麗澤大学国際学部の開設と同時に本学に着任された内藤先生。国際学部が開設されることを知った時は「私にうってつけの仕事!ぜひここで学生と一緒に勉強したい」とピンときたそうです。そんな内藤先生へのインタビュー前編では、先生の学生時代のことや、研究テーマである「ダイバーシティ・マネジメント」についてお話を伺いました。
高校までに培った「自分で考える」勉強スタイルが私の強みであり、今も活きています
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私が小学校から高校まで過ごした学校は、とてもユニークで、制服なし、ピアスもメイクも、髪を染めてもOKという自由な校風でした。小学生でピアスをあけている子もいましたし、外国籍の同級生も多く、今振り返ると、多様なバックグラウンドの人たちと一緒に過ごしていたんだなと思います。
授業も少し変わっていて、一般的な教科書を使わずに先生のオリジナル教材を使って学んでいました。たとえば社会科では、1年かけて「奴隷制度」について学ぶとか。
私が小学校から高校までに培った「自分で考える」スタイルは私の強みとなり、今でも大学で教える際に、目の前の学生に必要な"学び"とは何かを、誰かの受け売りではなく自分で考えるという点で大いに役立っています。
専業主婦になって気づいた世界。いろんな人を活かす「ダイバーシティ・マネジメント」
「多様性=すばらしいこと」だと思いますか?
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多様性が高まれば、それだけ様々な意見、知識、情報が集まるため、問題解決力や創造性などのパフォーマンスが向上すると考えられています。近年、日本でも重要視されている「ダイバーシティ・マネジメント」とは、外国人、女性、高齢者など多様な人材を積極的に活用し、企業のパフォーマンスをあげることですが、単純に外国人や女性をたくさん雇用すればいいかといえば、そういうわけではないんですね。
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たとえば、私が博士論文の研究テーマに選んだ「フォールトライン」の理論によれば、多様性が高まるにつれ、人種や国籍、年齢、役職、勤務年数といった共通項を持つ者同士が結びついて分断が生まれ、組織内で衝突が起きやすくなる。そして分断が強いほど、職場のミスコミュニケーションが増え、モチベーションの低下や離職率の増加などにつながるとされています。つまり、多様なだけではかえって企業のパフォーマンスを下げる恐れもあるということです。
今後、ダイバーシティ・マネジメントがますます重要になることは間違いありません。しかし、多様性にはメリットだけでなくデメリットもあります。大切なのは、どう活かしていくかということなのです。後編では麗澤大学の取り組みをもとに、多様化との付き合い方を中心にお話いただきます。