本人だけとは限らないからです。因みに前社では半数以上が外国籍のパイロットでした。そのため、即座にメモして人に渡す時も英語でなければならない時もあり、網羅的な英語を瞬発的に使える必要があります。そういった意味でも、麗澤大学での学びはとても今の仕事に活かされています。学生時代に学べていなかったら今とても苦労していたかもしれませんね。

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    夢であったパイロットになることができ、改めて感じるこの仕事の魅力は、様々な地域に行けること。沖縄出身なので、昔からどこかに行く時は必ず飛行機を利用していました。空から色んな景色を眺めながら、様々な場所へ行けることが本当に楽しかったんです。それは今も変わりません。旅行が大好きなので、仕事以外でも休日は飛行機に乗って様々な場所に訪れ、飲み歩いたり現地のグルメを楽しんだりしています(笑)

    それとは反対に、大変なのが資格の維持です。パイロットは一度資格を取れば一生有効というものではなく、定期的な審査があります。

    考えることをやめないで行動してほしい。選択肢を増やすとゴールに近づける

    それを通過できないと資格が無効化され、その期間仕事ができなくなってしまうという厳しい世界です。実際に落ちてしまう人もいるので、継続的に勉強をして行かなければならないのが大変ですね。海外に興味のある高校生や、これから夢に向かう若者には、考えることをやめず、行動し続けてほしいと思っています。目標に向かって諦めずに、目の前のことをきちんと続けていれば、常に新しい可能性が生まれていきます。私もパイロットを目指す過程で、常に考えることをやめずに進んできました。

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    そのおかげで、一度は閉ざされたパイロットへの道が開かれましたし、もしパイロットになることが叶わなくても他の選択肢に進むためのスキルを得ることができていたと思います。

    夢や目標は必ず叶うとは限りません。

    しかし、考えることをやめずに行動し続ければ他の目標や新たな夢が生まれたり、軌道修正をすることもできます。パイロットという職業もまさにそうで、飛行機に何かトラブルが発生しても決して諦めてはいけません。
    たくさん人の命を預かっているので、プランAがだめならBを、と常に冷静に考えていくことが大切なんです。その心構えがあれば何かトラブルが発生したとしても、「人の命を守り、安全に目的地まで届ける」という最終目的を達成することができます。選択肢を増やしていくことができれば、必ずゴールに近づくことができるんです。

    最後にもうひとつ。人とのつながりを大切にしてほしいと思います。私は多くの人に助けられてここまで来ることができました。高校を休学して留学に行った時や、パイロットになる手段が絶たれた時も、たくさんの人が温かい励ましで支えてくれました。そのおかげで今があります。皆さんも、出会う人を大切にし、目標に向かって諦めずに行動を続けてほしいと思います。

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