卒業生の活躍
2020.10.30|最終更新日:2022.06.15|

海外で活躍する日本人の強みと、海外移住への思いとは?麗澤大学卒業生へインタビュー

海外で活躍する日本人の強みと、海外移住への思いとは?麗澤大学卒業生へインタビュー

麗澤大学卒業生には海外で活躍している方もたくさんいます。今回はそういった海外で成功している方の中から、PPCBankジャパンデスクの小菅義之さんにお話をお伺いしてきました。 大学ではドイツ語を学んでいましたが、そこから海外留学の経験を活かして現在はカンボジアでお仕事をされています。 中学2年生から大学に入学するまでを不登校で過ごした小菅さんならではの、深い体験談をお話していただきましょう。

小菅義之
PPCBankジャパンデスク(カンボジア・プノンペン)
[外国語学部 ドイツ語学科(現在のドイツ語・ヨーロッパ専攻)2004年3月卒業]
千葉県野田市出身。 日本とはまるで異なるドイツパンの存在に驚きを覚え、本物のドイツパンを現地で食べる夢の実現のためにドイツへ留学。 現在はカンボジア首都プノンペンにある商業銀行PPCBankの日本人向け窓口に勤務。カンボジア国内の日系企業や駐在員だけでなく、日本からカンボジアを訪れる投資家や短期滞在者にも日本語で安心して利用できる銀行窓口として業務に従事している。座右の銘は「Du bist, was du isst(ドイツ語で「食べたものが身体になる」の意)」。
目次

    目標とやる気が大事! 学びの場所は学校だけではなかった

    • P_20200912_134411_vHDR_On.jpg
    • 現在は日本人のお客様や日系企業様の担当として毎日たくさんのお客様のご案内を対面やメール等でご案内させていただく仕事をしていますが、実を言うと、私は昔いわゆる不登校生として、中学1年生の2学期頃から大学入学までの間、長い「ひきこもり」生活をしていました。小学生の頃までは先生の言うことをよく聞く優等生タイプの児童でしたが、中学校にあがると自分よりも勉強や運動が優れている人たちに囲まれ、周りと自分を比べてしまい自信をなくしてしまったんだと思います。

    学校に行かなくなってからは、図書館へ行って本を読んだり、家でゲームをしたりして、外の世界や他人との関わりの少ない毎日を過ごしていました。そんなある日、まだめずらしい存在だったインターネット端末が地元の図書館に導入されたので試しに触ってみたところ、「世界中のパン」について紹介されたウェブサイトを見つけたんです。そこでドイツは世界一パンの種類が多い国で、600種類以上ものドイツパンがあるとの情報に驚きを覚え、その瞬間から本物のドイツパンを現地で食べることが自分の目標となりました。

    • パンを「作りたい」というよりは「食べに行きたい!」という想い。サッカーワールドカップ強豪国としてのドイツや、中世ヨーロッパの世界観への憧れも強かったため、この頃からドイツに興味を持っていました。

      目標が明確になることで、それまで本気で取り組めていなかった勉学に興味を持ちはじめ、通信制高校に通いながら大学受験の勉強を開始しました。
       麗澤大学は国際交流や語学教育に定評がある大学として外国語学科(当時は英語学科)が人気でしたが、私はドイツに大変興味がありましたので、外国語学部ドイツ語学科を第1志望とし、晴れて合格、大学入学を果たしました。

    • IMG_1311.JPG

    やればやるだけ自分の実力に。努力が実を結んだ大学時代

    • P_20200912_134113_vHDR_On.jpg
    • 麗澤大学のドイツ語学科(現在のドイツ語・ヨーロッパ専攻:以下、ドイツ語学科)は、ドイツ語を一から学び始めた私にとって、やればやるだけ自分のレベルアップにつながる最高に理想的な環境でした。厳しくも優しい先生方の指導のもと、基礎的な文法から会話をはじめとした実践的なドイツ語学習に朝から晩までどっぷりと勉強漬けの毎日。山のような宿題にも追われながら、授業についていくにも必死でしたが、素晴らしい学友らにも恵まれ、競い合いながら、確実に自分の語学力は伸びていきました。1年間勉強して2年次に進級する頃にはクラス全員が確実に語学力を身につけていました。

