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2021.11.10|最終更新日:2022.06.09|

【前編】ダイバーシティにはメリットもデメリットもある。大切なのは、多様性を活かしていくことです

【前編】ダイバーシティにはメリットもデメリットもある。大切なのは、多様性を活かしていくことです

麗澤大学国際学部の開設と同時に本学に着任された内藤先生。国際学部が開設されることを知った時は「私にうってつけの仕事!ぜひここで学生と一緒に勉強したい」とピンときたそうです。そんな内藤先生へのインタビュー前編では、先生の学生時代のことや、研究テーマである「ダイバーシティ・マネジメント」についてお話を伺いました。

内藤 知加恵
国際学部 グローバルビジネス学科 助教
早稲田大学大学院国際情報通信研究科修士課程。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程。博士(商学)。専門分野は「ダイバーシティ・マネジメント」。5歳の娘の育児に奮闘中。
目次

    高校までに培った「自分で考える」勉強スタイルが私の強みであり、今も活きています

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    • 私が小学校から高校まで過ごした学校は、とてもユニークで、制服なし、ピアスもメイクも、髪を染めてもOKという自由な校風でした。小学生でピアスをあけている子もいましたし、外国籍の同級生も多く、今振り返ると、多様なバックグラウンドの人たちと一緒に過ごしていたんだなと思います。
      授業も少し変わっていて、一般的な教科書を使わずに先生のオリジナル教材を使って学んでいました。たとえば社会科では、1年かけて「奴隷制度」について学ぶとか。

    • それも、先生の話をただ聞いているのではなく、ヒントをもらってまずは自分で考える。考えた内容は、クラスで発表し、全員で共有、授業の終わりには自分たちで結果を導き出すという授業でした。すべてそのような授業だったので、大学受験の勉強を始める頃は、古文の文法すらわからない状態でした。しかし、これまでに培った「自分で考える」力を発揮し、自らの受験に必要な範囲を必死で勉強しました。大学の学びや社会においては、自分でとことん考え、自分なりの答えをみんなで共有し、そこから発展させていくことが大切になってきます。

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    私が小学校から高校までに培った「自分で考える」スタイルは私の強みとなり、今でも大学で教える際に、目の前の学生に必要な"学び"とは何かを、誰かの受け売りではなく自分で考えるという点で大いに役立っています。

      専業主婦になって気づいた世界。いろんな人を活かす「ダイバーシティ・マネジメント」

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        • 大学は法学部に進みましたが、入ってすぐ、あまり自分に向いていないことに気がつきました(笑)。法律は基本的に争いごとを扱うもので、楽しいことが好きな私の性分には合っていなかったのです。そんな中、少しでも自分に向いていそうな分野を探して、ゼミナールではエンターテイメントと関連のある著作権法について学びました。その後大学院の修士課程に進学し、著作権教育の研究、世界遺産をデジタルデータで保存する活動に関わります。更に就職したNHKでは、コンテンツを生み出す現場を、総務・広報として支える仕事を経験しました。

        • 20代後半で結婚。それと同時に、夫の転勤に同行するために退職し、いったん専業主婦になりましたが、この経験こそが私が研究者を目指すきっかけとなりました。私は、専業主婦を続けるつもりはなく、いつかはまた働きたいなと思っていたのですが、ふと周りを見渡してみると、夫の転勤や結婚出産を機に仕事を辞めた女性が少なからずいることに気がつきました。その中には、私と同じように働きたい気持ちがありながら働くタイミングがつかめない女性もいて、彼女たちのような人材を活かす方法はないのかと考えるようになったのです。

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        • そう考えるようになったことをきっかけに、大学研究者のアシスタントになり、その方から「ダイバーシティ!このキーワード、これから重要よ」というお話を伺い、衝撃を受けました。当時考えていた「いろんなバックグラウンドを持つ人たちを職場で活かせないか?」ということと「ダイバーシティ・マネジメント」が結びついて、これはもう、絶対に学びたい!と。この道の研究者になろうと決めて、地方から東京の大学院の博士後期課程に通い始めたのは30代になってからのことです。夫の転勤に伴う度重なる引っ越しと、出産・育児による休学を乗り越え、9年かけてようやく博士号を取得した時は、喜びもひとしおでした。

        「多様性=すばらしいこと」だと思いますか?

        • 多様性が高まれば、それだけ様々な意見、知識、情報が集まるため、問題解決力や創造性などのパフォーマンスが向上すると考えられています。近年、日本でも重要視されている「ダイバーシティ・マネジメント」とは、外国人、女性、高齢者など多様な人材を積極的に活用し、企業のパフォーマンスをあげることですが、単純に外国人や女性をたくさん雇用すればいいかといえば、そういうわけではないんですね。

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        • たとえば、私が博士論文の研究テーマに選んだ「フォールトライン」の理論によれば、多様性が高まるにつれ、人種や国籍、年齢、役職、勤務年数といった共通項を持つ者同士が結びついて分断が生まれ、組織内で衝突が起きやすくなる。そして分断が強いほど、職場のミスコミュニケーションが増え、モチベーションの低下や離職率の増加などにつながるとされています。つまり、多様なだけではかえって企業のパフォーマンスを下げる恐れもあるということです。

        今後、ダイバーシティ・マネジメントがますます重要になることは間違いありません。しかし、多様性にはメリットだけでなくデメリットもあります。大切なのは、どう活かしていくかということなのです。後編では麗澤大学の取り組みをもとに、多様化との付き合い方を中心にお話いただきます。

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