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2021/10/06

【前編】語学スキルとIT・AIスキル。その両方を身につけた人に、活躍の場は開かれる

【前編】語学スキルとIT・AIスキル。その両方を身につけた人に、活躍の場は開かれる

麗澤大学は2020年より「データサイエンス」科目群を全学部に設置し、外国語学部の学生も、IT社会、AI社会に求められる新たな教育プログラムを履修できるようになりました。なぜ、外国語学部の学生にITやAIのスキルや知識が必要なのか?これからの時代、外国語を学ぶ意義とは?外国語学部長の千葉先生にお話を伺います。

千葉 庄寿
外国語学部 学部長
岩手県平泉町出身。東北大学文学部日本語学科言語学専攻卒業。2020年より現職および麗澤大学 大学ITソリューションセンター長。専門分野は言語学、フィンランド語学、自然言語処理、コーパス言語学。「語学オタク」で、これまでに挑戦した言語はフィンランド語のほかに、ドイツ語、中国語、ロシア語、グルジア語、エストニア語、韓国語、サンスクリット語、古典ギリシャ語、ラテン語、スペイン語、イタリア語、フランス語など数知れず。「前世はパンダだったかもしれない」と思うほどパンダが好き。
目次

    社会で大活躍の「自然言語処理」技術は、言語と密接な関わりがあります

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    • ITやAIの発達によって、膨大かつ多種多様なデータを瞬時に処理できる時代が到来しました。データをコンピュータで処理・分析し、活用することをデータサイエンスと言い、麗澤大学では今年度より外国語学部を含め、全学部・全専攻でデータサイエンス科目群履修できるようになりました。と言われても「文系の私には関係ない」と思うかもしれませんね。でも実は、IT・AIやデータサイエンスは、外国語を学ぶ皆さんにも大いに関係がある学問なですよ。たとえば、人間の話し言葉をテキストに変換したり、テキストを解析して単語に切ったりする際に使われている、コンピュータで言語を処理するため「自然言語処理」という技術は、その名のとおり言語と密接な関わりがあります。

    • 身近なところでは「Google検索」などのWeb検索、自動翻訳、「Siri」や「Alexa」のようなAIスピーカーなどに使われており、皆さんも普段から接する機会があるのではないでしょうか。他にも、インターネット上のテキストや文書を分析し、流行や顧客ニーズなどの有用な情報を得る「テキストマイニング」という手法も、そのツールの裏では自然言語処理技術が大活躍しています。テキストマイニングは言語研究にも活かされています。たとえば、過去から現在に至るまでの書籍や新聞と言った多様なメディアを電子化した膨大なテキストデータ(コーパスと言います)を使って、時代による言葉の変化を研究する例などもあります。

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    トランプ大統領とオバマ大統領の演説の違いを可視化する

    データサイエンスのもつ可能性は広く、語学を学ぶ皆さんも面白く役立てることができます。実際、外国語学部の学生がどのように活用しているか、一部をご紹介しましょう。

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    • ある学生は政治と英語への関心が高く、アメリカ合衆国・トランプ前大統領とオバマ元大統領の演説を「ワードクラウド」という手法を使って比較しました。ワードクラウドとは、テキストデータから出現頻度の高いキーワードを抽出し、重要度に応じて文字の大きさや色を変えて表示するという、データの可視化ツールです。目で見て比較することができ、トランプ・オバマ両氏の演説の特徴や違いがひと目で明らかになります。また、あるコーヒー好きな学生は、明治時代から現代までの日本の新聞記事からコーヒーに関するデータを検索して分析し、日本でのコーヒーブームの変遷を調査した卒業論文を書いてくれました。

    • その結果、今のコーヒーブームが感覚的なものだけではなく、データからも裏づけられることがわかりました。このように、データを観察することで、様々なことが見えてくるというのがデータサイエンスの面白さです。彼ら自身、とても楽しんで取り組んでいました。これらは一例であり、またほんの入り口ですが、面白そうだと思いませんか?語学スキル興味のある分野と組み合わせること、皆さんの可能性は大きく広がるはず。学習や仕事に役立つツールとして、ぜひ使い方を学び、活用してほしいと思います。

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    データサイエンスの素養を身につけ「モノを見る目」を養う

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    • 入学後はまず、キーボードのタッチタイピングから始まりITの基礎を学ぶ「情報リテラシー」を全学生が履修します。スマートフォンでのフリック入力ができるだけでは、社会では通用しません。パソコンやネットワークを活用するために必要最低限のルールやスキルを、ここでしっかり身につけましょう。1年次後期からは「統計学の基礎」「プログラミング」「データ解析の基礎」「機械学習」「AIビジネス」「コンピューターと人文科学」など学びを広げることができます。多様な科目が用意されていますから、皆さんの興味のあるものが、きっと見つかるでしょう。

    一定の科目を履修すると「データサイエンスプログラム」の履修証明書が発行されるので、就職活動にも活かせます。大学生活の4年間で、AIやデータサイエンスが世の中にどう役立っているかを概観し、理解することは、それだけでも大きな意味がありますし、むしろ文系分野にこそ、データサイエンスの知識が生きてくると言えます。

    • ータを見て判断しなければならない場面は、社会のどの分野でもあることです。また、真実かフェイクかわからない情報が溢れる時代、SNSやメディアの情報をそのまま受け取るのではなく、情報をどう解釈し、判断するか。つまり、「見る目」と「調べる手」を養うことはとても大切です。そこには、データと向き合い、データを分析してそこから本当に有益な情報、隠れた特徴を掴み取るというデータサイエンス的な素養が、大きく役立つはずです。

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    AIやIT機器がないと生きていけない!ではなく、それらをツールとして使いこなす能力を身につけて

    ITやAIを活用するためのツールには様々なものがあり、エンターテイメントだけでなく、学習に活用できるものもたくさんあります。たとえば「自動翻訳」も、上手く使いこなせば、皆さんの語学スキルを大きく伸ばしてくれるでしょう。

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    • 今や、外国語学部の先生方も「これはすごい!」と驚愕するレベルの自動翻訳が登場しています。私は学生の頃、辞書の早引きの達人と呼ばれ「すごい!辞書を引く君の手が見えない!」と称賛されたものですが()、自動翻訳のおかげで、もうそのように辞書を引く必要はないかもしれません。その分の時間を節約し、私たちは自動翻訳の翻訳をもとに、英文をさらにブラッシュアップすることができます。より正しく、よりニュアンスの行き届いた、パーフェクトな英文を追求することに全力を注ぐことができるのです。素晴らしいことだと思いますよ。

    外国語を専門に学ぶ学生にとっても、英文のクオリティを上げるために当然活用できるツールですし、効率よく利用すると良いと思います。ただし「使いっぱなし」はいけません。自動翻訳はあくまでもコンピュータによる「予測」であり、精度が上がったと言っても、正解率が上がっただけ。決して完璧ではないからです。

    • 翻訳ツールのアウトプットを見て、間違いはないか、ニュアンスにズレはないか、足りないものはないか使う人が責任をもって確認する必要があり、その作業は恐らくなくなりません。そもそも、出てきたものをそのまま、テストやレポートに記入して提出していては、せっかくのツールを活用したことにはなりません。外国語学部の学生であれば、自動翻訳を鵜呑みにすることなく、その中身を見て理解し、不自然なところがないかを「嗅ぎ取り」、修正する力をつけるべきでしょう。ITやAIに「使われる」のではなく、自らの能力を育てるために、ITやAIを積極的に「使いたおす」ことのできる人になってほしいと思います。

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