    2年次後期からは1年間のドイツ・イェーナ大学への交換留学を経験。留学直前の夏休みに参加した語学研修では、それまでに身につけていた語彙や文法の知識を活かしながら、本格的にドイツ語を話すための猛特訓をしました。麗澤大学入学から一貫してとにかくドイツ語や外国文化の学習ばかりの毎日でしたが、不思議と辛いとは思わず、学ぶ喜びをひしひしと感じていました。

    留学中は、現地の方々とひたすらコミュニケーションをとる生活を送っていました。学生寮では、政治経済を学ぶドイツ人学生と同じ部屋で暮らしながら、ドイツ人の友達や留学中の日本人の仲間と一緒にガチョウの丸焼きやピザ、ケーキなどを作ってよくパーティーをしていたのも楽しい良い思い出です。

    • また、留学先のイェーナ大学にはドイツ人だけではなく周辺の国々(ポーランド、チェコ、クロアチア、イタリアなど)の学生や、年が少し離れたドイツ人学生も同じキャンパスに学びに来ていたので、国籍や年齢など関係なく交友関係を築けたことはとても貴重な経験となりました。当時からドイツでは、アニメや漫画、テレビゲームなど、日本発のサブカルチャーに興味を持つ人も少なくなく、日本人というだけで話が盛り上がりました。「日本人」というブランド力に気づくことができたのは、当時の経験も大きく影響しています。
       帰国後は、その頃に新しく赴任された山川先生のゼミナールを志望しました。山川先生は社会経験が豊富で、さらに考え方も柔軟で一味違った視野を教えてくれる非常におもしろい先生です。

    • IMG_0958.JPG

    山川先生は言語政策や比較文化などの研究をされており、大学ではドイツ語の授業を担当されていらっしゃいますが、それにとどまらず様々な分野に精通されていて、交流も広く、活動範囲はドイツ語圏にとどまりません。先日には、タイで活躍する麗澤大学卒業生および麗澤大学に留学していたタイの元留学生らとのバンコクでの同窓会にもお声がけいただき、卒業して何年も経った今でも大変お世話になっています。
     ゼミ活動では、パンをきっかけに始まった私のドイツ語学習の集大成として、ドイツパンに関する文献や様々な資料を集めながら、ドイツを代表するパンであるブレーツェル(めの字型パン)が持つ文化的な役割を調べ卒業論文をまとめ上げました。ドイツ語、そしてパンに対して真面目に一生懸命打ち込めた大学時代は、とても贅沢な時間であり、楽しく有意義な日々でした。

    • P_20200912_134105_vHDR_On.jpg
    • 麗澤大学入学までは「ひきこもり」として過ごしていた私でしたが、入学後はドイツ語学科内のサークル活動(ドイツ語劇、「第九を歌う会」)や学園祭実行委員会、麗澤国際交流親睦会(RIFA:外国人留学生と日本人学生の交流サークル)への参加を通じて、たくさんの友人にも出会うことができ、充実した時間を過ごすことができました。麗澤大学で過ごした時間すべてがかけがえのない経験となっています。生まれて初めて日本を離れ、日本以外の国を知ることができた留学経験を通じて、ひとりの外国人として海外で生活できたこと、日本とは異なる文化や考え方を体験できたことのおかげで、今はどの国に住むにも抵抗がありません。

    日本人のきめ細やかな対応、日本人らしさが海外ではよい影響をもたらす

    • 卒業後は、在学中から参加していた編集プロダクションでの活動を経て、東京の旅行会社に勤めましたが、2012年4月、カンボジア・シェムリアップへの出向を命じられました。2014年10月には同会社のタイ・バンコクの子会社に転勤し、タイ人の同僚らとの現地業務に従事していましたが、カンボジア人の妻との結婚のために2017年1月末に退職し、カンボジア首都プノンペンに移住。同年2月から現在に至るまでプノンペンに所在する商業銀行PPCBankでジャパンデスクのマネージャーとして勤務しています。

    • FB_IMG_1558847359405.jpg

    日本のODA(政府開発援助)による支援も多いカンボジアは親日国で、お客様はもちろんのこと、カンボジア人の同僚ともフレンドリーな関係性の中、、日々助け合いながら仕事をしています。カンボジア人である彼らは英語も流暢な上に金融のプロフェッショナルでもあるので、日々彼らから学ばせてもらっています。カンボジアの人たちは温厚な方が多く、日本人に対してもとても親切です。たとえ短期間の滞在でも人生観が変わるような体験ができる魅力的な国だと思います。

    • FB_IMG_1600400390142.jpg
    • 私が日々の業務でご案内させていただくのはカンボジア在住の日本人の方々や日系企業様が主なため、お客様からはやはり日本と同じスピード感での対応やサポート体制、きめ細やかなサービスが期待されています。日本人として自覚と誇りをもって取り組めば、日本にかぎらず海外での仕事においても良い影響をもたらしますし、そこにはより円滑な人間関係も生まれます。専門的な金融業務はカンボジア人の同僚と協力し合いながら、私は日本人として、きめ細やかな日本人らしい対応で誠心誠意努めることを念頭に置いて働いています。

      海外での仕事は語学と同じで、やればやるだけ自身の成果につながります。

    会社からの評価はもちろん、責任を持った対応にはお客様からの感謝にもつながり、「(ジャパンデスクがあるから)またカンボジアに来るね」とお声をいただけることは大変光栄なことです。学生時代にあれだけ必死に勉強したドイツ語は活かせていないのが少し残念ですが、「論理的に自分の意見を伝えること」の大切さなどドイツ留学で得た価値観は、現在の仕事や日々の生活の礎となって支えてくれています。

    「日本人」としての自分磨きが海外での強みに

    • 日本人が海外に住むこと、海外で働くことはハードルが高いと思っていませんか。ひと昔前とは違い、今や決して難しいことではありません(私のように「ひきこもり」生活をしていた人間でもできているくらいですから)。大学進学を考えている皆さんの中には、海外に興味を持っている人もたくさんいらっしゃると思います。ただ何となく漠然とした思いで海外に行ってみたいと思っている人も少なからずいらっしゃるかもしれません。もちろん若い時には勢いも必要です。海外へ飛び出し経験を積むことはとても重要で人生の財産に直結することだと感じます。

    • FB_IMG_1600400420154.jpg

    私自身は麗澤大学の交換留学プログラムを通じて一足先に海外生活を経験できたことによって、現在の海外生活を始める前に、「日本人としての自分磨き」こそが大切であることを身をもって知ることができました。日本社会の外側にいる人びとが日本人である自分と接する時には、「日本人である私」が求められているのです。日本人の考え方や日本の文化、政治、そして日本人は何を食べて生きているのか。「私=日本人」として意見を求められるのです。自分自身が空っぽの状態で海外へ飛び出してしまうと、相手には何も与えることができません。日本人としての自覚と誇り、責任感を持つことが大切です。そのためには自分自身がより深く日本について知ることがなにより必要なことだと思います。

    • P_20200912_134420_vHDR_On.jpgのサムネイル画像
    •  海外で暮らし働く上では、日本での社会経験も非常に重要な要素となります。とりわけ若いうちは日本で社会経験を積んでおいたほうが良いと思います。日本での社会人生活から学ぶことができる常識やマナー、基本的な仕事のやり方は、海外で働く上でも自分を助けてくれる大切な事柄ばかりです。海外に目を向けながらも日本の素晴らしさを学び、道徳心や勤勉さといった「日本らしさ」「日本人らしさ」を身につけてください。「勤勉で礼儀正しい親切な日本人」として規範を示すことができれば、それが海外で暮らす上でのあなたの強みになるはずです。

    この記事を読んだ方にオススメ

    小菅さんのおっしゃっている「日本人としての自分磨き」は非常に重要なことです。 日本を飛び出して世界中で活躍するなら、日本人としての強みがあるとチャンスの幅が広がります。 海外企業で求められる人材になるため、国際的に活躍できる仕事に就くため、日本人にしかない視点をたくさん持ちましょう。ほかにもオススメの記事をご紹介します。

    <世界に向けた麗澤大学の活動>
    <グローバルに活躍する卒業生>

    SNSでこの記事をシェア